表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移は草原スタート?!~転移先が勇者はお城で。俺は草原~【書籍化決定】  作者: ノエ丸
出稼ぎ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/344

82.激戦を終えて。

 ん⋯⋯。


 ⋯⋯何処だ此処は。

 眼を覚ますと、ベッドの上に横たわっていた。

 頭がボーっとする。

 ぼんやりとした頭で状況の整理をする。


 確か⋯⋯、鉱石喰らいと戦っていて⋯⋯。


 戦って⋯⋯⋯⋯⋯⋯。


「鉱石喰らいはどうなった!」


 叫びながら上半身をガバっと起こし、辺りを見回す。


 此処は――アナの別荘か。

 見覚えのある小屋の内装が視界に映った。


 ⋯⋯あれ?もしかして鉱石喰らいと戦ったのは夢なのか?

 いや、そんなはずは⋯⋯。

 部屋の中には自分ひとりしか居ない為、状況が良く分からなかった。

 ⋯⋯そうだ。


「シャロ!居るか?!」


 ベッドで上半身を起こしたまま、シャロの名を呼ぶ。


 すると。


 ガチャッとトイレの扉が開き、中からシャロが現れた。


「あ、ソラ!起きたの?体調は大丈夫?」


 テテテと駆け寄って来るシャロ。


 体調か⋯⋯。うーん、特に異常は感じられないな。いや、左腕に添え木をされて包帯を巻かれているな。

 とはいえ、特に痛みが有る訳でもないか。

 俺は左腕をブンブン振ってみた。

 うん、痛みはないな。


「大丈夫そうだ」


 シャロにそう伝えると、安堵の表情を浮かべ、ベッドに上半身をのせ破顔した。


「よかった~。あの後、ソラ意識戻らない上に左腕も折れてたんだよねー。僧侶ちゃんが回復魔法掛けてくれたけど、念の為にそれ付けといたんだ」


「そうか、⋯⋯あの後?」


「ソラが鉱石喰らいに、魔法撃って倒した後だよー」


「⋯⋯そうか、一応夢ではなかったか」


 今こうして2人共無事という事は、鉱石喰らいを倒す事が出来たのだろう。

 俺も胸を撫で下ろした。此処があの世でなくて良かった。


「シャロは怪我とかしてないか?」


 記憶にある最後の姿は、切り傷や青あざだらけだったと思うが。


「あたしも治してもらったから大丈夫!」


 シャロはピースしながらニヒヒと朗らかに笑った。

 俺は寝転がっているシャロの頭を撫でた。

 おりゃおりゃ〜 グリグリ


「やーめーてーよー」


 2人でキャッキャしていると、小屋のドアを誰かがノックした。

 誰だ?撫でる手を止めドアを見る。


「はーい」


 シャロがドアに近づき、来訪者を招き入れる。


「どうぞ~」


「おう、すまんな」


 現れたのは、ドワーフ族のヴァルカンさんだった。

 ヴァルカンさんも居るという事は、鉱石喰らいの群れはどうにかなったんだな。


「おお!ソラ、目を覚ましたか!」


「あ、お陰様で~」


 何がお陰様なのかわからんが、咄嗟にそう出た。

 ヴァルカンさんはベッドの近くに椅子を持って来ると、そこにドカッと座った。


「色々聞きたいと思うが、まずは言わせてくれ。本当にすまなかった!」


 ヴァルカンさんが何故か頭を下げてきた、なんで?謝られる事された覚え無いのだが⋯⋯。

 俺が?マークを浮かべていると、ヴァルカンさんが理由を教えてくれた。


「まさか、都市の中に鉱石喰らいが出るとは思ってもいなくてな。しかも、あの大きさだ。ワシらが相手していた鉱石喰らいよりも、遥かに大物だ。そんな奴を、[(アイアン)]ランクのお前達だけで、対処させてしまった」


 ヴァルカンさんは手を握りしめ、震えていた。

 自分の不甲斐なさを嘆いているのか、それとも別の理由か、俺にはわからない。


「まぁ、目が覚めているなら丁度いい。シャロにも聞いたが、お前からも当時の状況を聞いておきたい。あの時、何が起こった?」


 ふむ。俺は鉱石喰らいが召喚された前後の事を話した。

 勿論ローブの人物も話したが、これに関しては他の5人は見ていないそうなので、俺だけが見えていた存在だったのかもしれない。


「ふむ⋯⋯、ローブか。何か紋様は入っていたか?」


 紋様か。

 そう言われると何かあったような気もするが⋯⋯。

 ⋯⋯うーん、ダメだな思い出せない。

 ローブを被っていた印象しかないし、その後の展開の印象の方が強すぎる。

 それ以外で、となると男か女かもわからないんだよなぁ、何か声を発していたわけでもないし。


「紋様が入ってたかどうかまではちょっと⋯⋯」


「そうか⋯⋯」


「何か、心当たりでもあるんですか?」


「ん?ああ、最近ギルドの方に狂王神教とかいうのが動いているから注意しろ、と通達が来ていてな。ワシも詳しくはわからんがな」


 此処でも狂王神教か⋯⋯。

 神教って事は宗教的な奴か?そして祭っているのは狂王とかいう奴か。

 狂王⋯⋯狂った王か?分かりやすいな。

 狂った王を神として崇める⋯⋯的な?物騒だなぁ。


 正直、あのキメラの鉱石喰らいの見た目は、狂ってるとしか思えなかった。

 サソリの頭に人間の上半身をくっ付け、足を人間の腕に変える。

 俺では思いつかない様なビジュアルだな。

 ⋯⋯もうちょっとカッコよく出来なかったのだろうか。

 映画のハム〇プトラのスコーピオン〇ングみたいに。

 俺はあのデザイン好きなんだけどなぁ。

 人の下半身が別の生き物ってのは、色々と妄想が捗る。

 だからか、ふと思った。


「⋯⋯この世界にモン娘っているのか?」


「⋯⋯モン娘ってなーに?」


 思わず零れた言葉をシャロが拾ってしまった。


「えー、ほらサキュバスとか、アラクネとか⋯⋯かな?」


「お前、サキュバスに興味あるのか?」


「⋯⋯サキュバス居るんですか?」


「居るが⋯⋯あの男の敵に興味があるのか?」


 ⋯⋯?何を言っているんだ?サキュバスと云えば男の夢の様なモンスターではないのか?え、この世界では違うの?


「ど、いう⋯⋯ことです、か?」


 あまりの衝撃に言葉が詰まる。


「アイツ等は男性器を食いちぎる事で有名だろうに」


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯Oh。


「ボンッ!キュッ!ボンッ!のサキュバスお姉さんは居ないのか!!!」


 俺の叫びが小屋に響く。ああああああああぁぁぁぁ。

 こ、この世界の魔物は種族人間に厳しすぎる⋯⋯。

 そんな俺をシャロがジッと見つめ。一言。


「アナちゃんに言うよ?」

「⋯⋯サキュバスとかどうでもいいよな、男の敵なんだし」


 俺は即座に気持ちを切り替えた。

 魔物と仲良く何て、なれるはずが無いんだ。

 仕方ない、仕方ない⋯⋯。

 呆れたように、ヴァルカンさんが言う。


「まぁ、いい。取り合えずローブの人物が居て、シャロ達には見えなかったという事か。見えたのがソラだけ、というのが証言としてはちと弱いな。一応上にはそう伝えておこう」


 そりゃあそうか、俺だけしか見えて無かったみたいだし。

 情報としての信憑性は無いわな。


 でもなぁ、俺にはハッキリ見えたんだけどなぁ。

 なんで?

 ⋯⋯考えても心当たり無いな。

 第一俺は、転移した時にチートとかもらった覚え無いんだし。

 見えない物が見えるとか云う、ホラーな能力はちょっと⋯⋯。


 俺はそんな事を考えていた。

 そこでヴァルカンさんが再度口を開く。


「ああ、そうだ。大事な事を忘れておった。お前たちが倒した鉱石喰らいなんだが、冒険者ギルドで買い取る事になりそうだ。すまんが、コレは強制だ。その分買い取り額に色は付けてやる、というかワシがそうさせる」


 そうか、あのデカい鉱石喰らいは、倒した俺達に所有権が有るのか。

 正直、あの大きさをどうこうするのも面倒だからな、買い取ってくれる方が助かるな。


「俺は問題ないですね。シャロはどうだ?」

「あたしも、問題なーし」


「だそうです」

 俺達の意見は決まっていた。


「そうか、ならその方向で話を進めておこう。明日、冒険者ギルドに来てくれ。その時までに、代金は用意しておく」


 そういう事になった。


「さて、ワシは今忙しくてな。これで失礼させてもらうぞ。悪いが、暫く事後処理でゴタゴタしそうでな、打ち上げは無しにしてくれ」


「わかりました」

「大丈夫でーす」


「ハッハッハ。そうか、では明日ギルドで待っているぞ」


 そう言ってヴァルカンさんは小屋を後にした。


 やっぱり事後処理とかあるよな。

 冒険者達の被害も凄いだろうし、同じ街の人達は大丈夫だろうか⋯⋯。


 そんな事を考えていると、新たな来訪者が訪ねて来た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
サキュバスのコスプレしたアナちゃんに期待「食いちぎるわよ」 それはともかくシャロが可愛くて日々の癒しです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ