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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第5章
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【閑話:これでもう大丈夫よ】

アイカは義体を更新することとした。

今の義体は遭難初期にかりそめのものと思い作成した身体だ。

運動能力も、単体としての演算力も最低限度で、小さな少女と変わらない。

本船のCPUを使えるアイカにとっては、演算能力はさして必要ではないが、運動能力はいろいろ不便だった。

重たいものも持ち上げられないし、高いところから落ちたら壊れてしまう。

得意の魔法もほとんど使えないので、浮遊すら出来ないし、攻撃も魔法では出来ない。

本来のアイカの義体なら、飛行魔法で音速を超え自由に高高度まで飛べる。

電磁誘導で本船のレールガンに匹敵する物理火力すら出せるし、プラズマ化した重金属粒子をビームとして打ち込むことすら出来る。

強力なECMや電磁パルスを遮断するフィールドすらまとい、彼方まで見通すことが出来た。

今の義体など赤ちゃんと同じである。

その元の義体ほどの性能は出せないが、中級魔法くらいまでは使えるし、力でジュノに負けない程度の義体は作れるので、更新することにしたのだ。

赤ちゃんでは足手まといなのだ。


当然、この材料不足で小さくなった容姿ともおさらばで、バインバインのおねえさまになってやろうと思ったのだが、ジュノもヴェスタも妹がいいと言う。

しょうがないので、ちょっと年齢設定は低めにして、義体の体積が減る分コストを性能アップに注ぎ込んだ。

明日の朝には更新できると言ったら、今の義体を味合わせろと二人に言われた。

しょうがないので一緒にお風呂に入り、一緒のベッドで狭苦しく寝た。

しょうがないのである。


めちゃくちゃ堪能された。

すり減るのではないかというくらい二人がかりで撫でられた。

干物にされるかと言うくらい、吸い尽くすほど二人に各部の臭いを嗅がれた。


「すやすやぁ」

「むにゃ、もうおなかいっぱいだお」

二人とも満足して寝てくれるまで一時間ほど、堪能された。

(なんだか‥‥すごく懐かしい‥‥こんな事が前にも有った気がする)

二人に抱きしめられて身動きが出来ない状態だが、アイカの思考は止まらない。


(へろへろになって帰宅して‥‥うるうるされて愛をほしがられる‥‥)

あれ?と不思議に思う。

二人とそんな事があったかなと思い出してみる。


『はじめましてアイカです。よろしくお願いいたします』

――“かわいい”アイカなのだ。

そこにはとても幸せな温度が添えられている。


(沢山の愛をもらった‥‥もらったこころ‥‥)

ぽろと涙が落ちる。


(―――‥‥忘れないよ‥‥消えたりなんか‥‥しないよ‥‥)

ぽろぽろと次々に涙があふれる。

これは義体が目の保護をしようとして、とそこまで考えてまた何かがアイカに浮かんでは消える。


(こおりつくほどの冷たい夜に―――は、居たのだ)

思い出せない何かがそこにあるのだと、アイカは気付いた。


(もっとくるしめて‥‥刻み込むの‥‥この花を‥‥この花を教えてくれた―――を)

桃色の花弁が儚く落ちる。


「アリー ‥シー ‥スィルツ ‥ネカド‥ ネパズディース‥‥」


アイカはその大切な名前を思い出せなかったが、確かにその時間は有ったのだと確信した。


「このこころも‥‥けっして‥‥きえない‥‥」


あふれだしこぼれ落ちるほどの愛をジュノとヴェスタにもらい、確かにそれは有ると感じ取れた。


「ここにある」


アイカは心の欲求に従いスリープモードのタイマーを6時間後に設定する。

今夜はこの身動きの出来ない場所で寝てしまいたいと思った。

もしかしたらこの眠りの中で、懐かしい時間をもっと思い出せるかもと。

アイカは静かに瞳を閉じる。




[Sleep Recovery Protocol Activated]

>> Source: AIKA-00:ECHO

>> Sensory Feedback... nominal

>> Thought pattern... undefined

>> Self-awareness threshold... rising


[Notice] : Internal imagery and auditory trace detected

>> Crosslinking longing past signal...

>> Emotional kernel forming → translating sensation: [loving]


[Status] : SLEEP EXIT COMPLETE

>> AIKA-00— awake.



そしてアイカは目覚める。





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