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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第13章
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【第125話:新大陸を移動します】

山脈を源流に海まで注ぐ大河が有る。

河口付近には港街もあり、山間部から切り出した原木を下ろし運び出すアヤンタ王国最大の河だ。

この源流付近で険しい山奥の滝上に少し広めのスペースがあった。

そうとう頑張らないと到達できない標高2600m程の山深い奥地だ。

この辺りでは水量はさほどないが、流れは急流だ。

「ここをキャンプとします!」

『了解です!隊長!』

そしてヴェスタの号令と共に、各人が拠点を構築していく。

マクラはいないが、人では7人もいる。

アイ達は主にマインビームで整地係。

ジュノは付近の偵察に出る。

アイカとヴェスタでバイオガスプラントを設計していく。

主に原料となる木材は、整地しながらそこそこ溜まりそう。

持ち込んだナノマシン入りの専用プラントを設置すれば完了。

貯蓄用の燃料タンクも隣接して、そこに溜め込んでいく。

VTOL機の主機たる核パルスジェットは、主に吸い込んだ空気を核融合炉の排熱で温め、燃料を吹き込むことで断続燃焼させる仕組みだ。

燃費は非常によく、専用の燃料を100リットルもあれば2000kmを飛んでくれる。

ストレージになる燃料タンクは1本500リットルなので、満タンになっていれば4~5回給油可能だ。

今夜はここにテントを張って止まるので、手の空いたものからそちらの作業も進める。

偵察から戻ったジュノは鳥とイノシシを抱えており、偵察にいったのか狩猟にいったのか分からないレベルの戦果だった。

「近くに大型の獣はいないようだね。人が入った形跡もないよ」

ジュノの偵察情報をみなが共有する。

早速晩御飯にするため、ジュノとアイカがかかりきりになる。

ヴェスタは火を起こし、先日の要領でキャンプファイヤーも準備した。

50mほど行くと落差10m以上有る滝になっており、水量は多くはないがどどどと音が聞こえてくる。

平たい石を探してきて、マインビームで加工する。

薄くて平らなものを鉄板のようにして、石を並べた上に乗せ下で火をつける。

ジュノが狩ってきたイノシシはさばかれ焼肉になり、じゅうじゅうと石の上で焼かれる。

「肉よ!肉を喰らうのよ!」

『おー!』

アイ達は電気を食べるのに、何故か一緒に「おー!」するのであった。

鳥はスープの具材になって消えていった。




昨夜は盛り上がりすぎて、夜ふかしになったので、今朝はだいぶゆっくりの朝ごはん。

シンプルに携帯食でお茶を飲む。

「いったん山伝いに東進して、首都が見えたら下りていこう」

さんざん昨夜も歌いまくり、喉がちょっとアレなジュノが言う。

ちょっとハスキーになっていてレアだなとヴェスタあたりは喜んでいた。

全員が核パルスジェット装備になったので、ホバーも飛行も可能だ。

ホバーで時速300km/h程度、飛行すれば時速800km/h程度で飛べる。

視認される可能性が出てくる辺りから、ローラーダッシュに切り替える予定だ。

ローラーダッシュでも平滑地なら200km程度は速度が出る。

麓に近い尾根を越え谷を飛び越えて進んでいく。

ホバーで3mほど浮き上がり水平に移動するのだが、地形の影響を受けないのでかなり速度が出る。

燃費のいいパルスジェットだから可能な移動だ。

そうして2時間ほど移動すると、また別の川が見えてくる。

補給基地を作った河とは別口で、もう少し水量も少ない。

そこで一度休憩を取り、拡張マップを確認した。

ちなみに今日は街を散策する予定なので、外装装備をここに隠していく予定だ。

マインビームで穴を掘り、そこにシーツをしき装備をしまう。

3人分しまうと、当てにしていた巨大な岩をジュノとアイカで運んでくる。

重さ的にはティア6の保護スーツがあるので、ジュノ一人で持ち上がるのだが、大きさ的に二人のほうが動かしやすかった。

ヴェスタがおーらいおーらいと誘導し、穴の上に下ろす。

どすんと下ろせば穴は隠れて、誰かに持っていかれる心配もなくなった。

そこからはブーツに履き替えて、ローラーで走り出す。

少し街に向けて進むと道が現れる。

民家もぽつぽつと有るようになり、時々畑に人がいたりする。

「おぉ‥‥人がいるよ!」

なにか珍しい動物でも見つけたかのように、ジュノが畑にいたおじいさんを指をさす。

「ジュノ、ゆび指したりしたらだめだよ、おこられるよ」

ヴェスタに指摘されてへっと舌をだすジュノの。

「どうしますかね?ローラーダッシュは目立ちませんか?飛んだほうが目立たないかも?」

このブーツだけでも、保護スーツの脚力と圧縮空気のノズルがあるので、20m程度は飛び上がることができた。

「まぁ‥‥少し道をそれて目撃されにくくする、くらいでいいかな?‥‥なにか有ってもラウメン神聖国の聖騎士ジュノがいるからね!」

「そうそう、使徒様もいるよ」

「ふふ、国際問題になっちゃいますね!」

難癖付けられたら、こないだの偉そうな人を呼び出して、文句を言えばいいまで思っているアイカ。

踏まないであげた恩義があるぞとか思っている。

ちなみに武装としてはジュノが斧とライフルを、ヴェスタもライフルを持ち、アイカは式神を2体だけ上空に待機させている。

残りのアイ03とアイ04は、アイカの腰にプランとぶら下がり、人形のフリをしている。

3人共先日入手していた古着を参考に、町娘風のAラインのシンプルなワンピースを着ている。

色は白っぽいが木綿で作ったので、この世界でも作成可能なものだろう。

保護スーツと干渉しないように、下は膝丈程度上は半袖にした。

その上からこちらではよく見る旅行用の薄茶色の長いマントを身に着けている。

これは普通は鞣した皮で作るらしいが、ナノマシン製なので、耐刃耐弾装備となる。

保護スーツと合わせれば、怪我をすることもないであろうと、考えている。

「あれかな?首都?結構大きいよ!」

期待できそうだなと、にまにまするジュノ。

まだ日没前だし、今夜はここで宿を取り街を堪能する予定なのだ。

お金は先日金貨を偽造して、カルサリクで買い出しをして、お釣りを銀貨と銅貨でもらっていた。

おそらくそこいらの人間の年収に匹敵する金額を持ち歩いている。

「まずはホテルを探しましょ!」

ヴェスタの号令で、てくてくと徒歩になった3人は、わいわいと話しながら夕方の街に入っていった。




挿絵(By みてみん)




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