59.パーティーへご招待
マルコにそそのかされ。
そういう店に行った事の許しをアナから得て、2日が経過していた。
今日もシャロと共に、街周辺の魔物狩りを行い、夜はシャロ、アナとの三人で夕食を取っていた。
食事も取り終わり、のんびりした時間を過ごしている、その時アナが口を開く。
「ねぇ、ソラ。5日後って予定有る?」
「5日後?特に予定は無いかな」
何時も予定を決めるのは、前日か当日の朝なので、先の予定を組むことは少ない。
大抵の依頼は、その日のうちに終わる為、5日後なら俺とシャロもこれといった予定は無いだろう。
「ホント?夜一緒に行ってほしい所があるから、お願いしてもいい?」
「あたしはー?」
「今回シャロちゃんは、連れてく事が出来なそうだから。ごめんね?」
「そっかー、残念。今度連れてってねー」
シャロは連れて行けない用事か⋯⋯、って事は俺とアナの2人だけで行くのか。
ふ、ふーん?デート的な奴かな?俺は期待に胸を膨らませた。
「この前の魔石を、アネモス家が買い取ったでしょ?それを披露する為のパーティーをするみたいでね。採って来た、私とソラを招待してくれるらしいの」
「あ、そういう。俺はてっきりデートの誘いかと⋯⋯」
おっと、思っていたことがポロリと口から零れた。
「フフフ。それは今度ね?」
そうか⋯⋯。今度か、やったー。
俺は喜びを表に出さずに答える。
「そうか、残念だが今回は諦めようかな」
「ソラ。お土産宜しくね?」
「いや、無理だろ」
貴族のパーティーにお土産って、一体何を持って帰ればいいんだか。
そんな疑問も、シャロの頭脳は解決の答えを出していた。
「料理。持って帰って来て」
「⋯⋯どうやって?」
「こう、隙をついて〈収納魔法〉にシュシュッと」
⋯⋯コイツの食い意地はどうにかならんのか。
とは言え、正直貴族の料理ってのはすごい気になる、アレックス君に食わせれば似た料理を作り出せんじゃなかろうか。
試してみる価値はあるか?恥ずかしすぎるが。
「フフフ。そういう事なら、私も手伝うよ」
あ、いいんだ。
無敵の[白金]ランク冒険者様の協力を得る事が出来た。
「それとね、はいソラ」
アナは〈収納魔法〉から箱を取り出し、俺に差し出した。
「なにこれ?」
箱を受け取り、何なのかを聞く。
見た感じ、すんごい高そうなんですけど。
意匠が凄いし、箱自体の肌触りが俺の服なんかとは比べ物にならない位良い。
アナはニコニコ笑ったままだし。え、怖い。
「開けてみて」
恐る恐る箱を開けてみると⋯⋯。
高そうな灰色の服が入っていた。
「パーティー用の服持ってないと思って。作ってもらったの」
「あー、もしかして此処何日か居なかったのって⋯⋯」
「うん。ソラの服を作ってもらっていたの。ちょっと着て貰ってもいい?。
なるほど、まあいいか。裾や丈の長さとか調整しなきゃいけないだろうし。
俺は着替えをしに、2階の部屋に向かった。
◇
うーん。ジャストフィット。
え、なんで?体のサイズ測られた事無いんだけれど。
ジャケットの肩幅や腕の長さ、ウェストにズボンの丈まで、完璧な出来だった。
⋯⋯気にしない方がいいか。
取り合えず見せに行くか。
俺は一階に降り、2人に披露する事にした。
◇
2人の目の前でくるりとターン。
「おー、似合うじゃん」
ジャケットをビシッとキメる。
「うん、私の見立て通りだね」
おおむね2人からの評価は上々だった。
服の種類は、タキシードでいいのかな?あまり詳しくは無いから正確な名前はわからないが⋯⋯。
すんごい着心地が良い。
「これを着てパーティーとやらに出るのか」
⋯⋯いつ採寸したの?なんて、怖すぎて聞けないけど。
その後、汚れるといけないので、直ぐに脱いで〈収納魔法〉に丁寧にぶち込んだ。
アナは気にしないで、とは言っていたが念の為だ。
そのあとは、アナが参加した事のあるパーティーの話題で盛りあがった。
◇
これといった事件が、起きる事もなく5日が経過した。
前日から、パーティーの為に冒険者稼業は休みにしていた。
怪我をしてもヒールポーションが有るからいいのだが。
ま、念の為って事で。
俺はアナから受け取った服を身にまとい、宿屋の1階へと向かう。
その足元には、黒く高級感漂う靴を履いている。
前日に、何故かサイズピッタリの高そうな靴をアナが用意してくれていた。
深くは考えない様にする。
貰ってばかりは悪い為、服と靴の代金は折半した魔石の代金から、引いてもらうことにした。
⋯⋯10分の1が消えたらしい。
時刻は夕暮れ前。
外では、店仕舞いを開始する人達の声で賑わっていた。
アナの準備が終わるまで、1階で待つことにした。
シャロが髪をセットする、とか言ってたが不安しかない。
シャロは普段、自分の髪はアンダーテールの様にしている。
ようはツインテールの低い位置バージョンだ。
シャロの家の宿屋は、夕方から1階の食堂で酒場を営業している。
酒と料理を求めてやって来た客が、俺の格好を見て絡んでくる。
「お、ソラ良いもの着てるじゃないか」
「デートか?」
「シャロちゃんとはどうなんだ〜?」
うるさい連中だ⋯⋯。俺は言う。
「これから貴族様のパーティーに、アナと行くんでね!どうです?!羨ましいでしょう!」
俺はドヤる。
「あ、大丈夫っす⋯⋯」
「貴族って事はアネモス家?」
「あーあー、頑張れ」
「魔女のそばを離れるなよ?」
⋯⋯まって、何その反応。
え、怖いこと言わないでほしんですけど。離れないで!
絡んできた男達は、そそくさと散っていった。
えぇ⋯⋯。
困惑していると、階段をドタドタ音を立ててシャロが降りてきた。
「お待たせー。準備出来たよー」
近寄って来たシャロがそう告げる。
パーティーに行くのだから、アナも着飾る必要がある。
つまりドレスに身を包むという事。
俺は期待に胸を踊らせていた。
そして2階からアナが降りてきた。
ここ




