24.戦火
「東国に行くなら鉄道の方が早いと思いますぜ?」
テントウムシと呼ばれる赤い車を運転しながらツェンが言った。
「色々と観て回りたくてな」
粗悪な道を走った車の外装をサイドミラー越しに見たクィンが返事をする。
「整備された道ばかりじゃないんだな」
「爆撃なんかで吹っ飛ばされるところも多いですからねぇ」
キャタピラの跡が残っている道を思い返して青眼の女が言う。
「地雷なんかが埋まってなければいいが」
「さすがに幹線道路にはないと思いますよ。少し道を外れりゃごまんとありますが」
「・・・そうか」
視線を落としてそう言ったクィンにツェンが告げる。
「俺が歩けば地雷なんざ吹っ飛ばせるんで。まずは地雷を増やさないよう世界を平和にしましょうか」
「ああ、そうだな」
ふっと微笑んだクィンが言った。
高層ビルが立ち並ぶ中、ツェンと同じ人種の人々が行き交う。東国の中央に着いたクィンが赤眼の男に告げる。
「少し寄るところがある。お前は今夜の宿を取っておけ」
「詮索はしませんが何時頃お戻りで?」
何処へ行くのか把握したツェンが質問した。
「分からん。戻るかもしれないし、戻らないかもしれない」
「へぇへぇ。ま、お戻りになるんでしたら記憶の足跡でも辿ってくださいな」
ツェンには誰が何処に存在しているのか把握する能力がある。それを前提において、地球上であれば何処にでも出現できる男が迎えにこれない理由を光る青い瞳で把握しているクィンは黙って頷いた。




