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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第8章
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【第75話:月と3人と偵察旅行】

「では、アイカから先ず説明しますね」

そういってダイニングのテーブルに置かれた端末で、立体MAPを出すアイカ。

ジュノとヴェスタも座ったまま、ながめ下ろしている。

「ここが現在いる島です。でこっちが次の目的にする島‥‥亜大陸と言ってもいい大きさですね」

マップには現在地の島がかなり縮小されて右下にあった。

「でかいな‥‥」

「‥‥ほとんど砂漠?」

うんうんとうなずきあいながら、角度も替えて立体マップを確認し合った。

「そして、次に求める鉱石は‥‥ここと‥‥ここにあります」

アイカがマップに印しを付ける。

「ふむ‥‥銅と鉄とアルミはいつものやつだね‥‥この青いの何?」

ジュノが画面を確認しアイカに問う。

「青は実は予想だけですが‥‥チタンの鉱脈が可能性としてそこいらにあるのです。」

「おぉ‥‥なんかティア上がった感じが急にきたね!」

「大体‥‥移動ルートがきまるわね‥‥これ右側の市街地を避けてプロットしてあるのね?」

アイカの説明にジュノが目を輝かせ、ヴェスタが話しを進めた。

「そうなのです。恐らく10万以上人が住んでいますが、西の砂漠や山中はほぼ無人です‥‥接触しない方向ですよね?」

ジュノもヴェスタうんうんと賛意を示す。

「優先してほしい鉱石はなに?」

ヴェスタが具体的なルート選定に入る。

「特に今はないです。まんべんなくほしいですね。貴金属やレアアースがあればなお良いです」

アイカの話からヴェスタが予定ルートを選定。

「現地の海路はどうなのかな?わかんないか」

ヴェスタが気にするのは、観測される可能性だろう。

「‥‥夜間に高度をとって移動しましょう。アークは幸い静かだし」

母船スパイラルアークは重力制御だけでも機動性は下がるが移動可能だった。

つんつんすいいっとヴェスタがルートを立体マップに描く。

机に置いた端末は3人の指先をリアルタイムにトラッキングし、つんつんのコマンドで座標を指定する。

ヴェスタは慣れた手つきで一本ルートを引いた。

現在地から目的地の南方山脈に至る。

「現地行ってから地形は見るけど‥一旦仮キメするね拠点」

アイカもジュノもうんうんする。

すいいっと動いてつんつんするヴェスタ。

「こうかな?南北は、一回拠点も移動挟む感じね」

アイカはすぐに賛成と言って、ジュノもくるくる見て歩いて、おっけーと言ってニカっと笑う。

「前半は胴・鉄を、後半はアルミ・鉄をメインだね!チタンも有るといいね」

ジュノの明るい意見に二人も同意する。

「では‥‥予定通り、先ずはみんなで偵察旅行だよ!」

ヴェスタもにっこり笑って拳を突き上げる。

『おー!』

ジュノとアイカに合わせて、アイ02とアイ01も両手をあげてぴょんと跳ねた。

3人もにっこりアイ達を見た。




少し前と変わった点がある。

単独で動くと聞くと、ヴェスタが絶対離れないとごねて、3人で行こうと言う。

効率じゃないのだと。

3人で居るんだと、強く宣言した。

「もう、ぜえぇぇったい離れない!」

あの日ジュノを見つけた館の廊下でヴェスタは叫んだのだ。

そう言ってジュノとアイカを強く抱きしめた。

もう離れたくないのだと言って泣いた。

よしよしとジュノとアイカは慰める。

自分達も涙しながら。

ヴェスタがキャプテンで良かったと噛み締めながら。

本来ならこのケースなら単独で偵察して、その間に拠点の整理を進めるのが常道だろう。

今までなら不満そうにするが、ヴェスタも許可していた。

今のヴェスタはキャプテンとしてそれを許可しない。

拠点にはアイ04を母船スパイラルアークにはアイ03を留守番に残し、アイ01と02を伴い5人で行く。

もう3人と2つではなくなった。

そこも静かな変化だったろう。




『いってきまーす!』

アイカの霊子通信にアイ03とアイ04が答える。

『いってらっしゃいママ!』

フゥィィィィー!

火口湖の水面を切って水上機が離陸する。

母船は深く沈めて、拠点の入口もしっかり施錠した。

留守番のアイ達には、誰か来ても絶対答えず記録だけ残すよう言ってある。

そもそも今までにこの山頂に来たのはリステルだけだった。

3000mの山頂は普通はこないだろう。

夜間飛行もヴェスタにとっては慣れてきたので、離発着含めてお手の物だ。

今夜の内に1200㎞ほど海上を移動し、新大陸に上陸する。

そこに仮キャンプを築いて、そこから南の山脈を偵察する。

これは霊子波や重力波などを使う、動植物や鉱石の調査も兼ねている。

事前調査のデータに正確な現地調査の値を重ねて拡張マップを完成させていく予定だ。

コパイ席で窓にべったりのジュノが言う。

「しっかし‥‥あの月はでっかいね!海が見えるくらい明るいよ‥‥青白い夕日みたい」

月齢はだいぶ進み、まもなく満月といった具合で、中天に浮いた月が海のディテールまで見せてくれる。

「そうですね、直視直径で母星の月の3倍程に見えます。明るさはざっと9倍にもなりますね‥‥なにか秘密がありそう?!」

アイカの説明にも科学的なもの意外が込められる。

アイカは最近結構ろまんちすとなのだ。

「そうだねえ‥‥うん?これ事前調査で衛星のデータ少ないね?なんだろ?」

ヴェスタが事前調査のデータをみて不思議そうにする。

アイカからも答えがある。

「確か事前調査のセンサーブイはフライバイしてデータだけ返すタイプだったので、たまたま軌道が悪く衛星が見えなかったとかですかね?」

フライバイする調査ブイは光速の数%で通り抜けたはずとアイカが補足する。

星系の事前調査ではよくありますとも。

イメージできないジュノはへーといいつつ窓から離れなかった。

それくらい海上に写る月は美しかった。





アイ02とともに置かれていたヴェスタ宛の手紙には、リステルの詫びが訥々と書かれていた。

騙していてごめんと。

アイ02を壊してしまってごめんと。

あの神の使徒が鉱山に来ていて、恐らく自分は捕まるか殺されると。

もしも領主の館でなにかあったのなら、自分とは関わりないが、巻き込んで申し訳なかったと。

それくらいのことがさらりと書いてあった。

ヴェスタの判断で手紙はリーシャさんにあげた。

その上で街に帰ると言うので、昨夜送ってあげたのだ。

もちろん口止めはさせてもらい、代わりに領主の館から接収していた金品を少し分け与えた。

今までの賃金だと思ってもらうようにと説得して。

恐らく生涯働かなくていいレベルの金品だったと思われる。

ゴールドやプラチナといった貴金属は、ヴェスタ達が欲しいのでもらった。

宝石や美術品のようなものをリーシャには持たせたのだ。












挿絵(By みてみん)

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