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翼の証明Ⅱ ~黄昏の星~  作者: ニンジン
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■第9話:アカデメシアの正体 ~ evil heresies ~

ダンテの家に医者が着いた頃には、既にダンテは息をひきとっていた。

アポロとリヨンは路地帯の者達に白装束達がダンテの家を襲ったことを説明し、ダンテの遺体を任せると、家から少し離れた場所で黙りこんでいた。

リヨン 「アポロ・・・。」 リヨンがたまらず声を出した。

アポロ 「ダンテのおっさんは、『奴らの目的は漆黒の爪だ』と言っていた。」

リヨン 「うん。」

アポロ 「どうやらなんとな<奴らの目的がわかってきたぜ。鍵は『黒き特質』だ。おっさんは死ぬ前に、娘の爪は濃い灰色だと言っていたんだ。」

リヨン 「黒き特質って、僕の村でいうと漆黒の翼・・・?あ、もしかして!」 リヨンは何かを思いついたかのように叫んだ。

リヨンはアポロの言葉を聞いて、ある1つの考えに至ったのだ。

アポロ 「どうした?」

リヨン 「ミトラの翼も僕やトマス兄さんのように灰色だ。奴らの狙いはミトラの翼なのかもしれない。」

アポロ 「さらわれた双子の妹ってのも翼が灰色のなのか?そいつは可能性が高いな。」

リヨン 「きっと、3人同時に襲うのは無理だっただけで、本当はトマス兄さんも僕も狙われていたんだ。やっぱりアカデメシアの塔の中に、ミトラとルクセン兄さんが捕まっているかもしれない。いや、そうとしか思えないよ。」

アポロ 「そうだな。リヨン、2人がさらわれてからどれくらいになる?」

リヨン 「もう丸1日以上は経っているよ。」

アポロ 「おそらく、長時間ただ閉じ込めておくだけってことはないだろう。やっぱりすぐに助けに行くべきだな。」

リヨン 「やっぱり塔の中だよね。そういえば、トマスに兄さんはうまく潜入できたかな。」

アポロ 「わからんが、それはそれで期待しようじゃねえか。」

リヨン 「でも僕らはいったいどうしたらいいのかな・・・。」

アポロ 「正面から塔に乗り込むにはもう少し仲間がいるな。」

リヨン 「僕らだけでは無理かな?」

アポロ 「塔の内部に研究員が何人いるかわからんし、それは危険だ。」

リヨン 「そっか・・・。」

アポロ 「だがよ、ダンテのおっさんは最期に大きな仕事をしてくれたみたいだぜ。」

リヨン 「え?」

アポロはマントの中からアポロの持っていた銃とは別の銃を取り出した。ダンテの家に転がっていた銃を拾っていたのだ。銃身には黒い尾が描かれている。

アポロ 「コイツは俺の従兄のカーンの銃だ。俺達は銃身に好きな絵を描いたりするんだが、カーンは珍しく黒い尾の絵を描いていたんだ。昔、黒い尾をもっていた団長に憧れて描いたんだって聞いたよ・・・。」

リヨン 「黒い尾・・・。アモリスにも黒き特質がいたんだね。」

アポロ 「・・・まあな。俺はアモリスの仲間を呼んでくる。ブレメンのアカデメシアがこの銃を持っていたことを伝えれば、『カーンを殺したのはアカデメシアの奴らだ』という俺の話を少しは信じてブレメンに確かめに来るだろう。それから皆で塔に乗り込んでしまえばなんとかなる。」

リヨン 「今から南アッシュランドまで戻るの?」

アポロ 「なぁに、俺の足なら半日もあれば砂漠まで行って戻ってこられるさ。リヨン、お前はトマスを探して今までに起きたことを伝えるんだ。俺達がかけつけるまで早まったマネはするんじゃねえぞ。」

リヨン 「うん。それじゃ僕はトマス兄さんを探しながら、塔の周りをこっそり飛んで、忍び込める隙間がないか調べておくよ。」

アポロ 「さすがウィング族だ。助かるぜ。できれば正面から乗り込みたくないからな。ただ、今はあまり無理せずトマスと合流するんだ。トマスが塔の中に入れていたら、中の様子も聞けるだろう。」

リヨン 「わかった。」

アポロ 「・・・おい、リヨン。」

リヨン 「うん?」

アポロ 「奴らは間違いなく危険だってことがわかった。身を守る武器として、お前を信じてこれを渡しておく。いいか、いざって時に使うんだぞ。」

アポロはマントの中から『布で丸く包まれたもの』を取り出してリヨンに渡し、詳しい使い方を説明した。

アポロ 「説明はそんなところだ。とにかく、いざって時だぞ。・・・それじゃうまくやれよ。」

リヨン 「うん、アポロも気をつけて!」 リヨンはアポロに別れを告げ、トマスとの合流と塔の偵察を目的に、翼を広げて飛び立った。

アポロ 「さてと・・・。よし、捕まったウィング族もカモイ族もまとめて助けるぜ。そんでもってカーン達のカタキもとってやる! 」

アポロは一目散にブレメンを出ていった。手には黒い尾が描かれているカーンの銃を握りしめている。

アポロ (ゴン、ガオン族と争っている場合じゃないぞ。ウル、やっぱり勘は当たっているよ。黒幕はアカデメシアのようだ・・・。)


ダンテの家が襲われる少し前-。アカデメシア本部の塔の中では、ジルとトマスが案内係の研究員にドーリア栽培について説明を受けていた。

研究員 「・・・というわけだ。君達、わかったかい?」

ジル 「ええ、よくわかったわ。」 ジルは深く頷いた。

トマス 「ああ、よくわかったよ。とても素晴らしいね。是非私の村にも取り入れたいものだよ。」 トマスも感心して案内係の話を聞いていた。

トマスは背中の大きな灰色の翼をできるだけ小さくたたみ、案内係からは見えないようにマントの中に隠している。

研究員 「そうかい。それじゃあ、確か君はギタンと言ったかね?これに名前を書いてくれ。書いたら出口はこっちだ。明日、昼過ぎに塔の入り口に来てくれよ。君の体の大きさに合った仮の白装束を用意しておくから。」

ギタンと呼ばれたトマスは説明を聞きながら書類を見ると一瞬顔をしかめたが、やがてスラスラと名前を書きはじめた。偽名を使っているのはハイディ村からミトラ達を探しに来ている兄弟の名前がアカデメシアに伝わっている可能性があったからだ。名前を書き終えると、トマスは次のように質問した。

トマス 「ところで、最近ドーリアの種を盗もうとした奴らがいたと聞いたんだが、そいつらは今どこにいるんだ?」 

研究員 「あん?そいつを聞いてどうするんだよ。」 研究員が怪訝な顔をしてトマスに聞き返した。

トマス 「いや、どこかに閉じ込めておくなり、罰を与えないと、また盗みに来てしまうだろう?貴重なドーリアの種だから簡単に諦めないだろうしな。」

研究員 「まぁな。閉じ込めたよ。だが、どこに閉じ込めたのかなんてのは言えないな。この塔の警備係にでもなったら教えてやるがね。でもそんなことを聞くなんて、お前さんもしかして・・・?」 

トマス (う、まずったか!?) トマスは冷や汗をかいた。

研究員 「まさか閉じ込めた人間を観察して人間研究でもしたいってのか?それじゃまるで昔のネクロマンシーじゃないか。希望するなら同じようなことをやっている派閥があるから推薦するぜ?ヒヒヒ。」

トマス 「い、いや遠慮しておくよ。俺はドーリア研究に興味があってわざわざブレメンまで来たんだ。」 トマスは見当違いのことを言われてほっとすると、これ以上怪しまれないように、そう言い残してさっさと出口に向かって行った。

1人残されたジルは書類を見て案内係に質問した。

ジル 「ねえ、これ何て書いてあるの?私、字が読めないのよ。」

研究員 「まぁ、簡単に言うと、アカデメシア加入希望者の事前手続さ。記名したら明日また来てくれよな。仮の白装束を渡すから。それを着てこのブレメン自由都市の中でアカデメシアの勧誘係をやってもらう。」

ジル 「勧誘係ですって?」

研究員 「明日また詳しい話をするが、君にこの黄色い札を渡す。誰でもいいから見学に連れてくるんだ。ノルマは3人だ。黄色い札を持った人間が3人見学に来たら、君にこのドーリアの種を渡すし、正式に加入を認めて塔の中に自由に出入りできるようにするよ。そうだ、気をつけてくれ、連れてくる者には見学は夜にならないとできないことと、私物や武器を持ち込めないことをしっかり伝えてくれよ。」

ジル (なるほど、こうやって仲間を集めているのね。確かに熱心に人を集めるくらいなら、どうしても加入したい意志の証明になるわ。冷やかしはお断りってことね。よく考えられているわ。)

ジルは演説広場の近くで声をかけてきた人間こそが加入希望者だったことがようやくわかった。

研究員 「さぁ早く名前を書いて。」

ジル 「でも私はまだ加入すると決めてないわ。」

研究員 「何だって?」

ジル 「加入しないって言ってるのよ。」

研究員 「・・・そりゃ困るなぁ。ここまで詳細を教えたのに、ただ帰るだなんて。」

ジル 「何でよ。入るか入らないかは私の自由でしょ?」

研究員 「いやいや、ここまで内部情報を知ったのに入らないなんてダメさ。加入希望者をなかなか集められないならともかく、お前にこのままブレメンから逃げられても困るしね。そういう自分勝手な考えの者には牢に入って反省してもらわなきゃ。」

ジル 「牢ですって?さっきから何を言っているの?なんで私が牢に入らなきゃいけないのよ!」 ジルは明らかに不快な態度をとっていた。

だが-。次の瞬間、ジルの視界はグニャリと揺らいでいった。

ジル 「な・・・、これは・・?」

研究員 「ヒヒヒ・・・。これは『魔の胞子』をブレンドした香水さ。嗅いだら最後、体に力が入らなくなるんだ。」

ジル 「うう・・・。」 ジルは抵抗できずに倒れこんで意識を失ってしまった。

研究員 「おや、効き目が強すぎたかな?まあいいか。ガオン族の灰色の牙、深度は『2』程度のようだが、怪力で有名なガオン族自体は貴重なはずだ。アルキス様に良い土産になるだろう。それにしてもデカイ体だ。これじゃ地下牢に運ぶのが大変だな。誰かに手伝ってもらうか。おーい、皆来てくれ!」

案内係は仲間を呼び、ジルの体を皆でズルズルと引きずりながら牢屋のある地下階まで移動してきた。

ガチャリ。ズズズ・・・。地下牢への扉が開かれ、研究員達は中へ入っていった。

研究員達 「ふうむ。うまく捕まえたもんだな。」「先に捕まえた者達は大人しくしているか?」「暴れたらまた気絶させてやるさ。」

牢屋の鍵が開けられると、気絶したジルはその中へ放り込まれた。

ミトラ 「ひっ、ガオン族!?な、何よ、アンタ達!」

そこはミトラとルクセン達のいる地下牢であった。声をあげたのはミトラで、ルクセンは数時間前から気を失ったままである。

研究員達 「やれやれ、ひどく重かったな。」「お前達、種族が違うからってケンカはするなよ?無駄に体力を使うもんじゃない。」「もっとも、そっちの男はあまり長くはもたないかもな。」「ハハハハ。」 

ミトラ 「・・・。」 ミトラは研究員達を睨みつけたが、気を失っているルクセンが心配なこともあり、暴言を吐いたり、飛びかかったりすることはやめておいた。

研究員達 「とにかく、大人しくしているんだな。」「面倒を起こすんじゃないぞ。」 研究員達はそう言い残して牢に鍵をかけて出ていった。

それからしばらくして-。

ジル 「うう・・・。ここは・・・?」 ジルは目を覚ましたが、まだ少し頭がフラフラするようで、すぐには起き上がることができなかった。

ミトラ 「だ、大丈夫ですか?」 ミトラは自分よりも体の大きなガオン族の女性に向かって、恐る恐る声をかけた。

ジル 「ええと、アンタ達は?」 ジルはミトラと横たわっているルクセンを見て聞き返した。

ミトラ 「私達も白装束にさらわれてしまって、気がついたらここに・・・。私達が閉じ込められてからかなりの時間が経ったと思います。」

ジル 「さらわれただって?な、ここは牢屋?うそ!?」

ミトラ 「どうやら白装束、つまりアカデメシアですが、とんでもない集団のようなんです。」

ジル 「そうか・・・。私はアカデメシアに・・・。」

ミトラ 「私はミトラ。旦那のルクセンは病気でさっきから意識がなくて・・・。ここから一刻も早く出たいんです。ここがどこだかわかりますか?」

ジル 「私はミロス村のジルよ。ここは自由都市ブレメン、アカデメシア本部の塔の中よ。私は訳あって加入希望者のフリをして見学という形で塔に入ったんだけど・・・。でも、まんまと捕まってしまったようだわ。くそぅ・・・。あんな奴、今度会ったらギッタギタにしてやるわ!」

ミトラ 「ここは自由都市ブレメンなのね。私達は北のハイディ村に住んでいたのだけど、さらわれるなんて全く身に覚えが無くて。本当に冗談じゃないわ。」

ミトラは力なく肩を落としたのだった。

ガチャリ。ドスン!

声 「きゃあ!」

別の声 「大人しくしていろっ!」

バタン!真っ暗な地下牢の中、大きな物音ともに再び誰かが牢に放り込まれてきたようだ。

声 「シクシク・・・。パパ、どうか無事でいて・・・。」 牢に放り込まれた人物は、すすり泣きながら呟いたのだった。

ジル・ミトラ 「誰なの?」「誰?」 ジルとミトラは新たに牢に放り込まれた者の正体をつきとめようとした。

声 「他にも誰か捕まっているの?暗くてよく見えないわ。」 泣き声の主は泣くのを我慢すると、聞こえてきた声に向かって聞き返した。

泣き声の主は次第に目が慣れてきて、相手が複数人いることに気がついた。ジル達の方も、相手が自分達よりも小柄なことがわかった。

ジル 「私はガオン族のジル。あと、ウィング族も2人いるわ。」

声 「・・・私は路地帯のカモイ族のレイアよ。」

声の主はレイアであった。レイアはジル達に敵意がないことに安心すると、足を引きずって近づいた。ジルと比べるとレイアはとても小さく見えた。

ミトラ 「あなた、足が悪いのね?あなたもさらわれたの?」 今度はミトラが尋ねた。

レイア 「ええ・・・。もしかしてあなたたちも?」

ジル 「私は塔の見学をしていて、加入を断ろうとしただけでここに放りこまれてさ。」

ミトラ 「私達は村で静かに暮らしていただけなのに、いきなりさらわれてここに。旦那のルクセンも一緒だけど、ずっと意識がないの。」

それを聞いたレイアは何かに気がついたかのように、次のように言った。

レイア 「暗くてよく見えないけれど、ひょっとしてウィング族の方の翼と、ガオン族の方の牙は、黒色か、それに近い灰色でなくて? 」

ジル 「え?なんでよく見てもいないのにわかるの?」 ジルは驚いて口をおさえた。

ジルは普段は、自分の珍しい色の牙をあまり見せないように口の中に牙を隠している。

ミトラ 「旦那のルクセンは違うけど、私の翼は灰色だわ。」 ミトラも答える。

レイア 「やっぱり・・・。」 レイアは予想が当たっていたことがわかると、次のように続けた。

レイア 「アカデメシアは、昔から人間研究をしていたの。」

ジル 「ドーリア研究じゃなくて?」 今度はジルが聞き返す。

レイア 「それはドルトリアンよ。表向きの研究派閥ね。」

ジル 「表向き?」

レイア 「これは、パパに聞いた話なんだけど、昔、いいえ昔と言っても十数年前よ。このガイアに『黒き特質』をもった人達がいたわ。私の母も漆黒の爪をもっていたの。私はその血を受け継いだのだと思うけど、濃い灰色の爪をもっているわ。」

ジル 「黒き特質ですって?」 ジルは聞いたことがあるようなないような言葉に、不思議な感覚を覚え、レイアに向かって聞き返した。

レイア 「ええ。黒き特質をもった人間は、誰よりも体力があって健康でいられたのだけれど、十数年前まで地上にあった毒光ゾークと反応して、周囲の人の健康を害することがあったとも言われていたの。普段がは気がつかないぐらい少しずつらしいのだけど・・・。」

ジル 「え・・・?そんな話聞いたことがないわ。」

レイア 「アカデメシアは、この黒き特質に、いつまでも健康でいられる秘密があると思って昔から研究をしていたのよ。あるときには人さらいまでしてね。」

ジル 「それじゃあ、アカデメシアが私達をさらったのは、ひょっとすると私達が黒き特質の力を受け継いでいるんじゃないかと疑っているわけね。それで人間研究の材料にしようってのか!」 ジルはレイアの話を聞くうちに少しずつ納得したのだった。

レイア 「もう毒光ゾークの存在も無くなって、人間研究を続ける意味なんて無くなったと思ったのに・・・。」

ミトラ 「さっきから言っている毒光ゾークって、ひどく嫌な響きね・・・。」 ミトラはこの言葉に何か不吉なものを感じたようで、少し身震いした。

ジルも同じように落ち着かないようで、牢の中をうろうろと歩き出した。

話が終わると、ミトラとジルは自分達の身にこれから何が起こるか想像もできないような状況に、少なからず怖くなってしまっていた。

レイア (パパ、無事でいて・・・。) ダンテが既にこの世にいないことを知らないレイアは、ただ父の無事だけを願っていた。

その時-。ドサドサドサ!

ジル・ミトラ・レイア 「な、何よ!?」「何!?」「何の音?」

牢屋の外の階段から研究員が後ろ向きに倒れこんできた。そして研究員の頭を飛び越えて、ふわりと何者かがミトラ達の牢の前に降り立った。

トマス 「ミトラ、無事か!」

ミトラ 「ト、トマス兄さん!」 

それはトマスであった。ジルとともに塔の中を見学していたトマスは、さっさと塔から出ていったフリをして、見張りが少なくなるタイミングを計っていたのだ。

トマス 「やっぱりここにいたか!今開けるぞ!」 トマスはそう言うと、倒れている研究員の懐から鍵を取り出して牢屋を開けた。

ミトラ 「助かったわ!ねえ、ルクセンが気を失っているの。担げるかしら。」

ジル 「力仕事なら私に任せな!担いでってやるわ。」 ジルがひょいとルクセンを担ぎあげた。

体の軽いウィング族とはいえ、ルクセンを簡単に持ち上げたジルを見てトマスは少しびっくりした。

トマス 「アンタはさっきのガオン族だね。」

ジル 「そうさ、ジルってんだ。そっちもただの見学者じゃなかったわけね。」

トマス 「まあな。俺はトマスだ。アンタが出てこないから、ひょっとして捕まって牢に連れていかれたんじゃないかと思ってね。引き返してきたら案の定だ。」

ジル 「面目ないわ。」

トマス 「おかけで牢の場所がわかったよ。地下に牢屋があったんだな。」

ミトラ 「ねぇ、トマス兄さん、カモイ族の子も一緒に捕まっているのだけど、足が悪いみたいなのよ。一緒に連れて行ってあげて?」

トマス 「よし。俺に任せろ。」 トマスはレイアを抱きかかえた。

レイア 「す、すみません。」

ミトラ 「さあ皆、外へ逃げるわよ!」 ミトラは俄然元気を取り戻して声をあげた。

低い声 「お前達、そこまでだ。」

ミトラだけが聞いたことのある低い声がしたのだった。

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