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本物の聖女と言われ殿下の婚約者になった彼女が怪しいです。

「偽聖女、イヴェット! お前との婚約を破棄し、本物の聖女、クリステルと婚約する!」


 広い広い王宮でシリル殿下は私に婚約破棄を言い渡しました。周りには殿下の騎士達がたくさんいます。


 そしてシリル殿下の横にいるのは私よりも数段美しい超絶美貌の聖女、クリステルです。私は婚約破棄に納得がいかないので彼に言いました。


「どうしてですか!? 殿下!」


「それはお前が治癒魔法を持っていないからだ!」


「殿下! あなたは私に魔法を持っていないからと言って私を偽聖女扱いするのですか!?」


「そうだ! 聖女という者は本来は治癒魔法で庶民や貴族、そして我々王族達の病気を治したり、さらに結界で魔物の侵入を防ぐのが仕事だ!」


 そんなのおかしい。


 私の考えている聖女という者は純真で常に厳しい態度で自らを律し、他から尊敬されるような理想的な女性のこと。


 殿下は勘違いしてますが、聖女が魔法を使ったらそれはもう魔女じゃないですか? 私は彼にその事を説明してあげました。


「殿下、聖女が魔法を使ったらそれはもう聖女ではありません。他ならない魔女です!」


「そんなの嘘だ! 魔女は魔女狩りで滅んでいるはずだ! それに聖女の中に魔女がいたなんて話、聞いたことがないぞ! お前はそうやって嘘をついて誤魔化そうとするつもりだな!」


「殿下、聞いて下さい。恐らく魔女は今も実在します。存在を分からないように活動しているだけです」


「誰が偽聖女の言ったことなんて信じるか! 俺は本物の聖女、クリステルを愛し続けるからな!」


「殿下、もう一度考え治して下さい。私との婚約を…」


「言ったはずだ! お前との婚約は破棄すると!」


「そうですか。どうやらあなたの意思は変わらないみたいですね。分かりました、それではさようなら」


私はその場から立ち去りました。


 確かに私は治癒魔法は持っておりませんが、だからと言って聖女ではないと呼ぶ資格があるのでしょうか?


 あまりにも酷いお話ですし、それを理由に私との婚約を破棄するなんて信じられません。でもまだ私は少女なのでやり直そうと思えばいくらでもやり直せれます。


 その後、私は地元の教会で神を信じ続け、神に祈りを捧げながら聖女をしておりました。


 私は昔からの幼馴染みだったイアンと婚約致しました。彼は変わらず昔から幼い顔をしていてとても可愛いらしいです。


 とても謙虚なイアンなのでどうしてもっと早く彼と婚約しなかったのかと悔やみましたが、でもこれからのお時間大切にします。


 それと彼と過ごしていたある日のことでした。


「ねえ、イヴェット。こんなお話知ってる?」


「どんなお話?」


 イアンがしたお話とは魔女達は魔女狩りを避けるために聖女に成り済まし、魔法で人々の病気を癒して治すふりをしては新たな病気を引き起こすようなことをしたりして、誰にも気付かれずに悪事を働かせているというお話です。


 そうやって彼女達は国を滅ぼすために言葉巧みに聖女と偽って王子に近づき国に害悪を(もたら)すのです。


 そして私との違いは神に祈るか祈らないか。つまり神を味方にするか敵にするかです。


 魔女は普通の人間よりかは美しく美貌を保ち長生きします。彼女達はいつまでも美しくありたいがために悪魔との契約を交わした者達ばかりみたいなのです。


 ここまではイアンから聞いたお話です。


 もし私が思うにこのお話が本当ならクリステルが魔女の可能性があります。でもクリステルが魔女である証拠がありません。ですが、彼女がもし本当は魔女なのに聖女を騙りシリル殿下に近づいたのだとしたら……?


           END


この作品を読んでいただいた皆様。

読書のお時間いただきましてまことにありがとうございまする m(_ _)m


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― 新着の感想 ―
[良い点] 『意味が分かると怖い話』のような雰囲気で面白い〆ですね。地元に戻っていても、同じ国内に居るならば魔女によって国が滅ぼされる事態になった時に、イヴェット達にも害が及ぶかもしれないので怖い結末…
[一言] 魔女と聖女の境い目、難しそうだなぁと思いました。読ませていただき有り難うございました♪
[良い点] 初めまして通りすがりの読専で御座います。主催者様の書いた感想の後をストーキングして私も感想を書かせて頂く許可を頂きました。 [気になる点] 主催者様の主旨は『ゆる~い感想』ですが、初めて感…
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