表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第2章
16/453

【第13話:L.N.P. (Late Night Party)】

夜半に警報が鳴り響く。

びーーー!びーーー!

「ふみゅう‥‥うるさいお」

むっくり起きたヴェスタ。

通信で怒鳴り声。

「おきて!!ヴェスタ!!襲撃よ!!!」

「西側としかわかりません!本船に戻ってロックします!」

「いそいで!ヴェスタ戦闘装備はやく!!」

「あわわわわ」

ヴェスタは動かない頭に無理やり指示を出す。

最近作ったかわいい寝間着をぬぎぬぎ。

ジュノとお揃いでつくったベビードールだ。

ふわふわのデザインがかわいくて、女の子みたいだなと、とても気に入っている。

色は薄茶色で、ジュノの肌色にしたのだった。

ちなみにジュノのはミルク色のうすいピンク。

ヴェスタの肌の色に似せたのをヴェスタが選んだ。

胸のところに大き目のリボンがあって、そこもお気に入りポイントだ。

たたたん!たたたん!

もたもたしている内に銃声が聞こえる。

「あわあわ、いそがなきゃ」

ぬいで畳んでいたのをやめて放り出し、スーツのリングをつけブーツをはく。

このあたりまできて、やっと脳が回転し始めた。

(ジュノが2度撃った。一人二人じゃない)

たたたん!

(また撃った!まずい襲撃規模が大きい!!)

バン!

ドアを開けて眼の前の主船の上に飛び上がる。

スーツの出力は最大だ。

防具を付ける余裕はないと判断し、ライフルだけ持ってでた。

振り向くとジュノの周りに、とんでもない数の黒い人影。

かっと頭に血が上るヴェスタ。

たたたん!たたたん!たたたん!たたたん!

その姿はジュノを襲ったあの原住民だった。

このライフルにはコンデンサの出力上フルオート射撃がなかった。

精密に狙い4人を吹き飛ばすと、ジュノも飛んで上がってくる。

「ダメだ!ヴェスタ、一回あっちに逃げるよ!きて!」

「うん!」

原住民の移動速度は異常に速い。

スーツの補助がある二人に迫る速度だった。

一飛びで船上まで飛び上がるジャンプ力も、とてもスーツ無しの生身とは思えない脚力だ。

「一回外まででて、ゲリラ戦に持ち込もう‥‥ざっと‥‥100はいた」

ヴェスタはぞっとした。

「‥‥こないだ抗った感触だと、スーツと同等かそれ以上の力が有るよあいつら」

ジュノの説明に苦悩が交じる。

またヴェスタの頭に血が上る。

(あの時‥‥殲滅しておくべきだった‥‥)

第一種装備のあの時点なら容易な仕事だった。

空対地ミサイルすら装備していたのだ。

このままでは、人数の不利からそのまま押しつぶされる可能性が高い。

「あそこ!上がるよ」

ぴょんぴょんと器用に蹴って外輪山にあがるジュノ。

おくれずヴェスタも跳ね上がった。

たん!たたん!たん!

ヴェスタの横から追いすがる敵を狙撃するジュノ。

指で止めて連射数をコントロールして無駄弾を減らす。

(さすがうまい)

ひゅんひゅんと投げやりらしき物が飛んでくるが、木の槍では当たってもおそらく保護スーツを越えないだろう。

ヴェスタも並び、ジュノが撃った直後に撃つように調整。

たん!たたたん!たん!たたたん!

「ヴェスタフォロー!」

たたたん!たたたん!

「がんばる!」

たたたん!

ジュノがマガジンチェンジ。

ヴェスタは予備マガジンを持っていないことに今更気付く。

「ごめん予備もってない!」

ぽんと直後に予備マガジンが飛んでくる。

受け取って腰のアタッチメントに固定する。

残弾は3だと瞬時に計算して、ジュノはそれも把握していたと驚く。

たたたん!

「ジュノふぉろー!」

「うい!」

たん!たん!

よく狙って一発で一人倒していくジュノ。

(射撃苦手っていってなかった?!これで苦手なの!?)

ひゅんドスと槍が至近に刺さった。

びっくりするくらい土に刺さる。

(やっぱり当たったらいたいかも?!)

ヴェスタは一応避けようを考え直した。

カシャンとセットして、セレクターを1に合わせる。

たん!‥‥たん!たん!

二人で効率よく狙うが、一人に渡された予備マガジンは3本だ。

全部持ってきていてももう1本しかないはず。

「ジュノまだマガジンある?」

たん!

「あと一本ある!」

たん!

本船のハッチをガンガン叩いている気配がする。

おそらく半数はあっちに引きつけたろう。

心配になってヴェスタが声を掛ける。

「アイカそっち大丈夫?!」

たん! たん!

「ヘイキです!この船を壊せる装備は無いようです!ふたりとも逃げて!!」

アイカの声には悲壮さはない、おそらく外宇宙船の装甲をなんとかできるものは持っていないだろう。

アイカに怖い思いをさせて申し訳ないと思うが、囮には丁度良かった。

(オートタレットくらいほしいわね!)

たん!

こちらに回ってくる人数が減り、圧が下がった。

「ヴェスタ残弾は?」

「24!」

「マガジン交換して、予備もあげるからそっちを装填」

カシャと抜いてマガジンを投げてよこすジュノ。

横のゲージをみれば残弾12となっている。

12と24と30のマガジンが有るので、30と12をヴェスタが持てと言うことだ。

24を装填したジュノが、背中から短剣を抜き出す。

刃渡りが60cmほどある、チタン鋼のナイフだ。

もともと持っていたサバイバルナイフを原料にナノマシンで加工して、刃の部分だけチタンで残りは鉄製だ。

刀身は細く、片刃で先端は刺突もできる仕様。

右手に短剣を持ち左手に持ち替えたライフルでまた一人撃つ。

たん!

「よし右回りで猟っていくよ!」

外輪山の上を走り、見つけた獲物を撃つ。

たん!たん!

二人で交替で撃つルーチンはそのままだ。

同時に撃つと弾が無駄になる。

撃ち殺しながらもヴェスタの頭には、ちらちらとジュノの裸体にむらがる黒い身体が浮かぶ。

(ゆるさない!よくも!)

かっと頭に血が上るのを自覚する。

襲撃者の原住民には女性もかなりの数混じっているのだが、ヴェスタには関係ない。

すべて害獣に見えるのだ。

一方のジュノはすうと冷静に思考している。

(残りは1/3程度のはず‥‥なぜ撤退しない?)

これだけ被害を出しては、仮に勝っても得るものがないだろう。

そう考えるのだが、ガンガンとまだ主船を攻撃するのをやめない。

(全滅するまでとまらない?宗教的、もしくは怨恨?)

冷静なジュノには不審な襲撃だった。

残弾と敵の残り数を考えれば、接近戦まで要らないと思っていたのだが、甘いかもと修正するジュノ。

「ヴェスタ‥‥右を任せて」

右から一人、左から二人来ていた。

「りょうかい!」

たん!

一人目の胸を貫く弾丸。

敵は防具もないので、胸に当たればだいたいD.I.A.(Disabled in Action)‥‥戦闘行動不能だ。

目標も大きいので、慣れてきたヴェスタは躊躇無く狙い撃つ。

たん!

多少外れても上半身の中には集弾するので、DIAは取れる。

しゅぱん!

ジュノが外輪山を駆け下りながら、敵を捉え切り裂く。

駆け抜けた後ろで血煙があがる。

そのまま足を止めず上に戻り、走り続けるヴェスタの横に戻った。

「きれすぎ!?手応えなかったよ」

「うん!すごかった」

ジュノの感想に、ヴェスタも答えた。

同じような事をしていると段々と敵の密度が下がり、回り込んだ二人が船の正面に戻る。

船の右舷ハッチであばれている4人程が最後だった。

すぐ近くまで行って、背中から上半身を打ち抜き黙らせた。

「アイカ、終わったけどちょっと待機ね。確認してくる」

「了解!おやつ準備しておくよ!」

「やったぁ」

軽口を叩きあうジュノとアイカ。

ヴェスタは血圧が下がってきて、やっと身体が震えだす。

先日の一級装備と違い、眼の前の敵を殺すのは初めてだった。

がくがくと震える腕を自分で抑え、ライフルのセレクターをOFFにした。

暴発させかねない状態だった。

「‥‥ヴェスタ。シャワー浴びて待ってて。わたしが見てくる」

よく見れば若干返り血も浴びていた。

ジュノは右半身が返り血で真っ赤だ。

「‥うん‥ごめん」

がたがたと足もとも定まらない自分に情けないと思うヴェスタ。

ぽんぽんとやさしく肩を叩かれ顔をあげる。

「よくやったね‥‥えらいヴェスタ」

ぎゅっと抱きしめられるとぽろっと涙も出てしまった。

「‥‥うん‥‥‥‥ごめん」

さっきと同じセリフだとおもったが、ジュノは笑顔で背を向け走り出す。

逃げ回りながら撃った相手の生死を確認しに行くのだ。

おそらく生きていてもPOW(捕虜)は取らないだろう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ