死ぬかと思った
私は大きく息を吐き、呼吸を整えながら何時もの様に剣を鞘に収める。肩を激しく上下している姿は、傍から見ても私が息切れしている事を瞭然としていた。
し、死ぬかと思った……。
既に消えているが、先ほどまで狼が倒れていた場所を見つめたまま、私は今の戦闘を振り返る。
あの後暫く悩んだものの、クエストや残りが後一体だけということもあって私は戦うことを選択した。
その際に、私は今まで溜めていたSPをすべてステータスに振り分る事にした。狼とは1回しか戦っていないけど、敏捷が足りていなくて動きについていけてないのが明らかだったからだ。なので私は、特にAGIに集中してSPつぎ込んでステータスの底上げを狙った。
その結果、二体目の狼と戦う前の私のステータスはこうなった。
《Lv.8
HP100% MP100%
SP ──0
STR──10
VIT──3
INT──5
MND──4
DEX──62
AGI──40》
必要SPが2になるまでAGIにつぎ込むと39となったから、切りを良くする為に40にしてしまい、残りはSTRに振り分けた結果がこれだ。
我ながら酷く偏ったステータスだと思う。
とはいえ、実際に戦ってみてみるとその効果が実感出来るほどに差を感じられた。
狼がどれだけ私の虚をつこうと動き回っても、その動きに追いついて対応できるのだ。
目で追うことは既に出来ていたのだから、体が追いつくようになればもう余裕綽々といった感じで、攻撃を避ける事も受け流す事も、はてにはカウンターなんかも出来るようになって、私はすごく調子に乗った。
それはもう乗りに乗って、攻撃をどれだけ避けれるかとか、狼の動きをどれだけ先回りできるかなど、素早さに物言わして激しく動きまわったのだ。
そしてスタミナが尽きた。
その結果、軽快に動けていた足が錘を付けたかのように鈍くなり、私は容易く狼に捕捉される。
幸運だったのは、倒しきらないよう細々とはいえ、攻撃をしていた為に狼のHPがだいぶ削れていた事だろう。飛び掛られて肩に噛み付かれたものの、その時に反撃の突きを繰り出して倒しきれたのだから。
レベルが8から10に上がったと表示するリザルトウインドウを閉じながら、私は視界の隅に意識を向けて自身のHPケージを確認する。
このHPゲージに明確な数値は表示されないが、およその残りHPが確認できるだけ十分といったものだ。して、残りのHPは五分の一といったところだろうか。
思っていたより瀕死ではないのは、攻撃された箇所がケープなど重なってる部分だったからなのだろう。他の場所に比べれば幾分かは厚いので、ダメージが軽減されたのだと私は思った。それもまた幸運だった。
馬鹿な事をしたなぁと、私は小さく溜息を付く。
スタミナ切れの危険性は既に知っていて、その対策も考えていたのに完全に忘れていた。今の戦闘でレベルが二つ上がったからまだ良かったけど。
そういえば、今の必要APってどんなものなんだろう。
あれから確認していないなと思いたち、私はアビリティウインドウを開いて〈スタミナ回復力強化〉と〈スタミナ最大値強化〉の必要APを確認してみる。
回復力の方は5で最大値の方は6と、〈スタミナ回復力強化〉の方が必要APが少なくなっていた。
最初の時と比べると4も減っている事になる。それに対して、最大値強化は1しか減っていない。両方とも減る条件が違うのか、それとも減るまでの要求値が違うのだろうか。
どちらにせよ、今の数値じゃどちらも習得出来ないので、私はアビリティウインドウの表示を消した。
レベル8
SP ──0
STR──10(+3up)(+4up)
VIT──3
INT──5
MND──4
DEX──62(+4up)
AGI──40(+2up)(+11up)
ランダム増加
LV2にup──STR1up
LV3にup──DEX1up
LV4にup──STR1up/DEX1up
LV5にup──DEX1up
LV6にup──AGI1up
LV7にup──DEX1up/AGI1up
LV8にup──STR1up
記入時はずれてないのだけど、投稿するとずれる悲しみ。




