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異端力者の世界変革  作者: ぐりーなー
4/12

一章:二人(2)

「こいつら全然気絶しねえなぁ」

「だったらお前のサイコキネシスで半殺しにしたら?」

「おお!いいね!少しはスッキリするかも!!」

こいつらも全くと言って良い程に見分けのつかない顔。

腰の高さ程度の新樹に手を翳し、波動を送る。恐らく一番初めに会話したリーダーだろう男。プルプルと痙攣する程に腕に力を注ぎ、数十秒の末木をフワフワと中へ浮遊させた。

なるほど念力か。

「よし、行くぜ!」

「やっちゃってください!!」

新樹を根から丸ごと浮遊させた様な言い方だったが、実際は五センチ程の木の枝だけだ。

新芽が出てたのに、可哀そう。

ぷかぷか浮くそれはモブAの手の動きに連動する。モブAが小さい子へと槍を投げる様に腕を振るえば枝は従って飛んでいく。

ただの枝であり、か弱い能力ではあるが、投げるよりも数倍に跳ね上がる速度と威力は人を殺せるほどくらい脅威ではある。

人に当たれば。

「……そろそろやめとけって」

「あ?」

俺が茂みから顔を出し小さい子たちの前に立つとモブAは嫌悪感だらけの顔でこちらを睨む。

「せ、先輩!」

ともう一人のモブは慌てふためく様子でAを呼んだ。

「なんだよ?うぜぇ……」

「い、いや、前前」

機嫌悪そうに言葉を返すモブAに対しそんな事よりもと俺の手へ指を差す。

「は?何が言いたいんだ、よ……!?」

モブAはモブBの差す指を追ってやっと気づいた。

「いつの間に……いや、なんでお前なんかが……!」

俺が投げたはずの木の枝を右腕に持っている事を。

「お前如きが!?あのスピードをどうやって止めた!?どっから現れた!?」

「いや、普通に歩いてパシッて……」

単純なことだ。木の枝よりも速いスピードで、小さい子の前に立つ。枝を掴む、まさかそれを理解できない程馬鹿では、ないよな……?いや、違うだろう、理解はしている、ただ問題はそこじゃない。

「無能力者に止められるのがそんなに許せないか?」

「ゆ、ゆ、許せるわけねえだろ!!」

そう言う事だ。取るに足らない能力者というプライドが、その価値が、無能力に破られる事を認めていない。現実逃避だ。現実は目の前にあると言うのに。

本当にくだらねえ。

「先輩やっちゃいますか!こいつ!」

「ああ、ボコボコにしてやれ!!」

「「「「かしこま」」」」」

 ノリがチャラい。

モブAの前に全員が立ちはだかる。

後ろで念力に集中しているモブAを守ると言うわけか。

「やっちまえ!俺の兵士!!」

モブBはそう言うとボロボロで錆びた兵士二体を土から出現させ、今にも折れそうなその剣で何の考えもなく斬りかからせる。

「うおっと」

折れそうな剣というか、折れた。

一度振りかざされた剣を最小限の動作で回避し、兵士の方へ目をやると、下げた剣を持ち上げるのに苦労している。動作が鈍い様だ。

…この程度、か。

そこに下段の蹴りをそれぞれ入れると剣は真っ二つになり、兵士の方はガクッと膝から頽れ動くことは無かった。

手応えがまるでない。

「油差したら?」

「そんな、僕の兵士ちゃんが……芽衣子……由香……」

名前のセンスどうなってんだよ。

「次は誰だ?」

「背後、取られてるぜ?調子に乗んな!!」

「誰が?」

背後を取ったというもう一人のモブと目が合う。

「!?」

俺は鼻で笑った。

巨大な剣を振りかざすモブだがその前に俺の拳は顔面に届く。大ぶりなその動作で回避できるわけもなく、拳が顔面にめり込んだ。

「うぐあっ!!」

大袈裟だな。

勢いよく後ろへと吹っ飛ぶモブは十メートル先で地面に倒れた。

「この程度でよく調子に乗れたな、いやこの程度だから、か」

「な、なんなんだお前!!」

「能力に囚われてるお前らには分かんないよな」

 あと、三人。

「はんっ、所詮雑魚がやられただけの事、俺のスピードについてこられるかな」

また目の前に立ちはだかるのはモブC。

なんで俺の目の前で反復横跳びし始めるんだこいつ。頭使え頭を。

「ふ、当てられるかな?お前に!」

攻撃を仕掛けてくる気はない様だが、なんだこいつ。

未だサイコキネシス中のモブA、倒れた二人にもう一人のモブが治癒、周囲はそんな様子だった。

治癒はちょっと厄介だな。

「すまん、お前どけ」

「うぷっ!」

俺の目の前を決め顔で反復横跳びする野郎の足元を掬い上げると勢いよく尻餅を突く。

「な、私のスピードが!!」

とても驚くモブC。

「見え見えだ…」

「くっ」

とても悔しそうなモブC。

なんだったんだこいつ。

「今から直しますからね!!」

 一人の少年は治癒に専念しすぎて、俺がもう真後ろにいることを分かっていない様だ。

「なっ!今反復横跳びさんと戦ってた筈なのに!!」

反復横跳びと戦うってなに?

「悪いな」

そんな事はどうでも良くて、俺は首に一つ手套を素早く入れ少年を地面に寝かせた。

「っと、これであと一人」

「何を勝った気になっている!!お、お前はここで俺にやられるんだよ!そしてあの子は俺のものになるんだ!!」

「惨めだな……」

「蔑むな!……俺は強いんだ!!あいつらの様なゴミとは違う……」

「そっか。じゃあさ」

「な、なんだ」


「俺がお前を倒したら全部俺の言う通りにしろよ?」




治った!!直った!

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