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魔王の娘の推し活事情  作者: 和樂
第1章魔王の娘は推しを得る
16/22

#16私はあなたの『ヲタク』なんだから


「はぁ…はぁ……やっっっと、着いた…!」


カノンと一緒に村を離れてから2週間と3日、私とカノンはようやく魔王城まで帰ってこれた。

途中、何回か冒険者に追いかけ回されるもぎりぎり帰ってこれた。

カノンの記憶は全部消さなくても良かったようで、自分に関する記憶と、大事そうな記憶、ついでに私との記憶を消さないことにした。

自分が何者かわからないとか誰かもわからない奴と一緒にいるとかは、カノンが怖いかな〜と思ったからだ。


「も、もう、終わり?」


こちらはあまりのスピードに疲れ果てている感じのカノンさん。

飛行中、ずっとわたしにしがみついていて可愛かった。

可愛いといえば…デスパちゃんとカノンが仲良くしているのが可愛いのだ。

私は帰り道の休憩中、辺りを警戒して貰うためにデスパちゃんを召喚していた。

はじめはデスパちゃんにおびえるカノンだったが、デスパちゃんのサイズを大型犬ほどまでにしてやると、途端に距離を縮めだした。

最後の3日間など、小型犬サイズのデスパちゃんを抱っこしながら私にしがみついていた。

萌えだった。

ごちそうさまでした。


「後は、カノンの中の『女神の加護』…を、私の家に、封印して、おしまい…。」


「大丈夫?テラ。顔色真っ青だよ?」


心配そうに私を覗き込む深紫の髪とオレンジの瞳はとても優しくて可愛い。


「魔力もカスカスだし、ここ2ヶ月、寝れない、食えない、気が抜けないの3コンボだったからね……そうやって心配してくれるのも、可愛い。」


「ぼく、男なんだけど?いきなり気持ち悪いなぁ…」


「ふふ…可愛い。可愛い。」


「聞いてないし…」


不服そうな顔もまた可愛らしい。

疲れた体によく効く…!!!


「さぁ、行こうか。あとちょっとだ。」


「…うん。…あの…テラ?」


「ん?」


手を引いて城へ入ろうとするとカノンが弱い声で呟いた。


「ぼく、これから、どうなるの…?」


不安げに私を見つめる瞳は若干潤んでいる。

(そりゃあ怖いよね。怖いに決まってる。)


「大丈夫だよ。」


そんなカノンの頭を撫でる。

カノンは驚いたように私を見返す。















「私はあなたの『ヲタク』なんだから。」








「『ヲタク』…??」


「そう。守ろうとか、支えようとか、そう決めた人たちに、己の全力の愛情を注ぐ…つまり、『推す』人のことを『ヲタク』っていうの。」


「なんで、ぼくなの?」


「一目惚れっていう表現が正しいかな。今回も、カノンの他にも推したい子が居てね。その子の為に頑張ってたんだけど…こんなに可愛いカノンとも会えて、嬉しい。だから安心していいよ。」


「あっそ…。」


照れたようにそっぽを向くカノンがまた可愛くて、頬が緩む。

また手を引くと、今度はカノンもついて歩いてきた。


「大事にしてよね。」


「勿論。」


後ろからぽそりと呟くカノンの小さい手が温かくて癒やされる。


で、少し遅れて今、推しと手を繋いでいるという事実に気づいた。

ショタだから私の心臓はセーフです。

おめでとう。


幸せな気持ちで自分の部屋がある塔へ向かう。

私は何故か魔王をはじめとした家族から嫌われているので、私だけ居住スペースが違うのだ。

解せぬ。

カノンはキョロキョロと周りを見ながら着いてきている。

見知らぬ物が多いのだろう。

可愛い。


塔の前に着き、扉を叩く。


「ウィーディ…いる…?私。開けて………。」


声をかけた途端、室内が騒々しくなり、ものの数秒で扉が勢い良く開いた。


勢いが良すぎて私の疲労困憊の身体は扉を避けられず、扉と壁の間に思いっきり挟まれた。


「うぐっ…!!!」


「テラっ…!!」


「テラ様!!!!ご無事…で……ん?お前は…?というかテラ様はどちらに…?」


扉を開けたはいいものの、扉の前にいるのは深紫色の髪の人間。

ウィーディ的には狐につままれ様な気分だ。


「ウィーディ…扉、扉…!」


「ああ!失礼致しました!テラ様!申し訳ありません!して、この人間はなんです?お土産ですか?テラ様は人間料理は好まないと思っていたのですが…」


きょとんとした様子のウィーディにため息をが出そうだ。

カノンは人間料理のくだりですっかり私の後ろで縮こまっている。


「カノンは私が保護する。『女神の加護』をこの子の中に、封印してきた。この子をコピーして、中の『女神の加護』を、その中に突っ込む。それで、終わり。」


「なんと!面倒な事をしますね。コピーなど作らなくても、そのまま封印すればよいのではないですか?」


「…文句言わないで。」


ふざけた提案をするウィーディを押しのけて、カノンを連れて地下へ降りる。


「ねぇ、テラ、さっきの人…」


「あれはウィーディ。私の決定には、手出ししてこないから、大丈夫だよ。」


「そう…ていうか、テラ、ふらふらじゃん。テラの方が大丈夫なの?」


自分でも分かる位、階段を降りる足がぐらつく。

正直、限界だ。

さっきのドアバンで結構ダメージ入った。

魔力は元々この地下に貯めてあったから、魔力は大丈夫。

後は、私の体力が持てばいいんだけど…。


「大丈夫。さっさとやって、休もう。」


「うん…。」









一一一一一一一一一一一一一一一一一一


バァァン!!!!!


「テラ様ァァァァーーー!!!!!」


「テラァー!!」


そして、封印を終えたテラとカノンが地下室を出ようとして、様子を伺いに来たウィーディに再びテラがドアバンされ、テラの意識が飛んだのは数時間後の出来事であった。

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