過去の因縁
この物語は、フィクションです。実際の出来事や人物とは関係ありません。SF小説の雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
※この小説はあの有名なハリウッド映画の設定をかなりオマージュしております。
よって読んでいただける皆さんには、あの有名な映画とのリンクしているところを見つけて楽しみながら読んでいただけると、ありがたいです。
また、あの有名な映画のファンの方を傷つける意図はありませんので、寛容に読んでいただけるとうれしいです。どうしても怒りで許せない方は読まないほうよいです。ごめんなさい。
後半はあの有名漫画の世界をオマージュしております。寛容に読んでいただけると嬉しいです。
【次なる解放地へ】
アジア大陸の広大な地平線が、夜明けの光に染まり始める。セイラ率いる地球解放軍と、地球レジスタンスのリーダー慎二は、豚の宇宙人に支配されたこのアジアの大陸に足を踏み入れる。彼らの目的は一つ、豚の宇宙人たちに抑圧された人類の自由を取り戻すことだ。
ブンニバル将軍の支配するこの地では、人間は家畜の労働という名の下に虐げられ、その尊厳は踏みにじられていた。しかし、セイラと慎二、そしてウルフは、この不条理な支配に終止符を打つため、団結して立ち上がる。
セイラ 「私たちの戦いは、ただの戦いではありません。これは、人間の自由と尊厳のための戦いです。アジア大陸の人々は長い間、豚の宇宙人に支配されてきました。今こそ、彼らに自由を取り戻す時です。」
慎二「セイラさんの言う通りです。私たち地球レジスタンスは、この星の平和を守るために戦います。私たちの手で、人類の未来を切り開くのです。」
ウルフ 「私の心は、かつてワンダー惑星でブンニバルのブ象(豚の顔した巨大な象)によって奪われた仲間たちの思いで満ちています。彼らのためにも、私はブンニバル将軍に復讐を果たします。そして、この大陸を自由にすることが、私の使命です。」
セイラ 「私たちの絆は、どんな困難も乗り越える力を持っています。ウルフ、慎二、私たち三人で、この星に新しい希望をもたらしましょう。」
慎二 「はい、私たちの団結こそが、この戦いを勝利に導く鍵です。私たちの勇気と決意が、人々の心に火をつけるでしょう。」
ウルフ「私たちの戦いは、ただの復讐ではありません。これは、抑圧されたすべての生命が、再び光を見るための戦いです。私たちは、この地球と惑星ワンダーの未来を守るために立ち上がります。」
セイラ 「それでは、私たちの次なる解放地へアジア大陸と進みましょう。アジア大陸の人々を、豚の宇宙人の支配から解放するために!」
ウルフの心には、かつてブンニバルのブ象の部隊によって踏み殺された仲間を失った深い悲しみと、ブンニバル将軍への燃えるような復讐心がある。彼は、仲間たちの無念を晴らし、再びこの星に平和をもたらすことを誓う。
セイラは、解放軍を率いて、人々の心に希望の火を灯す。彼女の強い意志と勇気が、人々を勇気づけ、新たな未来への道を切り開く。
慎二は、地球レジスタンスのメンバーたちと共に、地下からの抵抗を組織し、ブンニバル将軍の軍に対する重要な情報を提供する。彼の知恵と戦略が、解放軍の勝利に不可欠な要素となる。
三者三様の思いを胸に日本の東京から地球解放軍と地球レジスタンスはアジアの北京に向けて船で移動を開始した。
【美の支配者ダンディーポークの登場】
ダースブーダーの次男であるダンディポークは、美しい肉体を見せつけながら、ブサイクな人間には容赦ない死の労働を 与える。彼の支配下では、美しさが生存を決定づける要素となる。彼は彼の支配するかつて人間の名前でヨーロッパと呼ばれていたROUMAの首都アテネの大浴場の浴室にいた。
ダンディーポーク、美の支配者がアテネの大浴場を歩く様子は、まるで古代の神々が地上を歩くかのよう。彼の肉体は、まばゆいばかりの美しさで、周囲の者たちはその光景に息を呑む。彼の筋肉は、水面に映る太陽のように輝き、彼の動き一つ一つが、水の波紋のように浴場中に広がる。
しかし、この美しさの裏では、容赦ない現実が存在する。ダンディーポークの目に映るのは、美しさだけ。彼の前を横切る者は、その美しさによって生死が決まる。美しくない者たちは、彼の冷酷な命令により、過酷な労働を強いられる。彼らは、ダンディーポークの美には及ばず、ただひたすらに死の労働を続けるしかないのだ。
ROUMAの首都アテネの大浴場は、美の神殿でありながら、同時に厳しい生存競争の場でもある。ダンディーポークの支配するこの世界では、美しさがすべてを決定づけ、それが生き残るための唯一の道となっている。彼の周りでは、美しい者たちが優雅に泳ぎ、美しくない者たちは影に隠れるしかない。この不平等な世界で、ダンディーポークは美の絶対的な支配者として君臨しているのだ。
ダンディーポークは、鏡に映る自身の完璧な姿にうっとりとしながら、長男のマスタートーンに向かって言葉を投げかける。
「兄上、見てくれ、この完璧な肉体を。ブサイクなものたちには、この美しさを理解する資格すらない。彼らには、この世界で生きる価値がない。」
マスタートーンは、冷静に弟を見つめ返し、静かに答える。
「弟よ、お前の美は確かに圧倒的だ。だが、お前が見落としているものがある。美しさは一つの価値に過ぎず、人間の価値はそれだけでは測れない。ブサイクだと決めつける前に、彼らの内に秘められた才能や、心の美しさを見るべきだ。」
ダンディーポークは、一瞬言葉を失うが、すぐに反論する。
「才能?心の美しさ?そんなものは、この目に見えないものに価値はない。美しさこそが力だ。美しさこそが、このROUMAを支配する唯一の法則だ。」
マスタートーンは、深いため息をつきながら、もう一度言葉を紡ぐ。
「力とは、見た目だけではない。真の力は、人々を導き、支えることにある。お前の美が、本当に人々の心を動かすものであるか、よく考えてみることだ。」
この会話は、美と価値についての永遠の議論を象徴している。ダンディーポークの美しさに対する執着と、マスタートーンの内面の価値を重んじる考え方が、両者は対照的であった。
数日後に宇宙戦艦にいる父のダースブーダーから通信が入った。ダンディポークは重厚な扉を押し開け、豪華な執務室に足を踏み入れた。彼の顔には、緊迫した空気が漂っている。
「我が息子よ。セイラ率いる波乱軍が、三男ブブッチャーを倒し、ついにアジア大陸へとその足を踏み入れた。」
ダンディーポークは、父の言葉に一瞬の動揺を隠せずにいたが、すぐに優雅な笑みを浮かべた。
「父上、美しき私が反乱軍を壊滅するために、すぐに迎え撃ちます。」
「お前には期待している。」
ダースブーダーは自信に満ち溢れる息子の顔みて安心して通信をきった。
(心の声)
「ブブッチャーが倒れたか。彼のブサイクな姿を見ることもなくなって、何よりだ。ROUMAには美しさを重んじる者だけがふさわしい。」
彼は、鏡に映る自分の全身の裸の姿を見つめながら、ブンニバル将軍に命令を下す。
「ブンニバル、セイラをこの世から美しく消し去れ。彼女が生きている限り、我が美しい支配に影を落とすことになる。」
ブンニバル将軍は、深く一礼し、忠実な声で応じた。
「はっ、ダンディーポーク様。セイラの暗殺、ただちに実行に移します。」
ダースブーダ家の確執と、美を絶対視するダンディーポークの冷酷な人間支配が、ROUMAの暗い支配に影響を及ぼしている。美しさを重視する彼の信条が、これからも多くの人間の死を生むことになるだろう。
【暗殺者の影】
ブンニバル将軍は、暗殺者のプロの宇宙人として知られる鷹の片目のホークを呼び出した。彼の部屋は、宇宙の果てのように静かで、窓の外には星々がきらめいている。
「ホーク、お前にセイラの暗殺を命じる。」
ホークは、その命令を受け、片目の眼帯を指でなぞりながら冷ややかに応じた。
「セイラか…。彼女の命を絶つことは容易い。だが、私にはもう一つ、済ませなければならない仕事がある。 ・・・ウルフだ。」
ブンニバル将軍は、ホークの復讐心を理解していた。ウルフとの過去の戦いで片目を失ったホークにとって、ウルフは因縁の相手だった。
「ウルフもお前の手で終わらせろ。だが、最優先はセイラの暗殺だ。失敗は許されんぞ。」
ホークは、自分の鋭い鷹の爪を見つめながら、静かに頷いた。
「心配無用だ。セイラもウルフも、私の黒い翼の餌食になるだろう。」
ホークは忘れない。過去に惑星ワンダーでウルフと戦った敗北の気持ちを思い出し怒りがこみあげてくる。
(過去のシーン)
惑星ワンダーの荒涼とした大地に、二匹の宇宙の戦士、ウルフとホークが立ち向かう。彼らの間には、最愛の人美しき犬の宇宙人マリアを巡っての愛の対決が迫っていた。
ウルフは、その青色の毛が星光に輝きながら、低い姿勢でホークを睨みつける。彼の目は、獲物を狙う狼のように鋭く、爪は戦いの準備ができていた。
ホークは、鳥人としての翼を風になびかせ、その黒い翼を広げる。翼の細かい傷は、ウルフとの戦いの証であり、ウルフに対してライバルとしての戦いの心に燃えている。
戦いが始まると、ウルフは雷のように素早く動き、ホークに向かって飛びかかる。ホークは、その鳥の目でウルフの動きを捉え、ジャンプして空中で翼で風を切りながら回避する。
ウルフ 「逃がさないぞ、ホーク!」
ホーク 「来い、ウルフ!このホークの翼はお前を斬り裂く!」
彼らは激しくぶつかり合い、爪と翼が火花を散らす。ウルフの攻撃は猛烈で、ホークは必死に防御する。しかし、ウルフの一撃がホークの防御を突破し、彼の左目を引き裂いた。
ホーク 「くっ…!」
ホークは激痛に顔を歪め、左目から血が流れる。ウルフの爪が彼の目を奪い、ホークはその場から逃げ出すしかなかった。ウルフは勝利の咆哮を上げるが、ホークは闇に消え、その復讐の機会を待つことになる。
この戦いは、惑星ワンダーの歴史に残る激闘であり、ウルフとホークの因縁が続いていくことになる。彼らの戦いは、宇宙の果てまで響き渡っておりホークの黒歴史となっていた。
【対決の準備】
ウルフは、ブンニバル将軍との直接対決に向けて準備を進める。一方、セイラは情報部から暗殺者ホークによる計画の情報を掴み、慎二とウルフと対抗策を練る。
慎二 「セイラ、暗殺者のホークの動きが活発になっている。ブンニバル将軍の命令で動いているのだろう。」
セイラ 「はい、私たちの情報網もそれを掴んでいます。私たちの解放軍は、彼の計画を阻止する準備ができています。」
ウルフ 「ホークの始末は俺がする。彼との因縁は、俺が終わらせる。」
慎二 「しかしウルフ、それは危険すぎる。ホークはただの暗殺者ではない。彼は…」
ウルフ 「分かっている。だが、これは俺の戦いだ。ブンニバル将軍との対決も同じ。彼らには俺が対処する。」
セイラ 「ウルフ、あなたの力は認めていますが、これは一人で行うべきではありません。私たちも力になります。」
ウルフ 「感謝する、セイラ。だが、ホークとの対決は俺のプライドの問題だ。ブンニバル将軍に関しては、お前たちの助けを借りるかもしれない。」
慎二 「分かった。だが、無茶はするなよ。私たちも地球レジスタンスも準備はしている。」
セイラ 「私たちの地球解放軍は、あなたの背中を守ります。ホークにもブンニバル将軍にも、私たちは負けません。」
【愛の犠牲】
ホークはアジア大陸にある遠くの丘の上に身を潜め、セイラを狙うためにライフル銃を構えていた。彼の左目は、過去のウルフとの戦いの傷跡を隠す眼帯で覆われているが、その右目の視界は鋭く、ターゲットにロックオンしている。
ホーク 「セイラ、お前の運命はもう決まっている。」
彼は息を整え、トリガーに指をかける。しかし、そこへ人間の5倍の嗅覚のあるウルフが現れる。
ホークの計画を事前に察知していたのだ。
ウルフ 「ホーク、それ以上は無駄だ。セイラに手を出すな。」
ホークは冷笑を浮かべながらウルフを見据える。
ホーク 「ウルフ、お前がここにいるとはな。だが、お前がいようといまいと、私の仕事は変わらない。」
ウルフは慎重にホークに近づき、彼の注意を引きつける。
ウルフ 「ホーク、お前も惑星ワンダーで解放軍の仲間の一員だったはずだ。なぜブンニバル将軍の命令に従う?」
ホーク 「ワンダーことなど、私には関係ない。私には私の信念がある。そして今、それがセイラを消すことを要求している。」
ウルフ「ホーク、お前の信念は間違っている。力と復讐に囚われているだけだ。」
ホークはライフルのスコープを覗きながら、ウルフの言葉を一蹴する。
ホーク「お前になにもかも奪われた私の気持ちがわかるか?」
ウルフは、冷たい銃口をホークの額に突きつけた。彼の目は復讐の炎で燃えている。しかし、その瞬間、ホークは一枚の切り札を披露する。豚の宇宙人がウルフの最愛の人、マリアの喉元に突きつけられた銃を持って出てきた。
「ウルフ、お前の愛するマリアの命と引き換えに、その銃を捨てろ」
とホークは冷酷に命じる。
ウルフは卑怯なホークへ問いかけた。
「貴様、宇宙戦士としての誇りはないのか?」
「誇りだとそんなものとうの昔に捨てたわ!私はお前を殺せればそれでいいんだ!
私はお前との復讐のためだけに、今まで生きてきたんだ!」
マリアの瞳からは涙があふれ、彼女はウルフに向かって言った。
「ウルフ様、私が邪魔になるのなら、私は死を選びます。」
その言葉と共に、マリアは豚の宇宙人の銃のトリガーに手をかけ自らの手で銃の引き金を引いた、そして自らの命を絶つ。ウルフの怒りの雄たけび声が空を裂く。
彼は悲しみと怒りに震えながら、豚の宇宙人を持っている銃で殺した。そしてホークに襲い掛かり、その怒りを全てホークにぶつける。
ウルフの怒りの爪はホークの右目を切り裂きホークの心臓を抉り出した。
「これで私の哀しみ少しは理解できただろう・・・」
ホークの命は、ウルフの手によって終わりを告げられた。しかし、マリアの死はウルフの心に深い傷を残すことになった。
SF小説 【豚の惑星】続く