異世界転移?
「それでは最後に、自己PRをしてください」
「えっと…」
何度もされた質問、でも俺は答えることができない。
まるで、糸で口を縫い付けられているような感覚だ。
――――――――――
「あーダメだ、また落ちた」
俺は高校を卒業してすぐに、公務員になる予定だった。
しかし、第一次の筆記試験は、難なく合格できるのだが、第二次の面接試験で毎回失敗する。
そうして20歳になった今でも、公務員になれないでいる。
「やっぱ諦めた方がいいかな~」
もともと、どうしてもなりたい訳じゃない。
安定した給料、しっかりとした休み。
このような条件だからなりたいというだけだ。
「ああ!!もう寝る!!」
そして、ヤケになりベッドに飛び込む。
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「んあ…」
目を開けると、そこには綺麗な青空が広がっていた。
そして右、左と首を傾けると、木が大量に生えている。
最後に、今自分が横になっている地面を確認する。
どう考えても、ベッドの感触ではない。
「そうか…俺は今、土の上で寝ているのか…」
土の上で寝ると、静電気を放電できて健康になれるって聞いたことがあるし、案外いいかもな。
「って、バカタレかーー!!」
と、ベタな一人ノリツッコミを終えたところで、今の状況を確認する。
俺は昨日、確かに家のベッドで眠ったはずだ。
それなのに、今俺は森?の中にいる。
「おいおい、何の冗談だこりゃ…」
とてつもなく困惑していたが、このままここに居てもどうにもならないので、危険を承知で森の中を歩いてみることにした。