19/25
第十八話:律との帰り道
結衣がカーテンを開けると、律は、安堵したように息を吐いた。
「よかった、結衣先生。大丈夫そうで」
「榊原くん、ありがとう。心配かけてごめんね」
律は、首を振ると、静かに言った。
「こんな時間だし、俺が送っていくよ」
帰り道、律は、結衣の少し後ろを歩いていた。
「……結衣先生は、どうして、そこまで頑張れるんですか?」
彼の問いに、結衣は少し考えた後、答えた。
「どうして、だろう……。困っている人を見たら、放っておけない、っていうか」
律は、その答えに、静かに微笑んだ。
「先生のそういうお人好しなところ、らしいと思うよ。でも、一人で大変だと思ったら、俺に助けさせて欲しいな」
律は、そう言うと、結衣の手に、そっと自分の手を重ねた。
「俺の霊感は、先生を傷つけるかもしれない。でも、先生を守るために、俺はもっと力をつけるよ。先生が笑顔でいられるように、ずっと先生のそばにいる」
律の言葉は、彼の結衣への深い思いやりと、そして、彼女への強い愛情に満ちていた。




