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28.楽園
大陸の北に存在する帝国に赤眼の男と青眼の女が舞い降りる。そこでは公園で遊んでいる子供が眼に映った。やはりここは治安が良い。そう思った青い髪の女にツェンが声をかける。
「いいもんですね。平和ってのは」
青い眼を赤い瞳に光らせた女が言った。
「表面上のものじゃなければ、な」
「俺は表面上でも幸せに見えてればいいって思いますがね」
赤眼の男の感情が読めない。青眼の女が言った。
「それはどういう」
赤眼の男の強い意識が流れ込んでくる。
「人民全員を幸せにするなんて不可能なンだよ。だったら誰かが割り食うシかネェ」
「表面上ダけ幸せに思わせとけばいイんですよ。俺はイヤですけドね。そンナ、偽りの、幸福・・・」
二万年を生きた男の思いが噴き上がる。
背後に宿る46億歳の女神がクィンの眼に映った。
ふっと息を漏らしたクィンが告げる。
「これは人間として言わせてもらう」
青い髪を翻し、言葉の先を続けた。
「すまなかった」
「構いませんよ。分かってます」
赤眼の男が視線を外してそう告げた。




