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第51話 消えた儚さ、残るはオカン!

堂々と、そしていつもの調子で言い放ったララを、ノルフェリア魔道士団は呆気に取られたように見入っていた。

ただライオネルだけは通常運転なのか、ルーベンの静止を振り切って前に出てくる。


「えぇ、そんな事ないよ。僕は魔法にかけてはスペシャリストだから、これからアルマティアにとって有益だよ」

なんとも言えない空気をもろともせず言い切る姿に、ララは深いため息を吐いた。


「ライオネルさん。今ここがどこで、何をしている所か認識できていますか?」

聞き分けのない幼子に語りかけるように、ララはゆっくりと問いかける。


「もちろんさ!ここはアルマティアで、今は国王様に謁見中だろ?」

さも当たり前だと言わんばかりの返答に、場の空気は凍りつく。ノルフェリア魔道士団の面々は冷や汗を拭えなかった。


ララは静かに口を開く。

「そう、ここはアルマティアの謁見の間。国王陛下の御前なのです。あなたの今の行動は、王族へ不敬を働いたばかりか、自国の魔道士団の価値をも貶める行為なのですよ」


「魔道士団の価値……、あっ……」

誰よりも魔道士である事に誇りを持つライオネルは、その言葉の重みに息を呑む。視線を落とした彼に、ララはさらに声をかけた。


「今、状況が理解できたのなら、この事は不問に致します。ねぇ、国王陛下?」


突然の問いに、国王ヨハンは返答を一拍遅らせた。

「……っあ、ああ。不問に処す」


そんなヨハンに、王妃セリーヌの鋭い視線が突き刺さるが、誰も気づいていない。


ヨハンの言葉を継ぎ、ララはさらに諭すように続けた。

「誰にでも失敗はあります。大切なのは、同じ過ちを繰り返さない事。自身の言動を振り返り、次に活かせば、それはあなたの糧となります。しっかりと学び、成長してください」


その言葉は静かでありながら、ずっしりとした重みを帯びていた。


「……はい。大変、失礼をいたしました」

恭しく頭を下げるライオネルの姿に、魔道士団の者たちは目を丸くする。


「っあ、あのライオネルが反省している……」

誰かの小さな呟きが、驚きの空気を一層広げた。


その場を代表してルーベンが一歩前に進み、深々と頭を下げる。

「寛大なご処置、誠に感謝いたします。……しっかりとその者の本質を見抜き、諭し導くその手腕、誠に感服いたしました。我々ノルフェリア魔道士団はこの誇りにかけて、アルマティア発展の為に全力を持って取り組むことをお約束いたします」


そう告げて団員を従え、ルーベンは退出していった。

重い扉が閉まると、謁見の間には王族と大臣、そして近しい者たちだけが残る。

先ほどまでの緊張が嘘のように、静寂が広がった。


その静けさを破るように、リーゼルが微笑みながら呟いた。

「ララはやっぱりララだよね。きっと魔道士団も驚いただろうね、だって見た目と全然ちがうもんね」


ララは肩をすくめて微笑む。

「見た目?……あぁ、見た目だけなら完璧なお姫様って言われてること?」

「いいや、ララは“ララらしさ”が完璧なんだ」

リーゼルの穏やかな言葉に、場がふっと和む。


続いて、宰相バロンのぼやきが落ちた。

「王女様……いや、オカンが主導者でいいんじゃないか……」


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