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第64話 仲間と共に、一歩前へ!

「……今日はもう遅いから、対策は明日からで大丈夫だからね」


優しい声色で告げたリーゼルは、ララの頭に手を置くと、柔らかいシルバーブロンドの髪を撫でた。

言葉には出さないけれど、妹の心を癒したい兄の最大限の心配り。


そんな兄リーゼルの思いはしっかりとララへ届いた。


「ありがとう。ちょっとだけ、確認したい事があるから、それだけ今日のうちにやっておくわ」


その顔からは憂いも憤りも消えて、何かひらめいたような表情を浮かべている。


ララが執務室の扉に近づくと、そっと扉を開けるランゼル。

彼の愛おしさをたたえた瞳に、恥ずかしさよりも安心感と嬉しさが湧き上がってきた。

『もう大丈夫、ありがとう』の思いを込めてはにかむと、そっと背中に手が添えられた。


「一人で背負わなくていいから」

ランゼルのその一言に、肩の力を抜いて歩き出したララ。

いつもは少し後を歩くランゼルも、今日は隣を歩き、歩調を合わせる。


王宮の廊下を進みながら、ランゼルが顔を向けて尋ねた。

「どちらへ?」


先程から何かを探している様子のララは、ランゼルに視線を移して答える。

「レネに尋ねたいことがあるの」


そう話しながら歩いて行くと、彼女の姿が見えた。

少しだけ足早に近づくと、声をかけた。


「レネ、よかった。ちょっと聞きたい事があるんだけど、今時間大丈夫?」


「はい、どうなさいましたか」

振り返ったレネは、ララの穏やかな表情に安堵する。先程の緊迫した様子が気になるものの、静かに王女の言葉を待った。


「レネのお母様って、侍女だったわよね?」


「はい」

ララの質問の意味が掴めないレネは、首を傾げる。


──あぁ、いきなり聞かれても疑問に思うわよね。ちょっと先走りすぎたかしら。


「意図がわからない質問よね?あのね、引退した侍女や使用人の手を借りて、介護や支援が必要な家庭のサポートがしたいの」

そう話し出したララは、簡易学校での出来事やハンスの家庭の状況を簡潔に話した。


「わかりました、ぜひ協力させてください。明日朝一番で母に伝えます。早急に昔の侍女仲間に連絡を取って、集めてもらいます」

真剣な表情で答えるレネ。


ララとレネの様子に「何かあったんですか?」と心配を浮かべたジャックが、近づき声をかける。


ララは先程の内容をジャックにも伝えた。

「そうなんですね……、あぁだから王女さまは、あんなに急いでいらっしゃったんですね?」


廊下ですれ違った時の様子を思い出すように、ジャックは話した。


ララが頷いて肯定すると、ジャックは言葉を足した。

「ばあちゃん達が子どもの頃は、そんな家庭も珍しくなかったみたいですよ。昔聞いた事があります。でも最近はあまり聞かないなぁ」


「私たちが気づいていないだけで、そんな状況で苦しんでいる人はまだ他にもいるかもしれないですね」


「兄さまにも話は通してあるから、数日中には王都の状況はわかると思うの。だから、すぐに対応できるように準備を整えたいわ」

そう告げたララに、レネもジャックもしっかりと頷く。


「俺のばあちゃんも、元王城の使用人なんで明日聞いてみます。まだまだ元気で、近所の悪ガキ追いかけ回してるから力になれますよ」


「ありがとう」

そう言ってララは微笑んだ。


──私には頼れる皆がいる。

大丈夫、きっと上手くいく。

いいえ、絶対に……


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