どうせあなたも……
Whitney(以下W)∶ハァイ、デボラ
アンタが次の女になってくれるなんて感謝しかないわ
Deborah(以下D)∶ちょっとホイットニー?
あなた何を言ってるの?
W∶アンタのお陰で、アイツはアタシから離れていきましたとさ……って話よ
D∶誰がそんなことを言ってたの?
W∶ねえ? アイツはアンタになんて言ってるの?
きっとアタシに言ったのと同じことを言ったんじゃない?
D∶愛してるって彼は言ったわ
W∶それ、アタシも聞いたことあるわ
D∶彼は言ったわ、私に……
W&D∶『とっても綺麗だよ』って。
D∶……なんでよ! なんでわかるの!
W∶そのシーンはアタシも演じ済みだからよ
アンタのはただのシーンの撮り直しなの
アタシはたくさんの夜をアイツの相手役として過ごしてきたわ
だけどもう配役変更
今の主演はアンタってわけなのよ
ほら、照明もカメラもアンタに向いてる
警告はしたわ。忘れないでね
せいぜい今を楽しんでおくのね
どうせ長続きしないんだから
どうせ脚本は同じなの
ただ女が変わるだけなんだから
D∶あなたが言うことが正しいとしても、なんで私があなたから忠告なんか受けなきゃいけないわけ?
W∶アンタのことを嫌いになったわけじゃないの
ただ……アタシも前の相手から同じように警告してほしかったってだけよ……
D∶もういいわ。何も言わないで
W∶耳を塞がないの、お嬢さん
D∶もう何も聞かないわ!
W∶でも本当は聞いてるんでしょ?
もしもアタシの言い分が違ってたとしても、アンタも本当はうっすら気づいてるんじゃない?
今のアンタはただのシーンの撮り直しなんだって
アタシはそれはそれはたくさんの夜をアイツの相手役として過ごしてきたわ
そして相手の女は変更されるの
アンタが今の主役よ
ほら、照明もカメラもアンタに向いてる
警告はしたわ。忘れないでね
せいぜい今を楽しんでおくのね
どうせ長続きしないんだから
どうせ脚本は同じよ
女が変わるだけなんだから
D∶あなたが捨てられたのは、彼への愛が足りなかったせいよ!
W∶違うわ。愛しすぎてしまったせいね
だからアンタがアイツを愛すれば愛するほど、アイツの心はアンタから離れていくわよ
D∶違うわ! 彼は変わったの。悪いのはあなたよ。私が証明してみせる!
W∶それはないわね
D∶もうどこかへ行ってよ! 私たちのことはもうほっといてよ! 彼は私のことを愛してるの!
W∶アンタは傷つくと思うわ
D∶彼はずっと私といるの!
W∶いいえ、アイツはアンタから離れていくわ
W∶間違いないわ、間違いないわよ
D∶間違いないわ、間違いないの
W∶アンタがしてるのはアタシの人生の再現よ
たくさんの夜をアイツと過ごしてきた
そして相手の女は変更されるの
今はアンタが主役よ
ほら、照明もカメラもアンタに向いてる
警告はしたわ。忘れないでね
D∶ええ楽しんでやるわ
だって私たちの関係はこの先も続いていくもの
私はこれからも彼といるわ
そしてあなたは彼の過去の女でしかない
W∶アンタがしてるのはアタシの再現でしかないの
たくさんの夜をアイツと過ごしてきた
今はもう配役交代
アンタが今の主役よ
ほら、照明もカメラもアンタに向いてる
警告はしたわ。忘れないでね
せいぜい今を楽しんでおくのね
D∶ええ、とっても楽しんでるわ
W∶続かないけどね
D∶続くわよ
W∶女が変わっても所詮台本は同じなのよ