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異世界転移は草原スタート?!~転移先が勇者はお城で。俺は草原~【書籍化決定】  作者: ノエ丸
目指すは王都編

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175.今後どうする?

 街がスライムパニックで騒がしいのを尻目に、俺達は宿に戻っていた。


「ただいまー!!」

 シャロが勢いよく扉を開け、中に入る。


 勇者が変なモノローグを、勝手に言うので俺も元気よく後に続く。


「ただいま!!」

 俺の後に続き、アナとマリアさんも中に入る。


「お帰り。昨日は帰ってこなかったが、どうしたんだ?」

 シャロの親父さんが出迎える。

 俺らも、まさか泊まりになるとは思わなかったからな、少し心配させてしまったか。⋯⋯なんて言おう。


「勇者さんの家に泊まったんだよー」

「⋯⋯?ゆうしゃって名前の奴か?」

「違う違う。勇者だよー。100年前のゆ・う・しゃ」

 シャロの親父さんが、俺を見る。

 そんな目で見られても⋯⋯。実際本当の事なんだよなぁ。それはそうとシャロの奴、普通に言いやがった。


 俺はアナとマリアさんをチラッと見るも、2人に目を逸らされた。

 俺に任せるって事か⋯⋯。仕方ない。


「勇者。この宿の中なら自由にしていいぞ」

「お?マジ?どうも〜。勇者シズクで〜す、よろしく!」


 親父さんの目が点になっている。

 そうなるよねー。行き成り本が喋るんだもん。魔法のあるこの世界でもお目に掛かれない現象だし。

 ココは俺の設定を活かすか。


「あー、実はこの本なんですけど。俺の育ての親の爺さんが残してくれたものでして⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯そうか。いや、うん。分かった。分かったという事にしておこう。俺達の前では良いが、外では出すなよ?いいな?」

「ありがとうございます!」

 親父さんが俺の事を、訳アリの人間だと思ってくれてて助かった。真実を話すのはシャロと相談してからでいいかな。


「それじゃ、俺達はこれで失礼しますね」

 俺はシャロの口を塞ぎながら、2階へと向かった。これ以上コイツに余計な事を喋られると困る。


 ◇

 取り合えず俺の部屋に入り。今後の方針を話し合う事にした。


「さて、まずは勇者の処遇についてだが⋯⋯」

「結論は出てるでしょ?私の事を自由にするって」

 そんな結論は出ていないし、コイツを自由にさせると何をするかわかったもんじゃない。

 大人しくしていてもらうのがベストだ。⋯⋯俺が管理するしかないのか?マジ?

 そんな中。アナが良い案を出してくれた。


「取り合えず。勇者って事は隠した方が良いと思う。少なくとも国の関係者には内緒がいいかな。アイツ等勇者っていうのを特別視しているから」

「あー、わかる~。アイツ等、勇者ってだけで目の色変えるよね~。私も危うく、デブな王子と子供作らされそうになったし~。顔面ぶん殴って止めたけど」

 ⋯⋯女性だと、そういう事が有るから大変よね。いや、男の俺でもそういうのがあるのか?お姫様とか⋯⋯。不意にアナが俺の手を握って来たので、この話は終わりという事で。


「じゃあ、名前は⋯⋯。別にシズクのままでもいいよな?」

「そうだね。勇者にあやかってその名前付ける人は多いみたいだから」

 やっぱりそういうのはあるか。まだシズクって名前の人と出会った事無いけど。

 後はこの本が、どういうモノなのかって事くらいか。


「何か似たような魔道具ってあったりしないのか?」

「うーん。私は知らないかな。流石にシャロちゃんや、マリアさんは知らないでしょ?」

「もちろん!」

「申し訳ないです〜」


 その後の話し合いにより。

 勇者と名乗るのは禁止。基本外では本のままでいる事になった。宿に関しては、それぞれの部屋と厨房では、自由にしていい事になった。後でアレックス君にも顔合わせしないとな。


 そして、勇者からある提案がされた。


「私さ、王都に行きたいんだけど」

「王都?なんで?」

「君がこの世界に呼ばれたって事は、王都の連中が勇者として、誰か呼んでるって事なんだよね。そういう細工をしてたからさ」

 確か日記にも、そんな事が書いてたな。

 となると、まさか⋯⋯。


「それって俺がこの世界に来る時、近くに居た人間も飛ばされたりするか?」

「いや。それは無いね。私の細工は、君だけにしか効かないし。王都で呼ばれた奴は、そのまま王都に召喚されるから。他の人が巻き添え食らう事は無いよ」

「そうか⋯⋯」

 それなら、翼は平気か。良かった。アイツの家は家族仲良いからな。俺と違って悲しんでくれる人が居るから、突然行方不明になったらえらい騒ぎになるだろう。モテるし⋯⋯。


 アイツは、俺が居なくなって、悲しんでくれているのかな⋯⋯。

 写真の1枚でも持ってれば良かったか。

 今更言っても仕方ないか。


 そうなると。アナにどれ位掛かるのか聞かないとな。


「アナ。王都ってココからどれ位の距離なんだ?」

「ココからだと⋯⋯。乗合馬車を乗り継いで15日位。途中で飛空艇に乗れば10日位かな」

 結構距離があるな⋯⋯。え、飛空挺?それってもしかして飛行機的なアレか?

 俺より先にシャロが食いついた。


「アナちゃん。飛空挺ってなーに?」

「えーっと。、その本みたいに空を飛ぶ船って感じかな」

「へー、あたし。船って見た事無いんだよねー」

「私は王都に滞在している時、飛空挺は何度か見かけましたね〜。乗った事はありませんが」


 それなら1度、王都に行ってみるのもいいな。色んな街を見てみたいし、それに飛空挺ってのも乗ってみたい。

 なんか異世界の冒険って感じだな。

 それには先ず、3人の意見も聞かないといな。

 俺は3人を見ながら。



「俺も1度王都は見てみたいんだけど、3人はどうしたい?」

「あたしも行きたい!」

「私も良いよ」

「そうですね⋯⋯。私も会いたい方が居るので、お供致します〜」


 よし、決まりだな。

 手をパンと叩き締め括る。


「そらじゃあ、次の目標は王都を目指すぞ!」

「はーい!」

「うん」

「分かりました〜」

「シズクちゃん了解!」


 勇者だと名乗らないだけマシか?だいぶキツいが。思わず声に出そうになったが、黙っておこう。


「イタッ!」


 無言で勇者が突進してきた。コイツまた、勝手に心の中読みやがったな⋯⋯。

 捕まえて、押さえ込んでいると。アナから提案があった。


「王都に向かうなら乗合馬車じゃ無くて、私達だけで馬車用意した方がいいね」

「え?なんでだ?」

「ソレがやらかさない保証なんて無いでしょ?それなら道中は私達だけの方が、かなりマシだと思うし。夜も私の魔法があるから、見張りとか置く必要も無いしね」


 なるほど。一理ある。アナの魔法って事は、デカイロックタートルのときに使ってたヤツか。確かにあれなら夜の見張りも必要無いな。

 とはいえ、馬車を借りられる伝手が、俺達の誰かが持ってるのだろうか。確認しないとな。

 俺は3人に馬車の伝手が無いか確認した。


「あたしは無いかなー」

「すいません。私もその様な伝手は持ち合わせておりません」

「一応心当たりは有る」

 シャロとマリアさんは無いが、アナは有る様だり。考えても見れば提案したのはアナだし、元々当ては有ったから提案したんだな。

 その心当たりについて聞いてみた。


「心当たりが有るって事は、任せても大丈夫なのか?」

「うん。任せて。あ、でもソラにも来てもらった方が確率は上がるかな?」


 ⋯⋯?俺が行くことで確率が上がる?

 よく分からんが、俺が行くだけで借りられる可能性が有るなら、行くしかないか。


「よし、分かった。それじゃいつ行く?」

「今から行こっか。先に馬車の確保しておいた方が、準備もし易いし」

「了解。それじゃ。シャロとマリアさんも、それぞれで準備進めといてくれ。必要な物とか食材は明日買いに行こう」

「はーい!」

「分かりました〜」


 ⋯⋯勇者どうしよ。シャロとマリアさんに任せても、大丈夫だろうか。

 本の中の勇者は、親指を立て。任せろ。と言っていた。


「シャロ。コイツの事頼んだ。目を離すなよ?マリアさんもお願いします」

「はーい!それじゃ勇者、じゃ無かった。シズクさんに、この宿案内しとくねー」

「ええやん。良きに図らえ〜」

「⋯⋯あんまりマリアさんに迷惑かけんなよ?」


 俺はマリアさんに2人を託し、アナと共に宿を出た。

ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

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