選ばれた理由
少し時間が空きました。本日は後数話投稿予定です。
私は、救急車ともわからない車に乗せられている。勿論、沢山の機械に繋がれたままだ。
「さてさてと、衣川さん、発声装置を付けていますので喋る事が出来ます。お加減はいかがですかな?」
『ああ、自分の声で喋るのではなく、思念から読み取られているからか、負担もなくて快調です。色々と聞きたい事には答えてもらえると思っていいんですよね?』
契約はした。何故、私が選ばれたのか?何故、巨額を投じてまで私の病を治してまで、やらせたい事があるのか?理解が出来る範疇ではない、だから聞かなければいけない。
『何故、私なんです?全身擬体というサイボーグ治療を私に施す意味がわかりません、教えてもらえますか?』
南雲は顎に手を当て、少し思案するよう、言葉を選ぶように口を開いた。
「何故、衣川君かと言うと、至極単純な答えでもあります。きみは古流武術の使い手だと言う事。そして、そのレベルが極めて高い事が上げられます。通常であれば負傷した優秀な兵士を利用するのですが、私たちが掲げるコンセプト機体は、優秀な兵士だというだけでは成り立たないのです。」
聞いた理由は、それらしく納得が確かに出来る。だが、それだけか?戦闘のプロは沢山いるはずだ。
『だとしても、私は戦いのプロではないです。自衛隊所属でも、警察関係でもありませんよ?』
「いえいえ、そのような近代格闘、例えばシステマなどとは違う、そうですね、貴方の様な(気)オーラ、魔力と言ったシステムを武術に取り込んだ古流格闘技が、私たちに必要な検体なんです。そして、その力で守って欲しい方が居ます。これは、徐々におつたえしましょう。」
そう言って南雲は、今までとは違う、少し柔らかな微笑みを浮かべた。
確かに、気というモノを概念としては取り組んではいるけど、サイボーグ、全身義体とは相反する気がする。
南雲はそのまま黙り、目的地に着くまで静寂が車を支配した。
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