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【完結】ヒミツの放課後ホラー ~新米教師と、呪われた七不思議~  作者: ましろゆきな
エンディング

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結城柊エンディング:保健室にて

「結城先生、いらっしゃいますか?」


「ああ、桜井先生、どうかしたのかな?」


「ちょっと指を切ってしまって。消毒薬をお借りできますか?」


「もちろん。というか、俺が消毒するから、そこに座ってて」


 結衣は結城先生に言われるがまま椅子に座った。彼は手際よく結衣の指の傷を治療していく。彼の顔は真剣そのもので、その温かい手に、結衣は心の中で安堵のため息をついた。


「ちょっと疲れてるんじゃないか。目の下にクマがあるぞ」


「あはは、ばれちゃいました? 日々、実習とレポートに明け暮れています」


「あんまり無理しないように、ね」


「ありがとうございます」


 彼はそう言うと、静かに絆創膏を貼り終えた。その手つきは、いつも生徒たちに向けるものと同じ、優しさに満ちていた。


「……君は本当によく頑張ってるよ。本当に驚くくらいだ」


「え?」


「こんな小さい手にいろんなものを抱えて。君には助けられてばかりだ」


 結城先生の言葉に、結衣は何も答えることができなかった。彼が、自分のことを、これほどまでに見ていてくれたことに、彼女の心は震えた。


「結城先生……」


「……もう、君には傷ついてほしくないな。これからは、俺が守りたい」


 結城先生はそう言うと、結衣の瞳をまっすぐに見つめた。彼の瞳には、以前のような複雑な感情はもうない。ただ、彼女への深い愛情と、強い決意が宿っている。


「君はたくさん人の痛みに寄り添ってきた。今度は君の痛みに俺が寄り添いたい。……一人にさせたりしない」


 彼の言葉は、結衣の心臓を、深く、そして温かく、満たした。これまで一人で背負ってきたすべての重荷が、彼の言葉によって、そっと下ろされたような気がした。


 結衣は、何も言わずに、ただ静かに、彼の温かい手に、自分の手を重ねた。

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