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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第8章
98/482

【閑話:白月光微魅譚】

挿絵を追加しました。(挿絵を修正しました!)




ちゃぷちゃぷ

小舟にヴェスタを乗せて湖に浮かべた。

今夜は満月でとても明るい光が降り落ちる。

(あぁ‥‥湖の精霊‥‥ううん女神様だわ‥‥)

計算されたように完璧な配置の目鼻、大きくもなく小さくもない完璧なバランス。

女神の相貌から溢れ落ちるは黄金のゆらめき。

それは今、白い月光に輝きジュノの魂を奪った。

「ふふ‥‥ゆらゆらしてなんだか気持ちいいわ」

ジュノより少し低くて響きのよい美しい声。

「ヴェスタ‥‥すてき‥‥」

ジュノの唇があえぐように言葉をこぼした。

このヴェスタを見るためならどんな苦労も厭わないと思ってしまう。

白く滑らかな絹のような肌が描くもまた、神なるシェイプ。

ジュノの思い描く理想の女性像がそこにある。

つんと上向いたその胸の高まりが、滑らかな夜着を支え落とす。

琥珀のラブドールは『ジュノの肌色なのよ』とヴェスタが言う。

ジュノに抱きしめられるみたい、とにこりと微笑むのだ。

普段はあまり表情のないヴェスタがそうして自分だけのために微笑み、優しい声でそう言ってくれる。

魂を捧げる価値があるとジュノには思えた。


挿絵(By みてみん)


「ジュノもかわいいよ‥‥妖精みたい‥‥銀の髪がサラサラ流れて月の精かな‥‥」

きしぃと少し近づいたヴェスタがジュノの髪を一房もてあそぶ。

さらさらと髪が流れ落ちるのを、ジュノは震えながら見つめる。

髪の毛一本一本が喜んでいる。

ヴェスタに触られて。

(あぁ‥‥ヴェスタの匂いもするよぉ‥‥しあわせ)

ぴとっとジュノの胸にとどいたヴェスタが寄りかかった。

ヴェスタが動いてもジュノの体幹と鍛えあげられた重心センサーが、ボートを揺らさない。

重心の移動にあわせて自身の接地圧を左右前後とコントロールし揺らさないのだ。

すべてはヴェスタを月夜の湖面に浮かべるために。

「ヴェスタ‥‥大好き‥‥」

そっと怯えるように囁くジュノ。

聞こえないでほしいとも、届いてほしいとも想い揺れる。

ボートは揺れないがジュノの心は揺れ続けているのだ。

美しい月夜のヴェスタに触れて。

ヴェスタの顔がジュノの胸に埋められる。

ジュノの双丘にそっと埋めた、桜貝のようなピンクのふた欠片が蠢く。

「私も大好きよ‥‥ジュノ‥‥」

吐息とともに胸に落とされた言葉が、ジュノの心をやわらかく魅する。

(あぁ‥‥温かい‥‥)

ヴェスタの温度に包まれ押し倒されるジュノ。

ボートはそれほど大きくないが、二人の身体を受け止めることは出来た。

そうして月を背に身を重ねるヴェスタは、頬を染めジュノの耳たぶに唇をよせる。

(あぁ‥‥しんじゃうぅ‥‥)

ヴェスタの唇が触れただけでジュノは喜びに全身を震わせた。

そっと体重がかけられ、ジュノの身体が潰されていく。

「あぁ‥‥」

その温かさと柔らかさに、遂にジュノの唇は震えて呼気をもらす。

ヴェスタの耳元に漏らされた熱い息は、そっと心を伝えてしまう。

(あいしてる‥‥ヴェスタ‥‥もっと重なり合いたい‥‥)

ジュノはもう顔中真っ赤にして震えていた。

その震えはもちろんヴェスタにも伝わり、やわらかな笑みと成り還る。

「じゅのぉ‥わたしもぉ‥」

ジュノの耳にも熱い吐息が吹き込まれる。

「おしっこしたいわ‥‥」

ん・・・?となるジュノ。

「ジュノもぷるぷるしてるし‥‥我慢してるんでしょ?おしっこ‥‥そろそろもどろう?」

「う‥‥うん、ちょうど、おしっこしたかったのよ‥‥うん」

きしきしと漕ぎ寄せたボートから元気よく女神が岸に飛ぶ。

ふわりと魅惑の薄物がまった。

「おさきー!」

ひゅんと風を巻いたヴェスタが、拠点のトイレに駆け込んでいった。

バタンとやけに景気よくドアは閉まった。

「‥‥スパイラルアークのトイレにいくかな」

この拠点には緊急時に供え、二箇所にトイレがあった。

あって良かったなと、ジュノはしみじみ思った。

言われてみると、たしかにおしっこしたいなと。

月夜にとぼとぼと歩きながら。



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