30.親愛
レーベルクと名乗った男にツェンが赤い眼を見開いて突進する。
「こいつ、どうします?」
男の首根っこを掴んで持ち上げているツェンが訊ねた。青い眼を光らせた女を見て金髪の男が爆発する。
「私達はその青い眼の力を収集するだけの存在だよ」
レーベルクと名乗った男と全く同じ姿の青年が入口より現れてそう告げた。困惑する二人に金髪の男が続ける。
「もっと痛みをくれないか。君達のデータが欲しい」
瞬間、ツェンがレーベルクに駆け寄り首の骨をへし折った。その後に入り口から同じ顔の男が現れる。
「予備は何体でもあるんだ。無駄なことをしないで話を聞いてくれないか?」
「一体残らず吹き飛ばしてやろうか?」
赤眼の男が身体から高熱を発した。
「やめろ」
「やめろと言われりゃやめますけどね。この国ごと消しちまった方が早いんじゃないですか?」
体温を沈めた赤眼の男がクィンに言った。
「予備とやらが何体あるのか分からない以上やるだけ無駄だ。同じ姿をしているとも限らん」
「理解が早くて助かるね」
一拍間を置いてクィンが言う。
「とはいえ」
その青い眼を強烈に光らせた。レーベルクと名乗った男の情報が頭に流れこんでくる。
『』
無。何一つ記憶も思考も読み取れない。似たような黒眼の男―――ユーリィ=プラストゥを思い出しクィンが告げる。
「何なんだ。貴様等は」
「君と同じで私は願いを叶えたいだけなんだ」
しかめっ面をしたクィンが聞き返す。
「何を」
「君と同じと言っただろう」
言っている意味が分からないといった表情をしているクィンにレーベルクが答える。
「君は人々の願いにより生まれ、願いを果たした時に存在が無くなる」
「何が言いたい」
自嘲気味な笑みを浮かべてレーベルクが問う。
「君自身は何を願う?」
「俺は・・・」
クィンはその質問に答えられなかった。
「私の望みは科学技術や理論を証明したいだけなんだ。それ以外の望みがない。だから必要なのだよ。それを望む者が」
「だったらテメェ等同士で仲良しこよしでやってりゃいいだろ。物騒なもんばっか作りやがって」
レーベルクが高らかに笑いながら告げる。
「だから仲良く戦争をしてるんだろう? 膠着状態になれば奴等は永久に金と兵器を求め続けてくれる」
「おい、クィン。話にならねぇぞコイツ。お前の目的と正反対だ」
その会話にクィンの表情に陰が差した。自身は人に求められた存在。レーベルクが戦争を求め続けるならば自分は消えることができない。そんな思いが頭に過ぎった。




