表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の娘の推し活事情  作者: 和樂
第1章魔王の娘は推しを得る
11/22

#11理想と現実のキョリ

すみません。

テラの角について、設定を変更しました。

変更前→角はパンピーには見えない。

変更後→誰にでも見えるぜ!

よろしくです。

「待て。だよ。死の蜘蛛(デスパちゃん)。」


巨大蜘蛛の動きがぴたりと止まる。

その声の主は、灰色の髪の幼児を抱き抱え、少女の後ろから、死の蜘蛛(デス・スパイダー)の前へ立ち、幼児を蜘蛛に差し出す。


「傷つけたら、殺すからね。」


蜘蛛は二本の腕で丁寧に幼児を背に乗せる。


「テラ、ちゃん…?な、何…して…?」


「ん?ああ……アルノーラちゃん。ほら、死の蜘蛛(デス・スパイダー)ってあんまり、かわいくないから、デスパちゃん。それにしても、よく気絶しなかったね」


ローブの幼女は、少女の頭をすごいすごいと笑顔で撫でる。

少女は現実を飲み込めず、呆然としている。


「ごめんね。アルノーラちゃん。カノンと……フィオリアも、少し貰っていくね。」


「貰っていく…?っ!!待って!待ちなさい!」


少女は幼女の言葉を理解できず、思わず、幼女のローブを引っ張った。

少女の力によって、幼女のローブが剥がれる。


ローブの中から出てきたのは、濡れ羽色の髪をした、美しい子供だった。

絹の様な白い肌と、海の様な輝きを宿す瞳、端正な顔立ち。

まるで作り物の様な整い過ぎた容姿に、少女は息を呑んだ。

だが、その美しい黒髪は魔族の象徴。

魔王の髪色と同じ黒は、不吉とされる、差別される髪色だった。

そして何より……


「…黒角…魔族、なのね……?!」


「御名答。これ、かっこいいでしょ。」


幼女は角を指さして、にっこり笑って見せる。

今まで見たことのない笑顔に、ぞっとする。

(訳がわからない!どういうことよ!)

数分前まで自分の弟たちと同じ様な存在だと思っていた子が実が魔族で今は魔物を従え、弟たちを連れ去ろうとしている。

少女の脳内はショート寸前だった。


少女は蜘蛛にいつの間にか意識を失っていた少年を回収させた。


「っう…!!!待って!お願い!フィオとカノンを連れて行かないで!私なら、何でもするわ!大事な弟なの!だから…だからッ!!!」


「アルちゃん。ごめんね。そのお願いは聞いてあげられない。でも、大丈夫。フィオは、結構すぐ返してあげられると思う。」


「…カノン、は………?」


「カノンはね、まぁ……出来るだけ大切にさせて貰うよ。返して欲しかったら、私から奪えばいいよ。もっとも、できるなら、だけど。」


黒い幼女はにっこりと優しく微笑む。

少女の顔はぐしゃりと歪められ、瞳からは大きな雫が溢れる。

幼女はトンと、飛び上がり、デスパちゃん(きょだいくも)の上に跨った。

蜘蛛の背には灰色の幼児と金色の少年がすうすうと寝息を立てて眠っている。


幼女が指をパチリと弾くと、少女はとたんに猛烈な眠気に襲われる。


「…まっ……て………。」


少女が意識を手放す数秒前、幼女は可愛らしく、怪しく微笑んだ。


「じゃあ、またね。アルちゃん。」







一一一一一一一一一一一一一一一一一一


位置の特定に3日、ここまで来るのに4日、勇者の警戒を解くのに1ヶ月と1週間、残りは丁度1ヶ月と2週間となったわけだ。

お家に帰って、カノンを封印するのに少なくとも3週間はかかる。

私の行きのペースで飛んだら、カノンの体が粉砕マシーンにかけられた様になってしまうだろう。

つまり、後3週間でフィオリアから『女神の加護』を奪わなくてはならない。


ふと洞穴の中で眠る二人の子供を眺めると、どちらもなんだか辛そうで、こっちまで気分が悪くなる。

なんとなく、カノンとフィオリアの頭を撫でてみる。


「…アル……ね…」


「…!」


カノンが泣いていた。

フィオリアも、苦しそうに呻いていた。

それに、私の方が、『悪』なんだと思い知る。


(勇者から力と弟を奪うって……。中々の汚れ仕事よね。確かに、私がこの仕事をやらなきゃ、リオルースは辛い思いをし続ける。だから、全部リオルースの為、人助けだと思っていた。いや、思っていたかった。でも、アルノーラさんも、フィオリアも、カノンも、真面目に生きてる人間だ。アルノーラさんが私を憎めるようにと思って、舐めた態度をとってみたけど、本当は、仲良くしたい様な優しくて、いい人だった。もし、もしも、できることなら……)








「私も、リオルース(あのこ)も、君の仲間だったら良かったのにね。」








勇者の頭を撫でながら思わずポツリと呟いたら、なんだか悲しくなって、首を振るってその思考を消した。


(なれる訳、ないんだから。)



「さ……はじめなきゃ。」


灰色の子供の胸に手をかざして、黒の幼女は淡々と作業をはじめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ