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わっと

 と、格好付けて剣を抜いたものの、敵の攻撃が如何程の衝撃か確認したいので剣先は向けずに盾を構える。


 VRでは、受けた際のダメージと衝撃力はイコールでは無い。その為、新しいVRゲームを始める時は攻撃を受けてみるのがお約束だ。


 ウサギの攻撃力は低いとの話なので確認するには丁度いいし、もし盾で受けるのに失敗しても問題ないだろう。


 甲高い鳴き声で威嚇していたウサギが小さく身を屈めたのを見て、私は半身になり盾に身を隠す様に構えなおす。


 勿論、盾で敵が見えなくなるなんて事はしない。その失敗はもう嫌と言うほど経験しているし、見失っていきなり真後ろからぶっ刺されるのはもうごめんだ。


「あ、はやっ」


 身を屈めたウサギが動きだし、その身のこなしに思わず言葉が漏れた。


 相対していた距離はおよそ6メートル。

 拓篤さんの言ったとおり、左右にステップしながら近づいてくるのだけど、一回のステップで1メートル弱は詰めてくる。


 それに、左右への振り幅が広い。

 半身のままでは近距離になった時、首を振っても視界から外れる可能性があるぐらい飛んでいた。


 これは少し危ないと思い、相手のステップに合わせて私はバックステップする。

 まぁ、どう考えても相手の移動距離のが長いからすぐ追いつかれるのだけど、距離を開ける目的じゃないから問題ない。


 バックステップの際にウサギの向きに合わせて動き見失わない為と、ステップを合わせて攻撃のタイミングに合わせる為だ。


 私の軽いステップにウサギの重いステップが追いつく。1メートルは無いが、剣を当てるには一歩足りない距離で、ウサギが大きく身を屈め、私の腹部当たりに体当たりをしかけて来た。

 それに対して私は素早く盾を構えて防御し、体当たりを受けた盾から鈍い音が鳴る。


「わっと」


 倒れる事はなかったけど思っていたより勢いがあって、私はよろめいて数歩後退る。


 大体、至近距離から両手で突き飛ばされたぐらいかな。小さい癖になかなかパワフルなウサギだ。


 攻撃が防がれたウサギは、地に足がついた途端に後ろへとステップして距離をとり、再び甲高い鳴き声で威嚇し始めた。


 どうやら連続で攻撃はしてこないみたいだ。体制が崩れてたから連続じゃないのは正直助かった。


「……さて」


 威嚇をするウサギを見つつ、おもむろに近づいてみる。案の定と言うべきか、予想通り距離を取られた。


 威嚇中は近づこうとすると逃げる、ね。攻撃するチャンスは向こうから来た時だけって事かな。

 サイドステップを追うのはちょっと難しいし、体当たりを受けるか避けるかしてって感じか。ただし、トロトロしてたらすぐ距離を取られると。


 私は思わず苦笑を浮かべる。拓篤さんのイラつきようと、ウサギと戦闘時の様子が脳内でイメージできてしまった。


 私はそうならない無い様、頑張って倒しましょうか。

 とりあえず、盾受けに慣れたいのもあるし、相手に他の動きが無いかしばらく同じ事をしてみるか。


 と言うわけで、動きに多少の違いを織り交ぜながら同じ事を数回繰り返す。

 ウサギの動きに合わせ下がっていたのを逆に詰めたり、ウサギと対称になる様にサイドステップしたり、体当たりする瞬間に接近したりなど、相手の動きが変わるか確認していく。


 結果、こいつはムカつくぐらいガン逃げMobだと言うことが判明した。


 一番驚いたのは体当たりする瞬間に距離を詰めた時だ。

 体当たりの瞬間、ウサギは分かり易く身を屈める。それはもう、ここがチャンスです!と言わんばかりの隙で、位置も一歩踏み込めば攻撃できる距離だ。どう考えても攻撃するならこのタイミングだろう。

 剣を振ってはいなかったけど、その瞬間を測る為に私は一歩踏み込んだ。


 結果、すっごい超反応で横っ跳びして距離を取られた。


 本当凄かった。普通にウサギを見失ったレベルの横っ跳びだった。威嚇の鳴き声がなかったら何処行ったか見つけられなかった。そんな私を拓篤さんが爆笑して見てた。兄に首絞められて───あぁいや、これは関係なかったや。


 ともかくこれで、攻撃するには体当たりされる必要あるとわかった。


 蛇足だけど、ウサギと長々追いかけっこをしてスタミナを切らし、ウサギにリンチされて死に戻った大剣使いがいたと、兄が言っていた。

戦闘描写難しいね。指がよく止まる。

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