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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第14章
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【第134話:くろーじんぐぱーりー】

最終日も堪能し尽くした。

買い物を結構したので、荷物がとても増えてしまった。

「だ、大丈夫。わたし持っていくよ!」

ジュノがたらりと冷や汗を流す。

半分はジュノの服で、アイカとヴェスタのものもある。

リュックサックのようなカバンも買い込んで、それで3個パンパンになった。

90%が衣料品なので、重さは大したことがないのだが、嵩がやばい。

「まあ‥‥す、スーツがあるので大丈夫ですよ!」

そういったアイカの後ろに隠されたのは15冊ほどの本。

今日古本屋に入り厳選に厳選をかさねて15冊だったらしい。

防護スーツのアシストがあれば3人共かなりの荷物を運べる。

アイカはちょっとはずかしいのか、背中に隠しているが、そもそもでかい装丁の図鑑などなのでなので隠しきれていない。

ヴェスタは小物が小さくない箱に一つとなっている。

これは割れ物も含まれるので、自分で大事に運ぶと抱えている。

そうして各人が成果をみてにんまりする。

「今度は帝国行こうよ!もっと人が居るらしいし」

ジュノがにこにこして言う。

「いいですね!きっと大きな図書館もありそうです」

アイカも乗り気だ。

「そうだね、一回拠点に帰ってからだね、アークにインゴット入れてこないと」

採掘の自動化は大分すすんだが、精錬後の搬入は人手がかかる。

そうして次の予定も考えたりと、三人はうきうきして、マヤカラン最後の夜をすごす。

お風呂を終わらせてから、ジュノの提案。

「最後のお泊まりだし‥‥パーティしようよ!」

ワインボトルとグラスを持っているジュノ。

「いいですね!」

「いいわね!」

アイカもヴェスタも賛成して、冷蔵庫の中身を引っ張り出す。

ジュノが帰り際に仕入れていたお菓子もだしてくる。

「みてみて、フライドポテトだよ!」

「おぉ!文明のかほり!」

たまらんなーと食べていると喉も渇く、さっとジュノがワインを注ぐ。

自分ではもう飲み始めていた。

「あぁこれお酒だよジュノ?」

ヴェスタはいいつつ、くいっと飲む。

ヴェスタはジュノより結構飲めるのだ。

「ええ?いいじゃない最後の夜だし楽しくしよう!」

そういってアイカにも勧める。

「アイカはだめよぉまだ子供なんだから」

「子供ではないですがぁ?小さい義体にしろとヴェスタ達がいっただけですぅ」

くいっとそういって飲んだ。

あ、と二人が思った時には半分もグラスを開けていた。

「ちょ、ちょっよアイカもっとゆっくり飲むのよお酒は」

そういってグラスを取り上げるヴェスタ。

ぺろんと舌が唇を舐めるとアイカはぽっと頬を染める。

「はや?!反応はや?!」

ジュノが驚いてアイカに水を持ってくる。

「アイカ水飲んで、ちょっと急に飲みすぎよ」

「へいきれすよぉ?あれれ」

くらんとしたのかアイカがさらに赤くなる。

「もぅ、少し様子見ながらね、初めて飲んだでしょ?アイカ」

「あい‥‥そうらとおもいましゅ」

にこにこと、なぜか楽しそうなアイカ。

「アイカふわふわして、きもちいい?」

「うん‥‥なんらかたのしいれす」

ぎゅむっとジュノに抱きつくアイカ。

ごろごろとするので、これは甘えん坊さん発動パターンだなと、見交わして笑むジュノとヴェスタ。

「ふふ、カンパイ!楽しかったマヤカランに!」

「いいね、じゃぁ‥‥アイカの初めてのワインに!」

あはは、とアイカの笑い声も上がり、たのしい夜が始まるのだった。


予想通り1時間もするとアイカは寝てしまった。

ジュノとヴェスタの間を行き来して「しゅきしゅき」とごろごろ懐いて可愛らしいアイカが見れた。

今はヴェスタにもたれて寝てしまったので、ベッドに連れて行こうとしていた。

「ちょっとトイレぇ」

そういってジュノがトイレの間にヴェスタはアイカを抱えてベッドに寝かせた。

「うにゃん‥‥だいしゅきい‥‥」

にこにことして抱きついてくるアイカは愛らしく、たまに飲ませるのもいいなとヴェスタは思い直した。

「ふふふ、かわいいアイカ」

つんと赤いほほをつつくと、うにゃんと鳴いてころんと転がった。

じゃーと水が流れて、魔導水洗トイレが作動した音がする。

このホテルは殆どの部分で魔導自動化が図られ、エレベーターすらあった。

「文明が魔法側に少しシフトしている?」

ジュノが戻るとそう言うヴェスタ。

「そうかも?トイレべんりだよね」

ジュノも魔法文明ばんざいとする。

ヴェスタはくいっと残ったワインを開けると、交替でトイレに立つ。

「私もトイレしてくるぅ」

ちょっとだけふらっとするヴェスタにびっくりするジュノ。

「だいじょうぶ?ふらついてるヴェスタ」

「うん‥‥自覚あるからまだ大丈夫!」

元気にそういって笑うヴェスタは久しぶりにみるいい笑顔だ。

ジュノもにこにこと交替でアイカを構いに行く。

「アイカ真っ赤だねえ、まだ。かっわいい!」

ぎゅむっと抱きしめるとうみゃうみゃと暴れるがすぐ大人しくなる。

ジュノはこれ幸いとあちこちの匂いを堪能する。

いつも恥ずかしがるので嗅がせてもらえない部分を堪能した。

「んふぅん‥‥たまらん匂いだ‥‥アイカ愛おしいわ」

ぎゅむんとまた抱っこするジュノ。

さんざん堪能したころ、ふとヴェスタが戻らないと、気になるジュノ。

「ん‥‥おっきいほうかな?」

時間で見計らうとそれでもそろそろ戻る時間。

「てごわいのか?」

なにか失礼なことを考えてにんまりするジュノ。

ジュノは酔っていても時間感覚に鋭い。

かつての失敗から、それがわからなくなるなら危険サインと心得ていて、それ以上は飲まない。

そのジュノの残されている感覚がおかしいと告げた。

「ヴェスタ?!」

大きめの声をかけてみるが返事がない。

「‥‥ねちゃったとか?」

いずれ心配だと、見に行くことにするジュノ。

もう20分は経っている。

トイレまで行くとノックする。

こんこん

「ヴェスタ?大丈夫?」

ここはホテルでは珍しくお風呂とトイレが別々にあり、それぞれ大きい。

スイートだけある作りだった。

こんこんこんこん

しつこくノックして返事がないので、異常事態を疑うジュノ。

「大丈夫!?ヴェスタ」

がちゃ

カギがかかっていない、すうと開けると無人のトイレがあり、そこでジュノはふわっと眠気を感じる。

(な‥‥なにこれ?)

とんと壁にあたり、するすると床に倒れてしまうジュノ。

目が開けられず、呻く。

「くぅ‥‥な‥‥」

とさっと意識を失うジュノの横にゆらりとAIKA-02が滲むように現れる。

光学迷彩で物陰にかくれていたのだ。

(しぶといなジュノ‥‥普通の倍は魔力圧をかけたわ)

中級闇魔法の睡眠魔法を行使したAIKA-02。

寝不足や飲酒等の酩酊状態では、普通はヴェスタのように抵抗できず寝入るものだ。

ヴェスタはトイレに入る前に意識を奪い、すでに玄関まで運んであった。

そとにはシーツや洗い物を回収する大きなキャスター付きワゴンを置いてあり、ヴェスタはそこに突っ込んであった。

ジュノにもあとを追わせ、アイカに手紙を残す。

機械打ちの手紙なので、筆跡等は気にせずとも良い。

(AIKA-01‥‥ごめんね‥‥あとで返すわ)

そう心で詫び、ワゴンを押していくAIKA-02。

部屋にはアイカだけが残されるのだった。

幸せそうな寝顔のアイカだけが。






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