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23.悠里
「さーて、次はどこに行きおつもりで?」
「東国へ行く」
その返事にツェンが驚いた表情で返事をした。
「前にも言いましたけど騒ぎになっても知りませんぜ?」
「安心しろ。お前が行きたくない場所には連れていかん」
ツェンも自身の妻が生きていることは把握している。クィンもそれは汲んでのことだろうと理解した男が答えた。
「そりゃありがたいご配慮で。ただ何しに行きなさるんで? 主席にでも会うんですか?」
「会うには会う。が、目的はそれじゃない」
荘厳な神殿が立ち並ぶ街中でなびく青い髪の後ろ姿を赤い瞳が捉える。
「ユーリィ=プラストゥの因子が潜んでそうでな」
「ユーリィ? ああ、学会の時にすれ違った黒眼のヤバそうな野郎ですか?」
髪に混じった黒い一束を捩じりながら女が答える。
「ああ」
「ま、野郎を見つけるのも世界平和の一端になりそうですからねぇ」
憎悪の塊のような男と、それと同じ黒髪黒眼の妻が重なった赤眼の男が表情を曇らせた。




