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私全然知らない情報なんだけど

「出たんだよ。それも、明来の好きな戦闘生産なんでもござれなタイプのが」


 私の反応に気を良くしたのか、兄はにっこりと笑みを浮かべる

 それを聞いた私の気持ちと言ったら、狂喜乱舞だ。いやちょっと言い過ぎた。流石に諸手を上げるくらい。


 いやでも待って。VRMMOが発売されるなんて事、調べてなかったとは言え少しも情報が入ってないなんて可笑し過ぎる。

 特にそういった新ゲームの情報に敏いフレンドがいるのだけど、彼が全くの無反応な事が信じられない。


「それが今日オープンなの? 私全然知らない情報なんだけど」

「そう、今日オープン。 知らないのは……もしかしたらAIの情報が前面に出てるせいかもしれないね。 ゲーム開発というより人工知能開発って面が強いから」

「どゆこと?」


 食事の手を一旦止めて話を聞いてみると、どうやら今回発売となるVRMMOは、人工知能の最大手であるエクストメニクス社がゲーム制作会社であるミスティックヴィジョンに、「精密情報管理AI作りたいから、運用できる世界作って」という話から始まったらしい。

 そこからなにやら紆余曲折が色々あったらしいけど、まぁ言ってしまえば、VRMMOの一番のネックだったサーバーを用意、運用できるバックがゲーム会社についた結果という事の様だ。


「エクストメニクス社、神か……」

「その反応はどうかと思うけど、喜んでる様でなによりだよ」


 手を組んで思わず祈りを捧げる私をみて、苦笑いを浮かべられてしまった。

 ともかく、今日発売と言うのなら準備をしなくてはならない。


「学校の帰りにプリカ買ってこなくちゃ」

「あ、ダウンロード販売ないよ」

「え゛」

「パッケージ販売でダウンロード販売は無し」


 当日にパッケ購入とか絶望しかないじゃないですか! 

 ダウンロード販売が無くて、今迄でなかった待望のVRMMOなんて、下手すると予約する事もできない可能性があるのに、当日に購入出来る訳ないじゃないか!


「大丈夫だよ」


 私が頭を抱えて唸っていると、向かいの兄が笑みを浮かべて口を開く。


「パッケージはしっかり確保済みだよ」


 ですよね。このタイミングで誘っておいて兄が用意してない筈がないですよね。

 こればっかりは何時も苦笑を浮かべてしまう。

 兄が何かを進めたり誘う時は、決まって私の為で既に準備が完了しているのだ。


「とは言え、定期テストがすぐだし...」


 VRMMO、ましてや好みなゲームなんて始めたら絶対に赤点を取る自信がある。私は周りが思っているよりゲーム好きなのを理解しているのだ。


「テストいつだっけ?」

「もう一週間とちょっと。それが終われば夏休み」

「それじゃテストが終わるまでお預けだな」


 まぁスタートダッシュをしたいガチ勢ってわけでも無いし、開始当日のMMORPGなんてログインゲーになったり、狩場の占有があったりするもんだ。なら、それくらい待てば少しは情報も出てそうだし、エンジョイするなら丁度いいかな。


「ぁ、別にお兄ちゃんも付き合う必要ないからね」

「一緒に始めなくてもいいのかい?」

「お兄ちゃんがそうしたいなら止めないけど、私は別に気にしないよ」

「そうだな……じゃぁ、エスコート出来る様に先に始めておくよ」

「ん、そうしておいて」


 と、まだまだゲームについて色々聞きたいけど、そろそろ時間がまずい。学校に向かわないとバスに乗り遅れる。


「送って行こうか?」

「大丈夫だよ。天気も言いし、充電してあるし、VRMMOで遊ぶなら少しでも動かないと」

「そうだね。気を付けて行ってらっしゃい」

「行ってきます」

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