【航海日誌2】
あぁぁ‥‥
深い嘆きがヴェスタの唇を割った。
「ごめんなさいというレベルではないわ‥‥そもそも日誌をここに置いていっている時点で書く気がなかったのだわ‥‥」
7日ぶりの帰還をとげた二人はきゃっきゃうふふと、お風呂でいちゃいちゃした。
なにしろ7日ぶりの石鹸とシャンプーだ。
魂の奥底に染み渡る入浴だった。
髪を乾かしながらこれからどうしようかと相談した。
とりあえず今夜はいちゃいちゃするとだけ心に決めたヴェスタは、ジュノの部屋に一緒に寝るつもりだった。
きっとジュノは久しぶりの湯上がりでいい匂いだろうなと、うきうきしていたのだ。
自分の部屋の前までは。
そのドアを見た瞬間に、外縁星系開拓マニュアルの最初のページが思い浮かんだのだ。
『外縁系星系開拓責任者(以下キャプテンと呼ぶ)は、開拓の進行状況・使用し失われた機材資材の明細と共に、問題点があれば取り組んだ改善策を添えて書き出し、所見を加え航海日誌とする。』
なんか難しい言葉で日記を書けと言われていた。
「あふぅん‥‥いつまで書いたっけ?もう今日のことだけでいいかな?いいかも」
ちょっとだけ待っててねとジュノに言って来たのだ。
ジュノの方が日記より優先なのは当たり前とヴェスタの中では規定されている。
「よしぱぱっと書いてしまおう」
Ship’s Log ’527/1/24
Location: Planet Alduna/Lemuria Sector
Status: Tear4
日誌を書くの忘れていました。ごめんなさい。
色々と問題があり記録を残せませんでした。
最近ジュノがとても優しくしてくれます。
大好きなのです。
長い旅をしてきたのでとても疲れました。
明日からがんばろうと思います。
「‥‥よし、できたわ」
読み返すと直さないといけなくなるので、今度にしようと保存をつんつんするヴェスタ。
ぱたんと端末を閉じたら、にんまりして頬が赤くなる。
「えへへぇ‥‥じゅぅのぉおお、いまいくよおぉぉ」
すぐとなりにはあったかくて甘い匂いのジュノが待っているのだ。
日誌などどうでも良いのだった。
書いたから赦されたなと、にこにこのヴェスタであった。
文面が一つ前のものとほぼ同じ内容なのも全く気にならなかった。
今夜はもうジュノを放さないぞと心に決めたヴェスタであった。




