表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

はしがき


 林の奥に、一軒の家があった。赤いレンガの二階建て、古めかしい洋館という風情(ふぜい)。そこには映画のセットのような、どこか生気の感じられない()()()()のような雰囲気もあったけれど、それ以上に気味が悪いほどの立体感も感じられる、不可思議な建造物だった。

 この家を間近に見ようとして一歩足を踏み出せば、地面を蜥蜴(とかげ)()っていき、顔には蜘蛛(くも)の糸がかかる。木の根には、作り物のような色をした()()()()()(きのこ)が生えていた。


 この家の住人は、十二、三の少女ただひとりだった。少女の両親は、半年前に出ていった。残された、年老いた乳母は、二日前に死んだ。少女は何日も部屋へ閉じこもっていて、そのあいだ、ドロップと水以外のものを口にしていない。乳母の死んだのを見つけたら、さすがにびっくりするだろう。



 これから物語るのは、この家に住まう少女のお話だ。どこの話なのか、いつの話なのか……起こったことか、これから起こることか……、私は知らない。なぜ私が、この林のこと、家のこと、そして少女のことを知っているのか……それすらもわからない、そんなお話だ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ