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プロローグ

初めて中世的な世界のファンタジー物を書いてみました。いろいろと設定なども決めていますので、説明口調なところが多くなってしまうかもしれません。読みにくいと思われたなら、考えますのでご意見をください。皆さんに私の考えた可愛い顔立ちだが、それに自覚なしの新米末端王女様が太平な世界を目指して戦をしながら大陸を統一する物語を楽しんでいただきたいです。楽しめない方は作者の筆力不足です。すみません。

 叫び声がする。

 さっきからずっと叫んでいる。

 本当にうるさい。


 誰だろう。

 ずっと叫んでる。

 ううん、叫んでるというよりは、喚いていると言ったほうが正しいかもしれない。

 私は思った。

 あんなに喚いても何にもならないのに。

 もう彼は戻ってこない。


 私はようやく意識がはっきりしてきつつある。

 泣く声も微かに聞こえてきている。

 私は考える。

 何か悲しいことでもあったのかな?

 喚く声はさっきよりもはっきりとしてきて、私はだんだんと目が覚めてきたのだろう、周りが光で 満ちていることにようやく気が付いた。

 私を巡る周りが、暗闇で満ちていた時は喚き声は細々としていて、うるさく思うこともなかった。

 私は、ようやく闇から光の場所に浮かび上がろうとしていた。

 それと同時に、私は固く固く抱きしめられている。

 「・・・リ・、泣かないで、わた・・・ばに・・・ら、・から・・な・・いでね・・・」

 耳元でよく聞いていた声が私に語り掛けているが、私はわかっていない。

 「お・・・さ・、お気・・・かに、もう・るい・・はいません・ら、わたしたち・・・しまし・」

 幼さの残る少年の声が聞こえてくる。


 私は目を開けようとしたが、目を開けることはなかった、というよりずっと目を見開いていた。

 そして喚いていた声が、私が出していたことにようやく気が付いた。

 喚き声が、止んだ。


 「エミュリア!」

 抱きしめていた手が、離れる。青い色の目が私の目をのぞき込んできた。

 「ようやく我に返ったのね!」

 青い目から止めどなく涙が流れて落ちていた。

 わたしはそこまで見届けた後、急に目に痛みを感じて目を閉じる。

 「・・・目が・・・痛い・・・」

 私の声が、がさついてひび割れて響いた。

 「・・・変な声・・・」

 聞こえないくらい小さな声で言ったつもりだったのに、すぐに言われる。

 「エミュリア!あなたは反省しなければなりませんよ!私も、お父様も、みんなも心配させて!淑女訓練を嫌というくらいしてあげますからね!」

 母の声が、耳に響いた。

 厳しいことを言われたが、それと同時に母の声がものすごく安堵したという調子に溢れていることに気が付いた。

 ひくっとのどが鳴った。

 母が力いっぱい抱きしめてきた。母の顔を載せている肩が濡れている。うっうっと母の肩がしゃくり上げるように動いていた。

 「・・・淑女訓練・・・なんて・・・嫌だ・・・」

 そう呟いて目を開ける。

 心配した顔が私と母を囲んでいた。私の幼馴染も私を心配そうに見つめている。

 「お嬢、ようやく自分を取り戻したか!」

 「お嬢様!よかった!」

 「心配しました、お嬢様!」

 「よかった、よかったよお、お嬢様・・・、うっ、うっ、うっ・・・」

 「・・・一時はどうなるかと思ったよ、お嬢様」

 口々に声をかけてくる幼馴染たち。でもなんだか足りないような・・・どうしてなんだろう・・・。私は片隅に黒いような白いような影があるような気がして、それを見るともなしに見つめた。

 多分実際には声は響いていなかったのだろう、しかし話しかけられたと私は思った。

 『ようやく、意識が戻ったんだね、あのままじゃ俺が助けた意味がなくなるところだったよ、姫、あの時の俺とあなたの誓いのように、もっと民を幸せにしてくれよ、俺の命を懸けた願いをかなえてくれ、頼んだよ・・・姫・・・俺のいとしいひと・・・助かって、・・・よかった・・・』

 私の耳に聞こえた声は他の誰にも聞こえていないようだった。

 六人の影が私を囲んでいる情景が蘇った。その影は今私を囲んでいる幼馴染の姿をしている。みんな笑っている。

 だけど、一人だけ、顔がよく見えない、微笑む口元だけが見える。

 「・・・よく見えない・・・顔を・・・見せて・・・どうして一人だけ・・・影になってるの?笑っているのになぜ・・・?」

 周りが息をのむのがふと分かった。

 「エミュリア・・・」

 母の腕に力がこもる。

 「ねえ、どうして顔を見せてくれないの・・・?」

 私の声がむなしく響く。私の周りは何も言わない。

 「もっと顔を見せて・・・」

 そう言いながら、私は手を伸ばした。影のようなものに覆われて微笑む口元だけの者に、精一杯手を伸ばす。

 「もっと近くに来てよ・・・ねえ・・・」

 伸ばした手を、誰かがとった。

 赤味がかった金色の髪に緑色の目、優しげな雰囲気なのにいつも顰められている眉。

 「あなた・・・」

 母が父を見上げるのが分かった。

 「エミュリア、お前が呼んでいるのは誰なんだい?お前が伸ばす手の先には誰もいないよ」

 私は力なく手を下す。

 「お父様・・・」

 「しかし、ようやく意識を取り戻したか。三日眠り続けたと思ったら、目を開けてからずっと泣き喚いて二日。相当混乱したんだということはわかる。わかるがな、エミュリア、お前は誘拐されたわけではない。誘拐されかけただけだ。そして誘拐しようとした者はお前が倒した。もうお前を誘拐しようとするものはいない。安心しなさい」

 「・・・はい・・・」

 父の言葉は私にとっては絶対に近い。ざわつき始めた私の心は父の言葉で収まり始めていく。

 疲れていたのだろうと思う。私は父の言葉で、落ち着きを取り戻し、それと同時に眠気が襲ってきたことが分かり、母の腕に体を預け、目を閉じた。

 目を閉じたとき、あの顔が見えない影が私に微笑みかけたような気がした・・・。


王女様は本当は案外能天気です。幼馴染はお嬢様と呼んでいた時代から王女様至上主義者の集まりです。王女様が害されると怒り心頭です。王女様愛されてるなあ。

投稿間隔としては長くなっても14日以内にはしようと思います。

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