表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

森の仲間たち

僕の観察メモ

作者: 着津

覗いてくださりありがとうございます。

当作は、動物の日常が主軸となっております。

「くまああああああああああ!」

「うるさい...」


今日もハクビシンはくまに突っかかっている。毎日毎日飽きないね。


今日は、くまがハクビシンの頭を抑えて、腕を伸ばすだけ。ハクビシンは腕と足が(身長も)短いから、くまには拳も蹴りも届いていない。もうちょっと考えて挑めばいいのに。


くまもくまで、律儀に毎回相手をしなくていいのに。ハシビロコウみたいに笑って流す、とまで行かなくても、避けちゃえばハクビシンはしばらく大人しくなるんだから。(勢い余ってなにかにぶつかったり、転んだりして。)


くまはひとしきりハクビシンを抑えたあと、その首根っこを持ち上げた。ハクビシンはぴたりと動きを止めた。悔しげに表情を歪める。


「ちきしょー、おぼえてろ~!また明日も来るかんな~!!」

「わかった」


ハクビシンは器用にくまの手から抜け出して、軽々と走っていく。正直、背後から狙えば多少のチャンスはあるんじゃないかな。


くまは律儀に返事をするし。ほんと、面倒見がいいね~。僕には無理だな。


くまはしばらく動かないだろうし、ハクビシンを追いかけるとしよう。


「う~~...!」


唸りながら走るって器用だね。でも、目をつぶって走っていると...。


ほらね。怖いひとにぶつかっちゃったよ。


「ふぎゅっ!」

「おや、ハクビシン」

「ふげっ、ハシビロコウ...!」

「心外ですね。そんなに怯えなくとも...」


普段はにこにこで動じないハシビロコウは、一度だけ盛大に切れたことがある。ハクビシンがリスを巻き込んで、危険なことをした時だ。


えーっと、なんだっけ。そうそう、隣の森のヌシにちょっかいをかけたんだっけ。あの時はちょっとした戦争みたいだったよ。


「ごめ、ごめんなさ~い!」

「おやおや」


ハクビシンは自業自得とはいえ、こってり恐怖面のハシビロコウに絞られたから、すっかり怯えてしまっている。ハシビロコウもわかっているから、あまり近づかないみたいだけど、自分からぶつかってちゃ世話ないよね。ハシビロコウはめったに動かないんだから、自分から近づかなきゃ、会うことなんてほとんどないのに。


タスマニアンデビルなんかは、いたずらする時以外、ハシビロコウには近づかない。ちょっとは見習ってもいいんじゃないかな。


という訳で、またハクビシンを追いかけるとしよう。


「リス、りすりすりす~!」

「...、もぐもぐ、ごくん。なぁに?」


ハクビシンは木の根元で、木の実を頬張るリスにぶつかる寸前で足を止めた。そのまま、リスに抱きつく勢いだ。リスは落ちていた木の実を拾おうとしてしゃがんだから、結果的に避けていたけど。


それをリスの近くにいたタスマニアンデビルが大笑いして、馬鹿にしていた。見た目は可愛いのに、かなり凶暴なタスマニアンデビルは、普段はかなり意地悪になる。本能を抑えると反動でそうなるみたいだね。


「くまがぁ...、ハシビロコウがぁ...」

「ふん、ふん...。もぐもぐ」

「ハクビシンってば、グズだねえ」

「タスマニアンデビルがぁあああ!」

「ふん...、ごくん」

「ぷぷぷっ」


リスはハクビシンの愚痴を、食べながら真面目に聞いている。毎日聞いているのに、飽きないのかな。あ、それとも、リスって忘れっぽいらしいから、毎日忘れてるのかな。


そのうしろで、タスマニアンデビルがにやにやと笑っている。ハクビシンたちにしか聞こえないようにぼそぼそ言ってるけど、僕にははっきり聞こえちゃうんだよね、詰めが甘いな。


僕は一息ついて、地面に腰を下ろしたメモを地面に置いた。みんなの観察でもしようかと思ったけど、あんまり変わりないな。ちょっとだけつまらないや。


「うさぎ」

「おはようございます。うさぎさん」


くまとハシビロコウに声をかけられる。くまはともかく、ハシビロコウは意外だな。今日も水辺で微動だにしないのかと思っていたのに。


「おはよう、ふたりとも」


くまとハシビロコウは、僕の近くに腰を下ろした。ちびちゃん(ハクビシンとリスのこと。僕は年長だよ。)たちをみて、微笑ましそうにしている。


今日も森は平和だね。


最後まで読んで下さり、ありがとうございます。


以下設定をば↓


主人公 うさぎ

気分屋で毒舌家なやつ(あれなんか猫みたいだね)。

あくまでうさぎ。

くまとハシビロコウとは年長仲間として仲がいい。


ハクビシン

愛すべきやんちゃなおバカ。

ハシビロコウのいうことはよく聞く。(怖いから)

リスとは年少組として仲がいいが、タスマニアンデビルとは年少組としても喧嘩をする。

戦歴は負け越しが多い。

強いやつには勝ちたい。うさぎは(種族的に)論外。


くま

おっとりしている力自慢。

隣の森との戦争では大活躍。以来、ハクビシンにさらに絡まれるようになった。

ハシビロコウとは戦い関係で仲がいい。

うさぎとはちょっと距離を置いている。

年長者として、年少組の面倒を見るのは当然と思っている。


ハシビロコウ

滅多に動かない水辺のハンター。

いざと言う時には俊敏です。

怒ると怖い(顔が)。

年長者として、年少組を正しく導くべきと思っている。

タスマニアンデビルをどうにかしたいが、1回も尻尾を掴めていない。


リス(2018.4.23追記)

あとがきで作者に忘れられていたかわいそうなやつ。

かわいい見た目で素直で暴食キャラ。

年長組のほとんどにかわいがられている。

ハクビシンとは仲が良く、タスマニアンデビルにはいたずらされても気づかない関係性。


タスマニアンデビル

作者に忘れかけられていた不憫なキャラ。

その結果かなり底意地の悪い奴になった。

年少組の中では年長で年長としては年少。

戦争になったら暴れる気満々。

小柄だけどめちゃつよい。噛み付いたら離れないぜ。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ハシビロコウって顔が怖いですよね。観察すると、結構おっとりしている印象ですが。 成程、観察者はウサギでしたか。 ほのぼの癒される感じで、面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ