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第73話 最強の保護者たち、ここに参上!

応接室の扉を開けるとーーー


黒髪をハーフアップにした、清楚な印象の女性と目があった。


ララが挨拶をしようと、片足を後ろに引きかけたその時。


「きゃぁ、なんて可愛らしいの!この子が私の娘になるのね!」

跳ねるような勢いで、ララの目の前までやってきた女性は、嬉しそうに口元を緩める。


挨拶をしようと構えたララを、ぎゅっと抱きしめて、はしゃぐ彼女の様子に、ララの困惑は深まるばかり。


誰か……、そんな思いで視線を彷徨わせて、助けを求めた。


「こら、アイリーン、うちの娘を放しなさい。びっくりして固まってるでしょ」

そう言って、女性を引き剥がしたのは王妃セリーヌ。


「もう、いいじゃない。私の娘にもなるんだし。

ね?ララちゃん!」

はしゃぐ彼女は、ノルフェリア王妃、アイリーンだった。


ーーーこの感じ、誰かとにてる……。


アイリーンの雰囲気がよく知った誰かと似ているようで、首を傾げるララ。


ようやく到着したランゼルが、大きくため息を吐く。

「母上、もう少し落ち着かれては……」


そんなランゼルに、アイリーンは一言。

「やっぱり、娘はいいわね。息子は無愛想」


「あら、ランゼルはいい子よ。それより、一国の王妃が何の連絡もなく来る方が、どうかと思うわよ」

セリーヌの呆れた声に、クスッと笑って返すノルフェリアの王妃、アイリーン。


「王妃として来たんじゃないもの。今日は、保護者参観みたいなものよ」


「どんな屁理屈よ。おかげで、うちの城は大騒ぎよ。……でも、久しぶりに会えて、嬉しいわ」

そう言って、セリーヌは笑顔を見せた。


ーーーっあ、わかったかも‼︎


「……バートン、……バートンに似てるんだわ」

ララは思わず、声に出して呟いていた。


「正解。母上の兄の子どもがバートンなんだ。バートンは、従兄弟なんだよ」

ランゼルの言葉に、なるほどと頷くララ。


ちょうどそこへ、慌てて登場したバートンとライオネル。


「遅くなりました」

バートンが挨拶をするなり、甲高い声が響いた。


「バートンさま!会いたかったですわ!」

頭に大きな赤いリボンを付けた、小柄な少女のような見た目の女性。

明るめの金髪と、碧眼が美しい。


駆け寄ってくる、その女性を見たバートンが思わず「うわぁ、でた……」、そう漏らした。


「もう、何が『でた』なんですの!久しぶりの再会ですのに」

そう言って、頬を膨らませた彼女。


すぐに、姿勢を正してセリーヌとララに向き直ると、優雅に礼をとる。

「お初にお目にかかります、バートンの婚約者でジュリアと申します」


先程までとは、一転。

完璧な淑女の姿がそこにあった。


ララもようやく、ノルフェリアの客人達に向かって挨拶ができ、ホッとした顔をランゼルに向ける。


そんなララに、労わるような穏やかな視線を送るランゼル。

そっと彼女の背中に手を添えて、ソファーまでエスコートしようと動いた。


目の前の光景に、目を見開く王妃アイリーンと、ジュリア。


「バートンさま、あのランゼル王子の皮を被った紳士はどなたかしら?」

ジュリアの失礼なツッコミに、楽しそうな顔をしたバートンとアイリーン。


「ほんと、どなたでしょうね。うちの息子は偏屈で無愛想なはずだわ」


「いえいえ、叔母上さま。彼はあなた様のご子息、ランゼル王子であらせられます」


ふざけ合う叔母と甥っ子、そしてその婚約者。


ギョッとした表情で、ランゼルを見つめるララの視線から逃れるように、彼は真っ赤な顔を片手で隠した。


「おい、バートン。いくらランゼル王子が、紳士的な振る舞いができるようになったからって、そんな風に言ったら失礼だろ」

扉のすぐそばのライオネルが堂々と言い放った。


そう間をおかず、ゴツっと鈍い音が鳴る。

音の方向を辿ると、ライオネルが頭をおさえて蹲っていた。


「ライオネル、お前が一番失礼だ」

彼の頭に拳を落としたのは、騎士のような服装の長身の美女。


「姉上、痛いじゃないか。僕の自慢の知識が消えてなくなったらどうするんですか」

噛み付くライオネルを軽くいなすと、彼女はセリーヌとララに向き直った。


「ご無沙汰しております、王妃セリーヌさま、王女ララさま」

スマートに騎士の礼で挨拶する。


「元気にしてた?ノーランの騎士服姿、初めて見るわね。素敵よ」

セリーヌは久しぶりに会う姪に、優しく微笑んだ。


ララはノーランを覚えておらず、「初めまして」と挨拶を交わした。


賑やかな応接室を覗く二つの影ーーー


ちょうど通りかかったリーゼルが、影に向かって話しかける。


「父上も、バロンもなぜここで待機してるんです?入って、皆さんに挨拶したらいいでしょ」


「……いや、リーゼル、……あの中に入るのは、ちょっと勇気がいるぞ……」

腰が引けている、国王ヨハン。


「ノルフェリア……、強者揃いだな」

汗が止まらない、宰相バロン。


廊下の三人に気がついた王妃セリーヌが、いい笑顔で手招きする。


ようこそ、カオスな世界へーーー

そう、表情が語っていた。


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