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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第10章
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【第103話:覚悟をすること諦めないこと】

街は随分と活気がなかった。

目立たないようにと考え、古着屋でシーツや羊毛を売り、外套を仕入れた。

薄茶色のあまりきれいなものではなかったが、3人の保護スーツは綺麗すぎる白なので遠目でも目立つ。

銅貨を10数枚お釣りとしてもらい、こんなの秒で偽造できますとアイカに言われた。

鋳造した胴は、純度も低く容易くコピー出来ると。

「まあ‥‥どうしてもとなってからね」

ヴェスタは違法だろうし、よくないことと考えたようだ。

何だったら領主の屋敷から接収した金貨のデータもあるので、そちらもナノマシンがあればいくらでも作れる。

食料品店に入り、値段を見れば何度も書き直されて元の値段の3倍ほどになっている。

「ずいぶん高いんですね」

ヴェスタが店主に訊ねる。

今は色々不安定で荷動きも少ないんだと、店主はわびた。

ハムやソーセージなど燻製してある日持ちしそうなものだけ仕入れた。

銅貨が無くなってしまうが、情報を得られた。

先週あたりにこの街にも帝国が来たらしい。

ほとんどの住人は逃げ出したが、捕らわれたものは一部戻らなかったとのこと。

人口は半分程度になってしまったとも聞いた。

「リーシャさん大丈夫かなぁ‥‥身よりもないって言ってたし心配だな」

ヴェスタの声は沈んでしまう。

この街にリーシャが来たのは自分のせいかもと考えていた。

「仕方ないよヴェスタ‥‥リーシャさんの選んだことだよ」

ジュノの声は優しいが、表情は浮かない。

心配なのは同じなのだ。

ぶらぶらと見て歩いて、あちこちで話しは聞けた。

どうやら後任の領主も来ていないらしく、今は役所の人が色々と取り仕切っているようだ。




拠点に戻りながら、再度偵察コースを抜けた。

アイカが解析して、やはり増えていた船は輸送船で人を乗せていることが見て取れた。

拠点で晩ご飯のあとにお風呂。

アイカはアイ達とスパイラルアーク内で作業をと言って来なかった。

「ジュノ‥‥連れていって何をするのかな?」

ヴェスタが湯船に入ってから尋ねた。

ジュノも入りながら答える。

ちゃぽんと全身つかると、ふぅと声が出てしまうジュノ。

「‥‥もちろん予想なんだけど」

そうことわって話し出すジュノは悲しそうな目をする。

「教会主導だとあの航海士も言ってたしね‥‥改宗とかが一番かな‥‥あとは労働力かなぁ?」

ヴェスタは不思議そうにする。

「現地でも出来ることをわざわざコストをかけて連れて行くのは?」

ジュノはさらに嫌そうな顔をする。

「大昔の事例をみれば聖地奪還?とかかな‥‥ジェスタもこの島には神様が居るとか言ってたし」

ジェスタの話では、現地の住人もこの大陸の砂漠を神聖視していると聞いた。

「手に入れるだけなら支配で良い気もするけど‥‥追い出したい?ってことかな」

なかなか誤魔化されてくれないヴェスタに、仕方なくジュノは告げる。

「血なのかも?‥‥恐らく帝国は血統をおもんじるのだわ‥‥はみ出しものとアヤンタ王国のことを蔑んだのもその辺りじゃないかなぁ‥‥」

あまり話したくなさそうに続けるジュノ。

「ウルヴァシャックでも聞いたじゃない?男と子供と老人は残されたと‥‥連れ去ったのは若い女だけ‥‥子を産ませるきなのよ」

ヴェスタも理解が及びキリと眉をあげる。

「許せないと思う‥‥どうしたら止められるかな?」

ジュノも同じ気持ちだし、具体策も持っていた。

「最初に提案したやつだね。ドカンとかまして上の者を引っ張り出す。そのうえで脅して辞めさせるくらいかな‥‥なにか帝国が困っているならそれを代わりに助けると、条件を出すのも良い」

ヴェスタもジュノの思考に追いついた。

「デメリットをしめし、メリットを選ばせる‥‥今のティアでも神様で通りそうだものね」

こくんとジュノもうなずく。

「アヤンタ王国も黙っていないだろうから、遠からず全面戦争になる。帝国はそれを望んでいる」

アイカの試算した戦力比は帝国:王国で5:1以上の差があると見立てた。

正面から当たったら勝ち目はないだろう。

「引かないなら王国に付くと言えば、きっと了承する」

ジュノの結論はそうなった。

「解った‥‥アイカにも相談しよう。スパイラルアークを出すことになりそうね」

こくんとジュノも肯定する。

スパイラルアークには、隕石などの飛翔体破壊のため高火力のレーザー兵器やレールガンも積まれている。

一撃で船団を蒸発させる威力だ。

射程も軌道上から狙える程度の距離を撃ち抜ける。

「相談は明日でいいよ‥‥今日はやめとこう‥‥アイカも何か調べたいって言ってたし」

ちゃぷとジュノは先に上がってしまう。

「うん‥そうするぅ」

ヴェスタも後を追って上がる。

一緒に上がって髪を乾かさなければいけないのだ。




アイカはナノマシンポッドの收まる区画を調べている。

3人で出かけているあいだにもアイ達に少し調べてもらっていた。

「こっちだよママ」

「はーい」

アイ01の案内で船内のバイタルシャフトを、問題の地点に向かうアイカ。

スパイラルアークのマザーアームCPUが、アイカの掌握下にないため色々なことを現場に行って確認しなければいけない。

操縦室のエンジニア席から確認すれば、全て正常と回答が来る。

そもそも空間拡張機能が正常に作動していれば、なんの苦労もなく帰還できたのだ。

星系間航行の為のエネルギーすら、ナノマシンが充実していれば準備できる。

「ここまでは確認できたよ!」

「ふむ‥‥ユニット側からの引き込み部か‥‥厄介だな」

これ以上ティアを上げようと思えば、今のナノマシンポッドの容量では足りないので、なんとかならないかとアイカ達は先日から取り組んでいた。

案内が終わったので、アイカによじ登り肩に座るアイ01。

アイカは小さなメンテナンスハッチを開けて頭を入れる。

すっと出てきて、拡張表示された立体図面を確認。

「‥‥見た目も、信号も正常‥‥動作はしないが、したと応答する‥‥」

アイカは似たような不具合がこの船の各所に起こっていることを知って、絶望したものだ。

「こんな状態で星系間航行なんて自殺行為だわ‥‥どうしたら」

ぶんぶんと首をふるアイカ。

「なにを弱気な‥‥しっかりアイカ‥‥」

「ママがんばれ!わたしも手伝う!」

「アイちゃん‥‥うんがんばろう!‥‥じゃ奥側のB-002から004までNCを全部外してきてね」

そう言ってアイ01に工具を渡すアイカは、自分でもユニットの電源を切り、手前側のパーツを外しにかかる。

メンテナンスハッチの奥は狭いのでアイ01にたのんだ。

異常が有るとしたらこれだろうと、パーツを幾つか持ってきたので、異常はなさそうだが交換してみることとした。

何もしなければ、何も進まない。

(すすむんだ‥‥)

アイカは手間がかかっても、確実に前に進みたいと願い作業を続けた。





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