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第54話 最初の作戦会議は自己紹介⁉︎

窓から見える太陽が一番高い位置で照りつける午後、城の一角にある政務会議室では今後の予定を話し合うためにララとリーゼルを中心としたメンバーが集まっている。


「ではまずは自己紹介からでもはじめる?」

真剣な顔で席につく面々を見渡しながら、ララはにこやかに告げる。

「そうだね、今からこのメンバーで改革に取り組むんだから、必要だね」

リーゼルも提案に応じて自己紹介を始めた。


「王太子のリーゼルです。今回の取り組みはアルマティアにとって大きな変革です。未経験の事ばかりなので、様々な問題が出てくる事が予測されます。できる限り、速やかに対応していきたいので、報告は密にお願いします」


「ララです、皆さんの協力に感謝します。今回かなり大掛かりな取り組みになります。まずは、エネルギー源変換機の開発と教育機関の立ち上げが優先的と考えています。しっかり連携をとりながら進めたいので、気軽に話しかけてくださいね」

そう言って優しく微笑んだララに、周りから感嘆のため息が漏れた。


続けて挨拶したのはランゼル。

「ランゼルです。ここでは王女の護衛騎士として在籍しています。魔法は使えますが、護衛騎士としての介入がメインです」


「えっ、ランゼル王子が護衛?」

一人の魔道士が驚きのあまり声に出した。


ノルフェリアの魔道士団は互いを見やったりランゼルに視線を動かしたりと動揺する。

その場の空気を破ったのはリーゼルだった。

「ランゼル、王子って、ノルフェリアの?」

目を見開いたまま、やっとの思いで声を絞り出す。


「はい」

気まずそうに答えたランゼル。短い沈黙の後、ララの明るい笑い声が響いた。

「あぁ、お兄様ごめんなさい。伝え忘れていたわ。そういえば、少し前にバートンがバラしちゃったのよね?」

「王女様、それ言われると僕……落ち込んじゃうよ」

片眉を上げたバートンは落ち込むどころか、楽しんでいる表情で話す。


「ランゼルさん、ノルフェリアの王族だったんですね。どうりで所作が綺麗だし、雰囲気が他の騎士とは違ったんですね」

驚きはあるが感心した様子のアーロンに、ジュードが話しかける。

「ランゼルさんじゃなくて、ランゼル様だよ」


「いや、ここでは身分は気にしなくていい。護衛騎士のランゼルとして接してほしい。ノルフェリアの皆もいいな」

そういうランゼルに、アルマティアの面々はにこやかに、ノルフェリア魔道士団は恭しく『了承の意』を示した。


空気を変えるようにバートンが「それじゃ」と言いながら手を打つ。

「なんだか話がそれちゃったね、自己紹介の続きでいいんだよね。僕はバートンです。ノルフェリアの魔道士団所属だけど、僕もどちらかというと王女様所属?」

いつもの調子のバートンに、笑い出すララ。


「バートン、何そんな所属あった?」

「えっ、僕が作った。だって、シルクスパイダーの布で並列版作ったりしたじゃない?それって、もう王女様所属でしょ?」

バートンの言葉に、ジュードとアーロンが加わった。


「それじゃ、僕達も王女様所属って自己紹介していいのかな?僕はジュードと言います。父がアルマティアの財務担当大臣です。僕は主に領地や繊維工場での仕事がメインですが、今回シルクスパイダーの布の準備やビス炉に使用している並列版の配送などに携わっていました」

「アーロンです。アルマティアの騎士団に所属していますが、並列版作成から一緒に作業をしています」


バートンの言葉をきっかけに、普段の様子で自己紹介を終えたアルマティア側。


「ノルフェリア魔道士団責任者のルーベンと申します。自国では魔道士団の副団長を務めております。アルマティアの改革に全力を持って取り組みたい所存です」

ルーベンの責任者としての挨拶に続いて他の魔道士達も、真面目にそして和やかに自己紹介を終えていった。


「魔道士のライオネルです。得意な事は魔法付与、好きな事は魔道具作成。この持てる知識、技術全てを女神であらせられるララ様に捧げます。今日から僕も王女様所属がいいです!」

一人斜め上の方向で自己紹介したのはライオネル。


「いやいや、そんな所属ないから」

困惑顔のララに、リーゼルが笑いながら伝えた。

「ララの周りには頼もしい仲間が集まったね。最初は二手に分かれて動く予定だったからちょうどいいよ」


「えぇっ、ライオネルも……、また一緒かぁ」

バートンが冗談めかして言う。

「僕もお前とは気が合わん。お前が魔道士団と動けばいい」

そう言い放ちバートンから顔を逸らすライオネル。


「もう、仲良くできない人たちは二人とも違う作業に入ってもらいますよ。バートン、からかってはダメ。ライオネルもすぐに突っかかっていかない。いい?」


まるで、兄弟げんかを治める母のような口調に政務会議室のメンバーは思った。


――まるで『オカン』だな。


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