ボーナスねぇ
少し使い方が分かって来たよ。
そしてキャラクタークリエイトの時に、枠の分だけ初期アビリティを選択できる様だ。残念な事に、選択できるアビリティは書かれていなく、これはwiki頼りになりそう。
それにしても、このアビリティ習得も面白く、ただAPを使えば習得出来るというわけでは無いみたい。
習得可能アビリティ欄と言うのから選択する様だけど、条件が達していないとアビリティが表示されないらしく、最初からなんでも選べはしない。
条件達成の方法は、そのアビリティに関わることをしまくる事。例えば<剣>のアビリティが欲しいなら、剣を使っていればいい。
「…魔法とかどうするんだろ」
目に見えてわかるアビリティはともかく、漠然としたアビリティはどうやって達成するのだろうか。
「初期選択アビリティが重要になりそうかな」
取れるなら、魔法を取っておきたいところだ。武器関係のアビリティは、最悪無くてもいい。と言うのも、アビリティ習得にAPが絶対必要じゃないからだ。
再び例として<剣>アビリティを出すとして。
<剣>の必要APは5だ。だけど、剣を使っていると必要値が減っていき、最終的にはAP無しで習得も可能となる様なのだ。
もちろん、そこまで至るにはかなりの時間を要するが、APが無くてやりたい事が出来ないなんてのは避けられる。
戦闘系アビリティだけじゃ無く、生産系アビリティも同様で、戦闘も生産もやりたい身としてはこのシステムもまた素晴らしい。
ただし、アビリティのLVが上がり、上位のアビリティにする際はAPを消費する為、なんでもかんでもと覚えると上位にはできなくなる。
ザッと見終わった私は小さく溜息をついた。
ゲーム紹介の世界観やゲームコンセプト等を無視し、真っ先にステータス関連を見たのは、単に生産関係がどうなっているのか気になったからだ。
見た限りでは、私が望んでいた生産系で安堵した。
数多の採取物に、採取方法。それらの加工アビリティに、あらゆる武器防具に消耗品の完成品。
殆どの人が面倒くさ過ぎると言う様な生産が好き。無心になれるのがいい。
WAOの生産はまさに多様性に溢れている様だ。しかも、全てを自分の動作で行うマニュアル生産と、システムに任せてのオート生産があるらしく、個人の好みに合わせられる様になっている。
正直言って、今すぐやりたい。テスト終わってからなんて言うんじゃなかった。過去に戻って今朝の自分を殴りたい。
しかし、そうしないと赤点必須なのはわかりきってる訳で、追試で夏休みを削りたくは無い。
チラリとカレンダーを見やる。
定期テストまで一週間と少し。短い様で長い期間、私はこの気持ちでいる事になりそうだ。
「うー...クローズドβテストの抽選に落ちたとでも思おう」
そうだ。今やってるのはクローズドだ。オープンは丁度テスト終わる頃で、抽選に落ちた私は、開始をワクワクしつつも大人しく勉強に励むんだ。
オープンと定期テスト終了が同時なんて凄くついてる。最高すぎてやばい。
うん、よし。期待に胸を膨らませて、他を見ていこう。
世界観は剣と魔法のファンタジー。
様々な種族がいる様だけど、意外な事にプレイヤーは人間固定みたいだ。獣人とかになってみたかったのに、これは少し残念。
始まりはメルトレレスと言う港街からで、プロローグ的には以下の様だ。
まだ見ぬ世界に憧れを抱き、住んでいた場所を飛び出たプレイヤーは、大型船に乗り込み大陸へと向かう。目指すは人々が賑わい、物が集まると言われる、大陸の扉、港街のメルトレレス。
ゲームスタートが港街で大陸が舞台となると、陸路のみで海路は無いのかな。
ワープポイントとか書いてないけど、移動は全部徒歩とかじゃないよね。流石にそれはきついですよ。
「ん?」
不安なって何処かに書いてないか探していると、見慣れない項目があった。
「Authorシステム?」
名前からしてWAO独自のものだろうか。
「Authorってどう言う意味だろ」
気になった私は、項目を見始める前に電子辞書を鞄から引っ張り出して、Authorの意味を確認する。
1.著者、作者、作家
2.著作物
3.を書く、著す
この場合の意味だと、1番かな。
そのまま著者システムだとして、これだけで内容をイメージするのは難しいな。
さて、どんなシステムなのだろうか。
「……」
Authorシステムを見ている私は、段々眉が寄っていった事だろう。
面白いシステムだとは思う。だけどこれは、争いの元になりそうな気しかしない。
Authorシステム
大陸を冒険するプレイヤーの方に、本当に冒険をしている感覚を味わってもらえる様、冒険譚を描く事が出来ます。
それは挑戦した事、達成した事、夢見ている事、未発見だった事と、内容は問われずに描く事が可能です。
さらに、その冒険譚は設定により他人に公開する事ができ、多数の人から高評価を貰えるとボーナスが受け取れる様になっています。
冒険譚を描く。そのシステムは面白く、他の人のも見れると言うのも楽しそうだ。見られたくないならば、設定で変えられる様になってるのも安心できる。
だけど、
「ボーナスねぇ……」
どんなボーナスになるかにもよるけど、これはまずいんじゃないかなぁ。
まぁ、事なかれ主義なので、書いたとしても非公開にしておこう。非公開にしておけば、評価のしようもないし安心だ。
兄は見せて来そうだし、私も兄ぐらいになら見せてもいいかな。
他に目ぼしいものは特になさそうかな。
ゲーム内部時間が4倍速なのは少し驚いたけど、倍速自体はそこまで珍しくもないし、オンゲでも倍速可能なんだぐらいの反応だ。
「後はwikiかなぁ」
残りの知りたい事は公式サイトには書かれていない。となるとwikiとなる訳なのだが、
「ぁ、重、うわぁ、こんな動作遅くなるの初めてかも」
アクセスが集中しているのか、ロードに偉く時間がかかっていた。
今日は駄目かなと、早々に諦めてページを閉じた。
どうせテストが終わるまで出来ないのだ。時間はある。ゆっくりと情報を待ってゆったりと見ていこう。
差し当たっては、
「テスト勉強するかー……」
力無く呟くのであった。
二千文字でこの量なのね。




