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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第11章
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【第110話:女神の美しき使徒?】

「かかかか、神を語るとは?!この異教徒の魔女め!」

腰が抜けてぺったんしている枢機卿ファレチフがふるふるする指でジュノ達を指した。

教会の人間らしき白服がまた何人か出てきて、枢機卿危ないですこちらにとか騒いで起こそうとする。

『‥‥これもうシナリオ進めちゃったほうが早くない?』

ジュノの提案。

『そうかも‥‥ガツンとヤリましょう‥‥アイカが先にコツンとやってしまいましたが‥‥』

『くすん‥‥ごめんなさいです』

すっと跪くジュノとアイカの横に黄金の光りが降り立つ。

上空10mに待機している式神01から投影されるホログラフィだ。

光りが收まると、そこには金色に縁取られた美しい女性の姿。

しろいチュニックとローブを重ね、白金のリングを飾りに着けている。

ふわりと黄金色にピンクがラメる金髪が流れ落ちる。

『これなるは女神ラウマさまの使徒、ヴェスタなるぞ‥‥頭が高い控えよ!』

ピシっと一番うしろの無事なマストを指差すヴェスタ。

あわせて式神02から魔法が放たれ、マストをへし折った。

雷撃魔法を通常発動したのだ。

スタンさせるのでなければこれくらいは威力の有る魔法だった。

ちなみに本当は真ん中のマストでする予定だったが、アイカが先に壊してしまった。

『ははー!!』

天罰は怖かったのか、流石にひれ伏す船員達。

教会の人間は枢機卿を引っ張って船室に逃げ込んでいった。

今度は至近距離で異能を見せられたシャラハ中将もひれ伏していた。

(こわ?!なにあれ強すぎるでしょ?魔法なの?神罰?!‥‥はやすぎん?あんなの避けられないって)

シャラハは魔法使いとも何度も対戦し、魔法を避けて隙を突き倒してきた。

詠唱する時間が隙だと認識していた。

アイ達の詠唱は通常の30倍の速度でぴーちちちとするので、とても発動が早い。

みながひれ伏したので、偉そうな鎧のシャラハもジュノの目に入った。

「おい!そこの金色鎧?お前が一番偉そうだな?こっちこい!」

もうなんか悪人っぽくなったジュノがくいくいと手招きする。

びくぅとなるシャラハ。

(しまった‥‥もっと弱そうな鎧に‥‥くっもう遅い‥‥ここは素直に従おう)

「あ‥‥はぁい、いまいきまぁす」

よわ?!シャラハ将軍よわ?!と船員達は驚いた。

シャラハは世渡りも得意だった。

そうでなければ中将まで出世は難しいであろう。

舷側にそって階段を降り、進んでジュノの近くまでちんまりと来た。

「頭が高いのです!」

アイカが調子に乗ってライフルでコツンとする。

どしゃ!っとシャラハが床に叩きつけられる。

(い‥‥いたいのですが‥‥)

たらりと血も流れ落ちた。

『ちょっと?!アイカやりすぎ』

ジュノがおどろく

『え?!かるぅくコンってしただけですよ?』

アイカに自覚はないのだが、一番肉体的に弱いヴェスタですら、この世界では超人なのだ。

『あいか‥‥どんな武闘派の女神なのよ?!』

『ごめんなしゃい‥‥』

またしてもヴェスタに怒られたアイカは、もううるうるになっていた。

横一文字に赤く光るセンサーゴーグルを目に下ろしているのでみえないが。

『顔をおあげなさい‥‥』

光り輝く使徒ヴェスタがシャラハに告げる。

そうじゃないとホロ映像が出せないので、上空からはいまだ光が降り注いでいる。

それは宗教画のような神聖な絵面(えづら)ではあった。

まぶしそうに見上げた先にはプリズムの光に縁取られた天上の美貌。

ちなみに、今スパイラルアークの操縦室で、このコスプレをしてヴェスタはカメラに話している。

後ろは合成用のグリーンバックだ。

『女神様はお嘆きです‥‥民草を解放なさい異国の将よ』

ヴェスタがそれっぽい感じで告げる。

「お‥‥おそれながら‥‥わたしなどはただの雇われ軍人でして‥‥先程の枢機卿ファレチフ様こそが意思決定者です」

シャラハ中将は全力でなすりつけた。

(う‥‥うそは言っていないはず?)

ぷるぷると痛みに耐えるシャラハ。

『‥‥それなるをここへ』

ちょっといらっとして不機嫌になったヴェスタにビビるシャラハ。

がしっとすぐ横に来ていたジュノに片手で立たされる。

勢いあまって片手で持ち上げられていた。

(ひぃ‥‥バケモンか?)

どうみても体積的に半分もないジュノに片手で持ち上げられそっと降ろされた。

右手はほらライフルもってるからみたいな顔をしているジュノ。

ニコっとちょっと笑ってみせたりもする。

ほら怖くないよぉみたいな顔だ。

おでこから血を流しながら、よろよろと船室のドアを開けるシャラハ。

ガチャ

「ひぃ!」

中で3人ほど寄り集まって震えている。

ファレチフにおいでおいでするシャラハ。

ふるふると首をふるファレチフ。

くりっと外に話すシャラハ。

「イヤだそうです‥‥」

(もういっそファレチフをぶっ飛ばしてくれないかなぁ?)

『聖騎士ジュノ‥‥許可します力を示しなさい』

『はっ!ヴェスタさま』

(全力で嫌な予感が‥‥)

じりじりと下がり、海に逃げようとするシャラハ。

ジュノは背中に背負っていたスマートライフルで、船室の屋根を狙った。

きゅぃぃぃと機関部がうなりチャージした余波がパリパリと銃身に漏れる。

ずどん!!

がりがりぃ

どがしゃあ!!!

2階建てビルのような船室の、上半分が綺麗に無くなった。

ジュノは予想以上に踏ん張りが効かず、つま先のアイゼンを立てて踏ん張ったががりがり削って下がった。

ドン

「あ‥‥」

ちょうどそこいらまで逃げてきていたシャラハにおしりがあたるジュノ。

ひゅうぅぅぅぅどぼん!

『あ‥‥』

シャラハが舷側を越えて落ちていった。

『アイカ!救助』

ヴェスタの声にはっとなるアイカ。

とんっと飛び降りてレヴィテーション発動アイカの詠唱も本気だとぴぴちちちとなる。


『System.Command: levitation()――Execute!』


ぽうぅっと光を放ち浮かんだアイカの足元にシャラハが出てくる。

「ぶはぁ!!」

(くぅやっべえ!フルプレートだぞ!10秒と泳いでいられねえ!?)

がし

「え?!」

ひょいと片手で持ち上げて、ざばぁと水面に引き出すアイカ。

「あぶないですよ?」

よかった死ななくて、また怒られちゃうところだったぁ、てへっと笑うアイカ。

すいぃぃぃと浮かんでいくアイカは片手保持で、筋肉質な大男+フルプレートの150kg程を持ち上げた。

とんっと甲板に戻ったアイカを見る船員と、教会関係者。

目ん玉が落ちそうであった。

どしゃあ!

無造作に甲板に下ろすアイカ。

「気をつけてくださいね!」

指を一本立ててぷくっとなり叱ったアイカ。

「あ、はい‥‥」

腰が抜けたシャラハはもう立ち上がれなかった。





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