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異世界転移は草原スタート?!~転移先が勇者はお城で。俺は草原~【書籍化決定】  作者: ノエ丸
アネモス家パーティ編

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53.異世界転移の勇者の役目〜勇者side〜

 友人の空と学校へ向かった僕は、突然光に包まれ。

 気付いた時には、異世界に来ていた。


 言ってる意味が解らないと思うが、僕が一番訳が分からない。

 まだ、ドッキリでした。と書かれたプラカードを持ったテレビの人が来て、笑いながらネタ晴らしをされる方がましな状況だ。


 オマケに僕一人だ。

 もしも空が一緒に居てくれたのなら、前向きに考えられたのだろうが⋯⋯。

 しかも呼ばれた理由が、魔王を名乗る人物が、勇者を連れてこいと要求しただけという。

 バカらしくて泣けてくる⋯⋯。

 そんな理由で僕は、空と、家族と別れなければいけないのか。


 それよりも、今はこの状況をどうにかしたい。


 今僕は、王様とその家族と夕食を共にしている。

 王様に妃、その息子が2人と娘が1人。自分を入れて計6人でテーブルを囲んでいた。


 一応挨拶は済ませてある。

 王様の名前がカルヴァドス・フォン・ダリア・アガーレムヴ

 妃がキール・フォン・ダリア・アガーレムヴ

 第1王子、ジン・フォン・ダリア・アガーレムヴ

 第2王子、ニコラシカ・フォン・ダリア・アガーレムヴ

 第2王女、ライラ・フォン・ダリア・アガーレムヴ


 第1王女は嫁いで別の領地に居るという。

 名前はカルーア・フォン・ダリア・アガーレムヴ


 軽く自己紹介をしてからお互いの席に着いた。


 目の前に料理が置かれる。

 スプーンやフォークが多い、外側から使うんだっけか、思い出せない。

 只の高校生が、完璧なテーブルマナー何て知ってるわけがないのに⋯⋯。

 こういう時、空なら「わからないなら、聞けばいい」そう言うだろう。


 そうだね、空ならきっとそうする。

 僕は素直に尋ねる。


「申し訳ありません。こういう時のマナーを知らないのですが⋯⋯。どうしたらいいでしょうか」


 僕の問いに王様が答える。


「ん?そうか、勇者の世界とは食事の仕方も違うか⋯⋯。セバス」


「承知しました。勇者様、ココからは私めがご説明させて頂きます」


 その後セバスという執事に、マナーを教わりながら食事をした。

 正直、緊張で味が良くわからなかった。


 ◇


 順調に食事を取っていると王様の娘、王女様が声を掛けて来た。


「勇者様。異世界とはどの様な所でしょうか」

 その発言を妃が窘める。


「食事中ですよ。もう少し淑女としての振る舞いを覚えなさい」


「むー。お母様は気にならないのですか?」


「今、する事では無いと言っているのです。この後に幾らでも、時間は取れるのですから」


「⋯⋯わかりました」

 妃の一言に王女はシュンとなり、食事を続けた。


「キールよ、良いではないか。勇者よ、そなたの世界では、食事をする際はどのようにしている?」


 いきなり話題を振らないでほしいな⋯⋯。えーと


「僕の世界では、家族間や仲の良い者同士での食事の際は、喋っても問題は有りません。むしろ、その方が一般的かと⋯⋯」


 一般家庭何てそんなものだ。

 一緒にご飯を食べながら、その日の出来事を話したりする。

 王族ともなると、食事中にそう云う事をするのはマナー違反なのだろうか。


「なるほど⋯⋯。なら問題は無いな。なあ、キールよ」

 思ったよりも、この人は柔軟な考え何だろうか⋯⋯。


「⋯⋯ハァ。貴方は、ライラに甘すぎですよ」


 親バカなだけか。

 ライラといったか⋯⋯。

 この子は空が好きそうな感じがする。

 性格はどうかわからないが、少なくとも胸が大きい。

 僕は、胸の大きい事の何が良いのか解らないんだよね。

 空が力説していたが⋯⋯、そういえばその時からあまり好きではなくなった気がする。なぜだろうか。


「あ、あの勇者様私に何か付いていますでしょうか⋯⋯」


 王女様が恥ずかしそうに声を出す。

 しまった⋯⋯、王女様をじっと見つめてしまっていた様だ。

 こういう時は⋯⋯。


「申し訳ありません。ライラ様が御奇麗だったので、つい⋯⋯」


 空が言っていた。

「お前が女を相手にする時は、心に無くても褒めろ」理由は分からないが、その言葉は割と守って来た。


 ライラ様は顔を赤くして俯いてしまった。

 大抵の女性は褒めるとこうやって押し黙るから、空の助言は間違ってはいないのだろう。


 周りの人も、「まぁ」だの「ほぉ」だの言っている。


「勇者殿はなかなかやる様だな、父上」


 第1王子が口をナプキンで拭きながら言う。

 続いて第2王子も口を開く

「クックック、姉上は惜しい事をしたかもしれないな」


 姉上とう言う事は、嫁いで行ったカルーアという人の事を言っているのだろうか。

 何が惜しいのだろうか。


 良く分からず食事を終える事となった。

 その後も王女からチラチラと見られている感じはしたが、話しかけてくるわけでは無いので、そのままにする事にした。


 食事を終え、メイドさんに案内され、部屋に辿り着いた。

 この部屋を好きに使っていいのだそうだ。

 自分の部屋の何倍もある部屋だ、備え付けてある家具も意匠が凝っておりどれも高そうな雰囲気を出していた。

 一番目に着くのはベッドだ。

 デカい、何時も寝ているベッドの5倍くらいはありそうだ。

 天幕付きのベッドなんて生で初めて見た。


 なんにせよ、今日は疲れた。

 正直、まだ夢なんじゃないかとも思っている。

 このベッドで横になって、目が覚めれば。

 何時も通りの朝を迎える。

 そんな期待を抱いても良いじゃないか。

 そう思いながら瞼を瞑る⋯⋯。


 ◇


 ⋯⋯ん。

 ⋯⋯朝か。


 目の前に広がる光景が、夢ではなく現実なのだと突き付けて来た。


 メイドさんが居た。


「おはようございます。勇者様」


「おはよう、ございます」

 夢じゃないんだな⋯⋯。


 その後は、メイドさんが用意してくれた服に着替えた。

 異世界の服か、元の世界に比べて肌触りが悪いな⋯⋯。

 だからと云って学生服をずっと着ている訳には行かないしね。


 着替えが終わり、メイドさんの案内されるまま着いて行くと。

 部屋に通された、また王様と会うかと思ったが違うらしい。


 部屋で待っていると、鎧を着た人物が2人入って来た。

 素人の僕でさえ、かなり鍛え抜かれてると分かる風格を漂わせていた。

 思わず体が強張る。


「お前が勇者か。思ったよりも細いな」

 一番体の大きい男がそう言う。


「団長。先ずは挨拶が先だと思いますが?」


「む、そうだったな。すまん、勇者よ許せ。俺の名前はブルーノだ」


「僕はエリックと言います」

 2人が自己紹介を始めたので、僕も名を名乗る。


「佐々木翼と言います」


「俺は第1騎士団の団長をしている。そしてこっちが副団長だ」

「お見知りおきを」


 この2人は騎士団と云うのに所属して居るらしい。

 一体僕に何の用だろうか。

 いきなりやって来た2人を見つめる。


「もしかして、何も聞かされていないようですね」

「なに!まったく、陛下はそういう所があるからな⋯⋯」


 2人だけで納得しないでほしいな、出来れば説明をしてほしい。

 そう思っていると副団長を名乗る人物が告げる。


「実は、陛下より君を鍛える様に仰せつかっていてね。何か聞いてたりしないかな?」

 初耳だ。

 そんな話は昨日された覚えがない。


「いえ、まったく無いです」


「あー、そうですか。団長どうします?」


「どうせ鍛える事には変わりないんだから良いだろ。ツバサ、付いて来い」


 何で僕が鍛えられるの前提で、話を進めてるんだこの人は。

 いきなりガッと掴まれ、肩に持ち上げられた。


「え!?」

 簡単に肩に担ぎあげられたことに驚愕した。


「申し訳ない。団長はこういう人なので我慢してくれると⋯⋯」


 エリックと名乗る人から謝られた。


「ハッハッハッ。良いじゃないか、このまま訓練場に向かうぞ!」


 そして僕は訓練場に連行された。


 ◇


 訓練場に着くと、男達が訓練をしていた。

 木の剣で打合いをしている人の割合が多かった、それ以外では走ったり筋トレをしている人達がいた。


「整列!!」


 副団長が号令を掛ける。

 男達が即座に訓練をやめ、団長の前に集合した。



「よし。今日からお前達と共に、訓練をする事になったツバサだ!仲良くする様に。お前からも、何か一言あるか?」


 え、そんな事いきなり言われてもな⋯⋯。無難なやつでいいか。


「ツバサと言います。これから、よろしくお願いします」


 ぺこりと頭を下げる。

 シーンとしてるな⋯⋯。

 僕はやっていけるのだろうか。


「なんだお前ら、反応薄いぞ?ツバサは、異世界から来た勇者様だぞ。もっと盛り上がれよ」


 団長さんがそう言うと、副団長がアチャーという仕草を取った。


「⋯⋯団長。それまだ秘密って言われませんでした?」


「そうだったか?⋯⋯そうだったな。お前ら、今のは忘れろ」


 男達がザワザワし始めた。

「今の本当か?」

「団長の言う事だしな⋯⋯」

「エリックさんの反応からして、マジっぽいぞ」

「勇者にしては細くないか?」

「いい男じゃないか」


 最後のは聞きたくなかったな。

 一応、僕が勇者だということは、秘密となっている。

 知っているのもごく一部に留められていた。

 僕がある程度の実力を付けるまではその方が良いとの事。

 朝居たメイドさんも、凄腕の暗殺者らしく、護衛も兼ねてるのだそうだ。


 その為に、この第1騎士団の訓練に参加しなければいけないらしい。


 ただの高校生の僕に、何を期待しているのだろうか⋯⋯。


 空⋯⋯、君ならどんな気持ちで挑むのかな。


 先のことを考えると憂鬱になる。

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