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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第6章
67/453

【第57話:人間として判断してほしい】

お昼を食べ終わった3人は、ちょっと方針会議。

「偵察の感触はどうかな?ジュノ」

ヴェスタがそれぞれの意見を求める。

「そうね、とりあえず直ぐに見たかった部分は見れたし、定点カメラと簡易センサーにも穴は無いと思うし‥‥この時代の装備相手なら、わたし一人で200とか300までは倒せる」

これは誇張ではなく、事実を述べたジュノだった。

実はジュノの装備はティア5に更新してあった。

「わたしだけいい武器もらったしね!」

ぱちりとウインクするジュノ。

ヴェスタのはそのままティア3のライフルだが、ジュノはメインウエポンをショットガンに更新した。

これも電磁加速するもので、一射で10本の針のような弾丸を拡散しながら撃つ銃で、セミオートまでになるが20回まで弾倉交換無しで撃てる。

拡散するので複数の目標や、高速で移動する目標に当てやすい。

一発づつの威力は弾速が落ちるので半分程度になるが、10発撃つので瞬間的に5倍の火力だ。

この他にティア3のライフルもそのまま持つので、両手に持ったり持ち替えたりと戦闘の幅が出る。

防具も更新して、アルミを原料に軽く上部なガーダーを今までの倍近く装備する。

これにはガーダー側にバッテリーを積むので、スーツの稼働時間を減らさないで防御をあげる工夫とも言えた。

「先に見つけたら負けないよ」

自信をにじませる意見にヴェスタも安心した雰囲気。

「アイカはどう?採掘方針は決められた?」

うんうんとしっかりうなずくアイカ。

「まだ試算ですが、想定内の採掘量がでれば10日かからないでクリア可能です」

「おお‥‥」

「いいね‥‥何も起きないうちに撤収したいな、もう」

ジュノにもヴェスタにも嬉しい報告だった。

「あと単純採掘用の『式』を作ろうと思います!わりと単純な地下の作業だけなら任せて効率を上げられます」

にっこりのアイカが続ける。

「アイカはその制御にあたるので、動けないですが‥‥制御しながら動く訓練にもなるのです」

式は自動制御ではなく、あくまでアイカが操作するので、アイ達のようには動かせない。

「おお!すごいよ!」

「ついにアイカがAIみたいになるわ!」

ふたりの反応におどろくアイカ

「いえAIでしたよ!?でしたよね?本船のCPUが使えればもっと楽なんですが‥‥だめですよね?」

アイカの意見は即答で却下。

「ダメ!ぜったい、いや」

「ジュノの言うとおりよ!うちのアイカはもう誰にも触らせないわ」

アイカはぽっと赤くなってもじもじ。

「もう、しょうがないなぁ‥‥じゃあスタンドアロンでがんばる。式を作るとアルミが無くなっちゃうから、アルミだけ取ってきて欲しいな。南東の麓に露出鉱床があるから行ってきてほしいの」

見合わせ考えるジュノとヴェスタ。

「ジュノは残って。水上機だそう」

未発見の敵が居ると、まだ二人は心配していた。

「そうね‥‥それがベストかな。ヴェスタは効率より安全重視でお願いね」

割り振りを決める二人にアイカも告げる。

「簡単なものなので、式は半日くらいでつくれます。夜に本船を浮上して式を受け取り、水上機をだしましょう」

「そうね‥‥そこまでに色々準備しよう。採掘にアイちゃん達を借りたいわ。」

「うん、三人とも行ってくれる?」

アイカにアイ03とアイ04が答える。

「はいママ」

「おまかせだよ!」

アイカはアイ01にも霊子通信で指示をだしたのか、返答を代わりに伝えた。

「アイ01も了承です。ジュノはだいじょうぶ?アイ04いなくても?」

ジュノはうんうんと肯定。

「へいきよ、基本的にここの防衛しかしないしね」

ヴェスタが説明を挟む。

「基本水上機はアイドリングですぐ出れるようにして、採掘はアイちゃん達にがんばってもらう」

なるほどとジュノもアイカも納得。

「ではアイ01に指示して採掘用の最低限のものですが式を二機作ります。わたしも札を書くのでしばらく部屋に居ますね、集中したいのです」

二人に見送られてアイカは自室に戻った。

「式って魔力で動かすんでしょ?」

「制御を魔力でするらしいよ?動力は通常だから‥‥今なら電力かな?」

理解の様子でヴェスタ。

「あぁ‥‥それでAI任せにはならないわけね」

つんつんとアイ03がヴェスタをよぶ。

「ん?どうしたのアイちゃん」

「アイ達も式になれるのです!」

『えええ?!』

ジュノもヴェスタも理解が追い付かない。

アイ04もジュノの肩で説明する。

「式の機体制御をアイたちがして、魔力の出力をママがするの。本当の式はそうやって動くよ!」

「今から作るのは式ってほどのじゃなくて、式の練習機みたいなものです」

なぜかふたりともえっへんのポーズ。

ジュノもヴェスタもよしよししてあげる。

にっこりの二人は機嫌よくそれぞれの顔に抱きつく。

「あーんかわいいわアイちゃん」

「うちのアイちゃんもかわいいわよ」

競い合い可愛がるジュノとヴェスタだった。


びーー!びーーー!

そこで外部センサーから警報が入る。

ジュノが監視カメラの映像チェックにいく。

ヴェスタも後ろから確認。

「‥‥女の子だね‥‥これ」

カメラにはぼろぼろの姿の女の子が山道をふらふら上ってくる姿が写った。

はっとヴェスタが何かに気づいて言う。

「ジュノ‥‥これ‥保護したらまずい?」

バンとドアが開いてアイカも出てくる。

「どうしました?!」

「あぁ‥‥とりあえず危なくはないわ」

アイカにヴェスタが答える。

「ヴェスタ‥‥もしかしてこの子‥‥」

ジュノも察したようだ。

「そうね‥‥たぶん‥傷ついているようだわ‥‥」

アイカも画面を確認して、状況を察した。

「下の町から逃げてきたのでしょうか?」

女の子は褐色の肌をあまり隠せないぼろぼろの衣服でとぼとぼと上ってくる。

下半身は剥き出しで靴もないようだ。

ジュノもアイカもヴェスタを見る。

指揮官に判断を任せるという意味合いだ。

「人道的には‥助けたい‥‥指揮官としてはスルーだわ」

苦しそうにするヴェスタ。

ジュノがヴェスタの肩に手を置く。

「わたしは助けたいな‥‥ひどい目にあったのなら慰めてあげたいよ」

ジュノは自分でも経験があるので、女の子に同情的だ。

「ジュノ、ありがとう私も本当はそうしたい‥‥アイカはいいかな?これはプロジェクトじゃなくて‥‥私達が人間として判断すべきことだわ」

アイカもにっこりうなずく。

「もちろん二人の判断に任せます」

ジュノもヴェスタもその返事では納得しない。

「アイカ‥‥私はキャプテンじゃなく、人間として聞いてる‥‥私達の妹として答えて」

じっと真面目な顔でアイカをみる二人。

アイカは俯いて頬をそめ、顔を上げた。

ためらうように何度か口を開いた。

「‥‥‥‥アイカも‥助けてあげたいと思う」

小さくためらいがちにアイカは告げた。

ヴェスタもジュノも、ただ静かに頷いた。

ようやく三人が人間として“同じ答え”にたどり着いたのだ。

ジュノとヴェスタがぎゅっとアイカを抱きしめる。

よしよしと髪もなでるジュノはすっと離れると、にっこり笑う。

「お風呂沸かしてあげてアイカ」

「二人で出ましょうジュノ」

離れたヴェスタも微笑みが浮かんでいる。

アイカが人間として答えてくれたのが嬉しいのだ。

ヴェスタが真剣な顔で装備を整えるジュノに言う。

「あんまり武装していくと怖がらないかな?」

「助けるのはヴェスタにまかせるよ、わたしは護衛として出る。間違いなくヴェスタを守れる装備がいるよ‥‥罠の可能性はゼロじゃない」

真剣なジュノの目線に、ちょっとうれしそうなヴェスタ。

「わかった‥‥わたしはこないだのシーツポンチョでいくわ。ジュノのを貸してあげても良い?」

「もちろん」

ジュノも少し笑顔を浮かべた。

そうして二人で救出に動き、アイカはサポートに残る。

アイ達は二人とも留守番だ。

今のアイ達では戦闘になれば足手まといでしか無いのだった。






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