表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/32

18.無進

「さて」

 談笑が続くヴィレーネ宅でリビングのソファに座っている長い青髪の女が言った。

「ここらでお暇させていただこう」

「楽しかった。新居祝いにこちらからも今度訪ねさせてもらっていい?」

 立ち上がったクィンがスーツの襟を正してソフィアに答える。

「ああ。しかしこのあたりは道が悪い。必要なら車で迎えにこよう」

 そう告げた女の曇りのない黒いハイヒールを見て金髪の女が告げる。

「その時はよろしく。ツェン」

「任せといてください。ドライブでも楽しみながら行きましょう」

 シルファの隣でカーペットに座っていたツェンが本を閉じてそう告げた。




 東へ向けて車を走らせているツェンが言う。

「クィンちゃんも女たらしですねぇ」

 体を筋肉の塊に変えた巨漢に赤眼の男が応える。

「運転中はやめてくださいよ。アンタまで吹っ飛んじまう」

「俺も死にはしないが?」

 その返事に、ハンドルを握り中央国へ車を飛ばしているツェンが言葉を返す。

「いちいち作り直すなら最初からやりゃいいだけでしょう」

「それができていたら苦労していない」

「俺には人類の平和ってのが何処にあるか分かりませんが」

 フロントガラスに広がる大通りと青空を視界に捉えながら赤眼の男が言う。

「生きてる以上、どこにだって不幸は生まれるんじゃないですかね。たとえアンタが世界を書き換えても」

「存在する以上は俺も進まねばならない」

「そうですかい」

 その返事に、赤眼の男が失った感覚だと青空が知った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ