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深夜の短編集

自由に迷う

作者: yu

個性のないニヤケ笑いが貼り付いて剥がれない顔。

同調圧力で潰れて中身の無くなった脳みそ。

同じ色ばかりを見すぎて眩んでしまった眼球。

他人の言葉を聞き漏らさぬよう、兎のように肥大化した耳。

発言の機会を失い、言葉を忘れた舌。


こんなものばかりを首の上に一生懸命拵えて、据え付けて、ようやく生きてきた僕たちは大人たちにこう言われた。

「明日から君たちは立派な大人です。自由です。頑張ってください。」


自由も個性も奪われて型通りに育つことだけを考えて努力してきた僕たちに、自由だと?

今更覚えていない。自由の光も音も味も。何もかも忘れて考えないで生きてきた僕たちに、自由だと?

判決:自由刑に処す。刑期は一生、終身刑でございますといったところでしょうか。全く素晴らしいじゃないか。死にてえ。

どうすれば幸福であるのか、どうすれば不幸でないのか、それすらも手探りで探せだなんて、一体どれほどの罪を犯せばそんな罰を与えるというのだ。

これなら地獄の罰のほうがよほど気楽だろう。石を積むたびに崩されたとしても、石を積むことを求められているほうが気楽に違いない。


ああ、どうしようかな。今更空虚な頭に何かを詰め込める気もしないし、誰もが驚くような誰かになれる気もしない。でも命だけは無駄に持ってる。

捨てちまうか。でももったいないよな。せっかく約20年抱えてこれた命をサクッと捨てちまうのも違う気がする。


ああ、面倒くせえ!

とりあえず、水でも飲んで寝るか。そうしよう。そんでもって明るくなったら適当に歩いて猫でも探そう。それくらいの人生で良い気もしてきた。

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