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神々に愛されし者達の夜想曲  作者: 白雪慧流
魔術学園編 【五章 未来への一歩】
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第八話 【処罰】

 カルデラに抱かれた状態でベッドに腰掛ける。腰掛けるというか、膝の上に乗せられている。久々だなこの状態。

「で、どのような処罰を?」

ティアラに呼ばれ、部屋に来たセヘルはにこやかである。セヘルだけではなく、ティアラもだ。

「そうですね、両親に聞かなければなりませんが、とにかく屋敷からは追い出します」

「軽いです」

「ご安心を、それだけでは済ませませんよ?」

男性二人の会話が怖すぎて、口を挟めないんですけど。でもこのまま放置しておくわけにはいかない。

「か、カルデラ、相手は女の子よ!」

「女であるということは関係ありませんよ」

「お嬢様、今回ばかりは優しさを見せてはいけません」

「ティアラまで……」

私が死にかけてたのは、私のせいだし、自業自得なんだから、そんな厳しくしないであげてよ。

 そんな私の願い虚しく、三人はどんな処罰が一番良いか話し合いを始める。私はとりあえず酷いものが出たら止めた、その度に睨まれたが、できるだけ、できるだけ軽くしてあげたい。

「メリはですね、甘いんですよ」

「皆が厳し過ぎるのよ」

処罰が決まったので、セヘル、ティアラは部屋を出ていく。カルデラは部屋に留まったと思ったら、添い寝をするようだ。私の部屋は初めてだと思う。

「メリのベッドで横になると、メリの匂いがしますね」

「甘ったるいんだっけ?」

私にはわからないが、甘い匂いがするらしい。しかも甘ったるいくらいだと言っていた。生クリームとか、そういうのに近いのかな。

 カルデラの腕が、少し上部に動かされる。あの、胸を締めつけるのは苦しいのですが。

「カルデラ、苦しい」

「……メリの匂いが濃いと妙な気分になります」

なんだ妙な気分て。それよりも腕を下に移動させるか、解いてくれ。

「襲いたくなりますね」

「……は?」

「冗談です」

更に強く抱きしめられる。冗談には聞こえないのですが。でもそれを言っても無意味なので、私は大人しくすることにした。

「手を出すのはちゃんと婚姻関係になってからにします、なので、私の傍にいてくださいね、くれぐれも、死のうとは考えないでください、くれぐれも」

「は、はい」

どうも、今回の件は相当なトラウマになったようだ。最後のくれぐれもの言葉に力が込められていた。

 結局腕を胸から離してくれることはなく、そのまま寝て朝を迎える。大事を取って学園は休むことになった。セヘルも休むらしい、理由はまぁわからないでもない。カルデラは私に部屋にいるようにと念を押して部屋を出ていき、一時間後くらいに戻ってきた。その一時間の間にシャワーと着替えを済ませておく。お決まりのモノクロにすると、なんだかシャキッとした。良し。

「メリ、食堂に行きましょう」

「わかったわ」

カルデラの手を取り、食堂へ向かう、そこは、うん。早めに帰ってきてくれたマリア様とソフィア様がおり、その目の前には見たことない男性と、サルタールがいた。

「スルガー家の当主、レティス・スルガーです」

カルデラが耳打ちで教えてくれた。レティスね、了解。

 私が一歩前に出る。すると全員がこちらを向いた、サルタールが睨んだが、それをレティスは叩いて止める。た、叩かないであげて。

「メリちゃん、体調は大丈夫かな?」

「はい、ご心配をおかけしました、レティス様、メリ・カンボワーズです」

「レティス・スルガーです、娘がご迷惑をおかけ致しまして、なんとお詫びしたら良いか」

私もレティスも一礼する。サルタールが何か文句を言おうとしたが、すかさずレティスにより口を塞がれた。まぁ、マリア様がめちゃくちゃ睨んでいるもんね、私でも怖い。

「でだ、レティスくん」

「はい」

私にニコッと笑っていたソフィア様だが、レティスに冷たい視線を送る。レティスは背筋を伸ばした。

「スルガー家は長らくクロム家に仕えてくれた、それを僕の父がこちらの都合で切った、それもあって、僕はある程度譲歩していたわけだけど」

いつも通りの口調、いつも通りの声のはずだが、緊張感が空間を包む。

「流石に今回は譲歩できない、メリちゃんの力は少々特殊でね、メリちゃん本人も、僕達だってわからない事が多い、それを伝えてなかった僕達の責任でもあるけど、そもそも娘の育て方に問題があったんじゃないかな」

「おっしゃる通りです」

レティスは深々と頭を下げたが、サルタールはふんっと言いたい感じである。

 ミラフの時にも思ったが、親が謝ってどうするのだろう。親は無関係なのに。

「メリ様」

「はい」

「この度は本当に申し訳なかった」

私にも頭を下げてくれたが、私はただサルタールを見る。彼女はこっちを見てすらおらず、それに気づいたレティスが、無理矢理頭を掴み、下げさせた。

「お前は謝ることも知らないのか!」

「お父様、私は何も悪いことしてません!」

「まだそんな事を!」

「レティス様、構いませんよ」

私は二人を止める。謝る気ないならそれはそれでいい、変わらないから。それに今回サルタールからはなにかされたわけではない。私が溜め込んだ結果、魔力が自分に向いたのだ。彼女の主張は間違いではない、合ってもないけど。

「レティス様、私は別に貴方からの謝罪が欲しいわけではありません、ましてや、謝る気がない方の無理矢理な謝罪が欲しいわけでもありません」

私とソフィア様は目を合わせ、頷く。

「メリちゃんの言う通りだ、僕達が求めるのはただ一つ、金輪際スルガー家がクロム家に関わらないこと、それだけだよ」

「それは……!」

「いいね?」

ソフィア様は有無を言わせず言葉を重ねる。レティスはそれに頷くしかなかった。

 こうして、レティスがサルタールを連れて屋敷から出て行った。私としてはサルタールが関わらなければいいのだが、彼女へ、そして、スルガー家に対して最も重たいのは、クロム家との完全な縁切りだということで、このような処罰となった。

「でも、レティス様には悪いことをしましたね」

「メリちゃんが気にすることじゃないわよ」

「そーそー、元々スルガー家は邪魔だった、うちの名を語られるのも迷惑だし、いい機会だよ」

やっぱり、クロム家全体が他者に対して冷たいよね。懐に入れてしまえば優しいけれど、そうではない者に対しては興味がない。王族故に、他者との関わりを気薄にしているのかもしれない。リテア様も周りとは最低限の関わりだし。

「さて、後はマーベス待ちですね」

「マーベスも確かにそろそろ帰ってくるわね、でも、待ちって?」

カルデラはただ笑顔を向ける。マリア様とソフィア様、セヘルまでもが私に笑顔を向けるだけで答えてはくれない。あの、怖いんですけど。

 答えはわからないまま、マーベスを待つ。帰ってきたマーベスは、クリアとなぜかローザと共にいた、なんだこの組み合わせ。しかも何か書類を持っている。

「ローザ? どうしたの?」

「マーベス様に頼まれたのですわ」

マーベス、ローザは書類を食堂の机に置いた。それを私は手に取り、セヘルを見る。

「セヘル……」

「感情は、隠せないと、言いました」

それはラーダ家に関する書類だった。ディオの名前を出したのは昨夜だ、一日も経たずにここまで調べられるものではない。つまり、ディオが私に接触してきてすぐに調べたということになる。

「よく名前わかったわね」

「僕に教えてくれたのがディオ先輩だもん」

あーそう言えば、そんなこと言ってたか。私のことを知る人は限られてくる。そっから割り出したわけね。

「あと、魔術教師ラーダに関しては私が知らぬ人ではありません」

「そうなの?」

「えぇ、ディウムをあそこまで怒らせるのも中々珍しい方です」

怒らせたって、何したのよラーダ先生。あの人は小等部の魔術教師だ、その時大等部だったであろう、ディウムとは関わりはないはずである。いくら敷地は一緒でも、校舎も違うというのに、よく怒らせたものだ。

 書類を改めて見る。そこには、ローザの字ではないものがあった。筆圧が強いし、何より図や重要部分の色が変わっていたり、ちゃんと文章になっており丁寧である。ローサが作る書類は箇条書きだ、こっちはこっちで重点項目がわかりやすいのだが、歴史の背景はわかりにくい。その辺がしっかりカバーされている。これ、マーベスが持ってきた書類だよね。

「それはヴァニイが作ったものですね」

「ヴァニイ様が?」

「はい、ヴァニイの得意分野です」

ヴァニイを巻き込んだの? 研究所の運営で忙しい彼を? 今度会ったら謝っておかなきゃ……。

「申し子に対して害になるならば、ヴァニイは動きますよ、オルガン家ですから」

「尚更頼んじゃいけないでしょうに」

仕事そっちのけになりそうじゃない。私申し子であることを盾にはしたくないんだけど。

「ヴァニイさんから伝言だよ」

「何言ってたの……」

「申し子を雑に扱うような奴は許さなくていいってさ」

「そう……ですか……」

行動には気を付けよう。あらぬ被害者を増やしたくはない。変なことしたら、私が悪くとも全て向こうが悪くなりそうだ。

「申し子はどうでもいいですが、メリを傷つけるなら容赦はしませんよ」

「どうでもよくはないでしょ」

「メリはメリですから」

うん、やっぱり気を付けよう。対処が過激なのよ、ちょっと敵意向けられたくらいで重たいのよ。

 サルタール同じく、どんな処罰が一番いいのか話し合いが始まる。その中には当然殺伐としたものがあり、それが出る度に止める。

「やっぱり、社会的に抹消するのがいいと思いますわ」

「ローザ! 何も良くないわ!」

「メリ様は優しすぎるんですの! メリ様の事情を考えずに罵ってくるような馬鹿です! こんな奴が社会に出たって良いことはありませんわ!」

「ローザ様の言う通りですよメリ様、むしろ命あるだけありがたいと思ってもらわなくては」

ローザはいいとして、クリアまで怖いこと言うようになってしまった。それはね過剰防衛って言うのよ。

「ヴァニイさんも怒ってたよー、なんでもラーダって教師、ディウムさんにもちょっかいかけてたらしいから、メリさんにまでって」

「元々性格がよろしくないのです」

言いたい放題だな。別に私は関わってこなきゃいいのよ、関わってこなきゃ。

 その後も、ろくな案が出ず、私はため息を吐くしかなかった。

メリ過激派の皆様

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