三章後日談二話 【読める者】
中庭にて、マーベスが、セヘルとカルデラを見比べる。そして唸っている。
「やっぱり、セヘルって」
「セヘルになんかあったの?」
私も見比べるが、何かあるとは思えない。強いて言うなら、二人の魔力って似てるかな、くらい。セヘルが背後にいると、カルデラが来たのかと間違う時がある。そういう時は少し怖いが、慣れたら、多少の違いで判別できるようになった。同じく無属性の魔術師だし、似ていても変ではない。
「兄さんより魔力低いよね」
「いや、何当たり前のこと言ってんの」
どうやら、似ていることを言いたいわけではないらしい。
ただねマーベス、カルデラと見比べるのは可哀想よ。
「いや、兄さんに忘却魔法かけたの、セヘルとリスィじゃないか、でも二人を合わせたらなんとか抜くか抜かないかだよ、いくら常に魔力を送っていたとしても、兄さんが弾けないほどじゃないなって」
「……僕が解除した時には、下回って、いましたね」
「だろ!」
今度はセヘルが首を傾げ、カルデラを見る。カルデラは黙ったままだ。
しばらく、セヘルはカルデラを見ていたが、こちらに向き直る。
「カルデラ様、焦っていた、ようですね」
「セヘル、勝手に人の感情を代弁しないでくださいますか」
「ホントに読めてるんだね」
どうやら、セヘルはカルデラの感情が読めるらしい。理由はわからないが、魔力を通して感じれるとか。私としては羨ましい限りだ。
「焦りは、時に力を鈍らせます、だから弾けなかったのでしょう」
「魔法は感情に左右されるってやつね」
カルデラでもそんな事があるのかと、なんだかおかしくなる。
そんな話をしたと、マリア様、ソフィア様に言う。セヘルが読めるの凄いなぁって思って話したのだが、マリア様は大爆笑、ソフィア様もニコニコしている。
「もー、カルデラったら、好きが転じてから回ったのねー」
「冷静さがなくなるのは、マリアに似たんだね」
「ちょっと、どういうことよ」
二人の喧嘩を諌めつつ。話を戻す。
「そもそも魔力を弾くって難しいものなんですか?」
「んー? そうだねー、相手の力量にもよるけど、自分に対して不利益を伴うものの場合、焦ったりして弾けないのはよくある話さ」
よくある話なのか。なら、カルデラが弾けないのは仕方ない。基本魔法なんてかけられないだろうし。
「ただ、あの程度の魔法で焦るなら、鍛え治さないとな」
「お、お手柔らかにお願いしますよ……?」
それでも多忙なのに、スパルタ教育なんてセットされたら……後々の私が怖い。
ソフィア様はただただにっこりと私を見る。疲れたら、頼られるの私なんですけど。
その後、セヘルから、カルデラ様が、疲れている、ようです、という報告が入り、その日の添い寝では、物凄く私を抱く腕に力が入っていた。




