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ではっ!

 システムがコマンドを認識し、それを知らせる小さな鈴の音がなる。


 それと同時に、机の上に光の粒子が集まるようして手帳が現れた。


「ぉー、本当に本が出るんだ」


 知っていたのは呼び出し方だけだった為、目の前の現象に小さな感嘆の声を上げる。


 なんでそんな些細なことで声をあげるかというと、VRゲームが発売されてから現在に至るまでまともな書籍というのを見ていないからだ。


 よくRPGなどで本棚を調べて攻略情報を手に入れる場面があるが、VRとなると本棚丸々埋まるほどの書籍を作るなんてしてはデータ量がバカにならないし、そもそも書籍の内容を考えるなんて制作側もやっていられない。なにより、プレイヤー側も本棚がびっちり埋まるほどの書籍を作られたりしたら、その中から一握りの攻略情報を探すなんてことはしたくない。

 結果、VRでの本棚などを調べる際は、対象を指先で叩いてウインドウを表示させるのが主流だ。


 他には、机の上などに本が見開きで置かれて、そこに攻略情報が直接書かれていたりする場合がある。ただしこの場合、本を持ち上げたりする事がでできない作りとできる作りがあり、できたとしてもページを捲るなどは不可能になっていたりする。


 そんな理由から、今目の前に現れた手帳に感嘆の声をあげたのである。


「おぉ、ちゃんと持てる!」


 恐る恐る手帳に手を伸ばし、それが持ち上げられる物であることに感動の声をあげた。


 うわぁ、すごい。ちゃんと革表紙で作られてるし、しっかりと重さがある。


 手に持った手帳を裏返して見たりと、いろんな角度からしげしげと眺め続けた私は、一通り満足し終えて手帳を机の上に置きなおした。


「ではっ!」


 一泊置いて深呼吸し、私は手帳を開かんと手を掛ける。そして、ゆっくりを広げ──る途中で私は手を止めた。


 ……気のせいかな。表紙しか掴んでないのにかなーりのページ数が一緒に捲れてるよ? なーんか、ちょーど半分くらい捲れてるよ?


 軽く揺すってページを剥がそうと無駄な抵抗をしてみるも、一緒に捲れてきたページは微動だにしない。


 どうしようもないので、そのまま手帳を見開くと、小さな鈴の音と共に見開かれた手帳の上にウインドウが表示された。


「うん、まぁ、丁度半分で察してました」


 非常にがっかりだよ……。


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