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お茶会はお茶をいただきながらお話をする場です

短い

「お、お話を変えてもよろしいでしょうか」

「ええ、構いませんよ」


 動揺しているのだろう。メルヴィ嬢はお茶をぐっと呷った。それでもそれはたおやかな所作である。


「キーア様とは、お親しくお見受けいたしましたが」

「姉の友人なのです。だから昔、よく我が家にいらしていました」


 自分はキーア様に用などないが、それでもいらしたらご挨拶をする必要がある。姉が自分をパーヴァリと呼び捨てにするから、親しくしていたキーア様が自分を呼び捨てにしているのだ。殿下以下皆様にどういうことか聞かれたので、もう何度も話したことだ。いい加減態度を改めて欲しいが、皆に浸透してしまったので改めるおつもりはないらしい。


「その後姉とはなにがあったのかを断固として拒否して聞いていないので分かりかねますが、付き合いがなくなったようですよ」


 キーア様は、姉は姉、自分は自分と分けて下さるお方だったので問題なくお仕えできている。姉の方は一切口に出さないので分からないが、まあ、一緒に暮らしているわけでもないし、自分とキーア様がご縁を結んだわけでもないから何も口にしないのだろう。

 あの頃はこんなことになるとは思っていなかったので、何も聞き出そうとは思わなかった。いや聞きだそうというか、話したそうな姉から全力で逃げた。その内に婚約が決まって、ご婚約者様の方に話すようになったのだろう。あなたなんかよりずっと優しいんだから! と言われたが、それはそうだろう。としか。


「では、パーヴァリ様がキーア様とご婚約するご予定とかは」

「ありませんよ。あの方は本当に、ずっと、殿下一筋でしたから」


 誰もが知る話ではあるが、年が下のメルヴィ嬢は知らぬ話かもしれない。そもそも自分達も、城に仕えるようになってから聞いた話ではあるし。姉たち同世代の女性陣は知っていたかもしれないが、まあ、自分達は全寮制の学院に通っていた都合上、その辺りの情報には疎いかもしれない。


「パーヴァリ様に、良い方はいらっしゃらなかったのですか」

「いたら今こうしてあなたとお茶会には出ていませんね」

「それはそう、ですけれど」


 なんとなくメルヴィ嬢の言いたいことは分かる。分かるが、何と答えたものだろうか。


「自分は伯爵家の次男です。現在は運よく殿下にお仕えすることが出来ていますが、家を継ぐわけではありませんから。縁談は中々」


 なくはなかったのだろう、とは思う。けれど、成立していないのであれば、それはご縁がなかった、ということなのだろう。


「気になることは全て聞いてください。答えられる範囲で答えましょう」


 自分は一応、メルヴィ嬢との未来を望んでいる。特にこれと言って、キーア様のような燃える恋ではないけれど、良いな、と思ったのだから、良いのだろう。先ほどのキーア様の御言葉ではないけれど、メルヴィ嬢には先に気を回して飲んだことがなかろうと考えたり、砂糖壺を渡したりするのも苦ではない。同じことをキーア様や姉にするかと言われたらする気が起きないのだから、それが答えだ。


「それでは、そうですね」


 お茶会の残りの時間は、メルヴィ嬢と幾ばくか話をして終わった。互いのことは何も知らないのだから、これから知っていけばいいのだ。そうでなければ、婚約など、結婚などできないのだから。

ちなみに姉とキーア様は仲直りしています。

喧嘩からしばらくして姉は嫁に行ってしまったため、パーヴァリはその辺りを知りません。

どうでもいいので。

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