【第45話:方針が決まったので堪能します】
アイカが落ち着いてからお風呂を上がった。
お風呂は終わったが、船には接続させなかった。
「大気圏内飛行で試しましょう。流石に軌道に上がるのは怖いです」
アイカの意見だった。
アイカはその後も船とは繋がず、あくまで船のエンジニアとしてサードシートで接触させている。
人間のように端末を操作している。
人間の三倍ほどの速度で。
つつつんつんつつつつんといった感じだ。
この状態でも人間のエンジニアの3倍は働くのだが、元がすごすぎたので、大幅なスペックダウンは否めない。
航行に関する部分はひと当りチェックして、異常がなかった。
次は実際飛ばそうとなったのだ。
気圏内だけでも移動出来たら、一気に採掘が捗る。
事前情報のMAPを今までの状況と照らし合わせると、地形情報には手を付けていないと判断できた。
逆にそれ以外は信用ならないとも言える。
「戦闘を想定する?火器管制は未チェックだよ?」
ジュノの意見にアイカが答えた。
「そこは時間を見つけてわたしがチェックします。二人が寝ている間とかにしますよ?」
アイカは睡眠の欲求がないのだという。
「‥‥ううん」
「なんかね?」
ジュノもヴェスタもそれを嫌がるのだ。
「一緒に寝たいしね」
「そうね」
アイカの身体を心配するわけではないようだ。
「夜はアイカもゆっくりしてほしいな」
それが二人の総意となった。
「あ!そういえば‥‥二人ががんばってくれたので、わたしの義体を作れます。戦闘に耐えられるものを作れますよ!どういったタイプが良いですか?」
「え!もちろんちいさくて可愛い娘がいいわ。必須よ。容姿は今の延長線でね」
ヴェスタは鼻息が荒い。
「そうね、丈夫な方が安心だけど‥‥あまり重いといざという時運びにくい」
ジュノの意見も似たりよったり。
「うぐ‥解りました‥‥極力要望に答えつつ最大限の戦力になれるものを作ります」
ジュノが大事なことを伝える表情。
もう、ふざけたところはない。
「あとは人間ベースね‥‥絶対ね。肌が柔らかくて、いい匂いじゃなきゃダメよ」
真剣だったが内容はさらにひどかった。
ヴェスタは質問する。
「今度はどれくらいの時間で出来るの?」
アイカはジュノはスルーしてヴェスタには答えた。
「そうですね一日はかからないです。24時間以内で作れます」
「いい匂いのよ!!」
ジュノの意見は、はいはいと適当に流されるのだった。
「ダメです‥‥艦内の謎通信障害が復旧出来ません」
「なんでよぉ?だいたいチェックしたんでしょ?」
「大体しかチェック出来ていないからです‥‥ジュノが24時間チェックしても100年かかるんですよ?」
「わかったよぉ‥‥ごめんよぉ」
ジュノとアイカの楽しそうな深刻な話にヴェスタが入る。
「物理的な問題はないのかな?操作は可能なの?」
今は操縦席から艦内のチェックと予備運転や管制試験をしていた。
大気圏内を飛行するだけでも無数とも言えるチェック項目があり、これを簡易化して200前後にしている。
それでもオールグリーンにならず、主機エンジンすら点火出来ない。
星系間航行船とはそういったものであった。
この船をほぼアイカ一人で制御していたので、その能力の高さがうかがえる。
「おちたばっかりのころさ、一回動かしたじゃない?」
ジュノは自動車くらいに考えている。
「アイドリングしていたのをちょっとふかしただけですよ‥‥」
「ごめんジュノちょっと難しいのよ‥‥」
「あい‥‥」
ジュノに説明するのも、ジュノが理解するのもあきらめた二人にアイカが提案。
「ここは‥‥ジュノの意見も聞いても良いかもです。普通に安全確認していたら永久に飛べません」
ちょっとなやむヴェスタ。
ここまで意見が出揃えば、あとはヴェスタがGO,NOGOを決めなくてはならない。
「殺す気がない‥‥は信用できるとは思う。なにか価値がある?私達に‥‥データかしら?」
ジュノもアイカももう邪魔はしない。
これはヴェスタが決断する時のクセででる独り言だ。
「‥‥わかった。テストをかけよう‥‥ごめん一応最悪逃げられる準備を」
そうして最悪は主船を失う覚悟をしたので、アイカの義体を作り、最低限移動手段として航空機を1機作ることになった。
この航空機を作るのもグレーな装置で作るので、運任せであった。
アイカは義体を操作して義体を作るシュールを経験し、ジュノとヴェスタは外のグライダーを片付けて滑走路の延長と補強をする。
今まで簡易舗装だったのを、ちゃんと水平を取り舗装した。
もともとアイカが大体完成させていたので、半日程度で出来上がる。
さすがにどろどろになったので、ジュノとヴェスタはお風呂を先に入る。
晩御飯にはまた3人で集まることが出来た。
アイカは自分の義体を作りながら晩御飯も作ってくれた。
「航空機って水上機になるの?」
「そうです、基本的には水上離着陸を目的にしつつ、ちゃんと滑走も出来るギミックを組みました」
本船を扱ってだが、飛行機の設計もアイカの担当だった。
すでに終わらせ組み立てに入っているとのこと。
明日の朝には実機が組み上がるので、内装関連をジュノとヴェスタで仕上げる予定だ。
「本船の大気圏内飛行の試運転のための保険の飛行機の試験飛行を明日するよ」
ヴェスタがキリっと真面目に宣言したが、ごはん中だったので、ほぼスルーだった。
はいはい、うんうんでおわりだ。
「くすん‥‥ちょっと練習しておいたのにぃ」
「さめるから食べようヴェスタ」
「おいしいですよ!アイカの愛情も混入しています」
「うん‥‥たべるぅ」
ごはんは本当においしかったのでヴェスタもご機嫌に戻った。
「試験飛行は滑走離陸して海面に着水する?‥‥あの触手が怖いのだけど」
「あぁ‥‥そうだね‥‥うん、西側の海域で着水試験しよう。そのまま水上から離陸して、ここに滑走で戻る‥‥これで一通りチェック出来ると思う」
パイロットとエンジニアの二人で動かせる予定だが、コパイ席は火器管制と予備の操縦席とした。
アイカも乗ればそこいら全部任せられるので、ジュノの仕事はヴェスタの予備となる。
「ねえ‥‥アイカも今夜は一緒に寝よう?その義体は明日までなんでしょ?」
ヴェスタの提案。
「はい?明日までですが?」
「じゃあ今夜はやっぱり三人で寝たいな」
ジュノも言う。
にっこり笑う二人にアイカもちょっとうれしい。
「まぁ‥‥あとは手のかかる仕事も無いですし‥‥最後ですからね、アイカを堪能するといいですよ?」
ちょっと照れるアイカに、微笑む二人。
うんうんとうなずきあって、三人でちょっと夜が楽しみになった。
「じゃあ‥‥アイカもお風呂入って来ますね、この身体で入る最後ですし」
「あ、じゃあジュノも一緒に」
「あ、ずるい私も!」
そうして、なんだか仲良し度のあがった三人だった。




