プロローグ 謎の神社と和服女
はじめまして!
小説を投稿するのは初めてで脱字なんかがあれば教えていただければ幸いです。
2286年 7月7日
あまり面白くもないニュースというか経済バラエティーを見て、現代社会や科学の勉強をしていたが、夜中だが、ふとに腹が空いたので、久しぶりに外に出てコンビニと呼ばれる小さなスーパーに行くことにした。
外に出るのが久しぶりというのは、別に俺がニート暮らしをしているからという理由ではない。それは単に俺が交通事故にあったらしくて入院していたからである。事故にあって救急車で病院に運ばれ手術によって一命をとりとめたらしいが、どうも記憶がはっきりしない。医者には一時的な記憶の障害とは言われたが、事故から1週間たった今でも何も思い出すことはなかった。
俺の家族らしい人は、俺が記憶喪失だということが分かると何やらコソコソ会話をした後、そそくさと帰ってしまった。白状な家族である。それ以降家族との直接の接触はなく、買い出しに行ってくれる人もいないので、自分でやるしかなかったのである。
確か病院の中のコンビニはもう閉まっているはずなので外に出なくてはならなかった。病院を出てから徒歩10分ほどにあるコンビニに行き、「いっしゃっせー」といかにも適当な挨拶を無視し、俺の好物であると思われる菓子パンを無造作にカゴに放り込む。それをコンビニ店員に渡し、会計を済ませ外に出る。また病院に帰ろうと歩き始めて、ふと違和感を感じた。来た道を引き返しただけのはずが、なぜか見覚えもない神社が目の前にあったからだ。おかしいと思いコンビニに引き返し始めたが、どれだけ歩いてもコンビニに辿り着く気がしない。
俺はあの神社に招かれているのではないか?そう思い、神社に入るのは気が進まないが、観念して神社に一向に何も進展しないのであの神社に入る決意を決め、あの神社の戻ろうと、歩き始めると不思議とまた目の前に神社が現れたのである。
「10分歩いたはずなんだけどなぁ……」思わずそんな独り言が口から出たが、とりあえず楼門をくぐり神社に入ると、気温が2度ほど下がったような感覚、そして現代社会では忘れられた神聖な空間ゆえなのか急に身震いし全身の毛穴が逆立ったような感覚であった。一番驚いたのがいつのまにか背後に何かがいるという気配に襲われた。そう感じた瞬間、吐き気がし、今日食べた病院食を全て戻しそうになるがなんとか堪える。まるで胃を鷲掴みにされているような……そんな感覚だった。
慣れない空気を味わいながら謎の神社を探索したが、人の気配を全く感じないところと神聖な雰囲気以外は特におかしな点はない神社だった。そしていかにもな社にたどり着くと、先程感じた気配が一層強くなるのを感じ、思わず引き返したくなるのを抑え、前に進み、社の戸を開けると、背後から「やっと気づいてくれたか……随分待ちくたびれたぞ」と急に若い女の声が聞こえてきたので、背後を振り返ったが、誰もいない。気のせいなのかと、再び前をみると、目の前に和服姿の女が現れた。
俺は思わず「うわっ! 」と叫び後ろに下がると女は、
「すまんすまん、そこまで驚かせるつもりはなかったんじゃがな……」
驚かす気はあったのね…とおもいながらも、
女を観察する。黒髪ロングで背丈は150cmほどで顔はもっと幼い。幼い顔つきの癖に泣きぼくろが妙に色っぽい。正直にいうと可愛い部類であろうとは思う。先程の叫び声を払拭する意味と、舐められない意味も込めて
「あんたが俺をここまで招いたのか?」
と問いかけると、
「その通りじゃ、まさかこの現代にわしの社まで辿り着くことができるやつがおるとはのう。らっきーじゃったわい」
現代?何言ってんのこいつ頭おかしいんじゃないの?と思い無言で女を見つめると、
「お主もしかしてわしに惚れたか?気持ちは嬉しいが、今は少し間が悪くての、すまんがまた後日……」と続けて言いかけたところで、
「違うわ!」と思わず言い返す。女は「照れなくてもええぞ」とニヤニヤ笑っている。これ以上この変な女のペースに飲まれるわけにはいかない。
「それで俺に何の用があるんだよ」
「うむ、結論から言うと助けてくれんの?」
「助ける?何を助けるんだよ?」
「この世界をじゃ」
また変なこと言ってるよ……もう帰りたくなったが、おそらくこの女が先程の気配の正体なので帰るわけにもいかないことも分かっている。
「どういうことだよ」
「人間社会はこの数百年で急速に発展してきた。科学の力でな。科学で人間たちが今まで怪奇現象とよんでいた未知の現象が解明されるようになり、人々は神や妖をあまり信じることはなくなったのじゃ。」
「信じられなくなったらどうなるんだよ」
「消えるんじゃよ」
先程と同じようにおかしななことは言ってはいるが、話せば話すほどこの女が嘘をついているようには見えなかった。
特に消えるといった時の悲しそうな顔が俺の頭の中にこびりついた。
「昔から信じることこそ、大きな力になると
よくいうじゃろ?自分なら頑張れば出来ると思いながら取り組むか、出来るわけないと思って取り組んだことを比べても、前者の方がうまくいくもんなんじゃ。人間は自己暗示に近いものだとは思うがね」
「それはそうだろうな」
確かに最初から失敗することを考えるより、上手く行くことを考えてやった方が上手くいくに決まっている。これは精神的な問題ではあるが少なくとも俺は共感することができた。ただ一つ気になったのが、
「ちょっと待て、さっきから神とか妖とか自分がまるで人間じゃないみたいな……」
「うむ。わしがここの神じゃ!」
うん、そんなことだろうと思いました。数時間前なら笑い飛ばしているところではあるが、この神社に来てからは笑い飛ばすことができなくなってしまっていた。悲しいね。
「おっ?信じてくれたのか?感心感心。
それでの神や妖は昔から人から信仰されることで、自分の存在を保ち、力を高めながら、その力で信者に豊作などの人間にとって利益になる現象を起こして来た。しかし先程も話した通り、科学的に様々な現象が解明されてからは、人々からの信仰が大幅に少なくなって来てからは、ほとんどの神や妖は存在を保てなくなり、たとえ保てたとしても大した力を発揮することができなくなってしまっておる。わしでさえ、こうやって現代社会に侵されきってない若者一人と接触するので精一杯じゃよ」
「ふーん存在を保てて、ここまで連れてこれるとはあんた結構有名な神様なんだな」
「もちろんじゃ!わしはすごい神様なんじゃからな!」
もしかしてこの神様ちょろい?
「良からぬことを考えているようじゃがまあよい……話の続きじゃが、時代とともに我々が忘れられるのは仕方ないことといえば、仕方ないんじゃが、おかしなところがあっての…」
「おかしなところ?」
「わしは不完全じゃが断片的な未来予知ができるんじゃがの。数百年前、日付はなぜか全く思い出せんが、ある日突然、見える未来は今までとは違う未来だったのじゃよ」
彼女の発言はなぜか他人事には思えなく、俺は不思議とその未来がわかってしまった。
「それがこの今の現代社会か……」
「その通りじゃ、これは何者かがわしの未来予知に干渉し、直前まで偽の未来の映像を見させていたみたいでの。その隙に何かとんでもないことをしでかしたみたいでの。未来を…いや時代を変えたのじゃよ、大きくの。悔しいが全く気づけなかった…気づけていればこんなことにはのう…無念じゃ」
和服の女は悔しそうに唇を噛みながら呟く。
「つまり助けてほしいのは、この事態を引き起こした、何者かを探し出せってことか?」
「そうじゃ、調査して時代の変更者を殺…とらえるのじゃ」
今和服の女から物騒な言葉が出かけたが、あえてスルーします。物騒なのは嫌だしね。
しかしここで疑問が浮かぶ。それは…
「今更犯人探してどうするんだよ。人間ならもう死んでるだろうし、今から捕まえたところでどうにもならないんじゃないか?」
犯人が仮にまだ生きていて捕まえたとしても、捕まえた時点で問題解決するわけでもない。これから時代を変えるもの無茶があるだろう。
「それは問題ないぞ」
「どういうことだよ?」
「奴らが時代を変えたのじゃ、こっちも別のやり方で時代を変えることができるわい」
「?」
意味がわからんぞ。
「察しが悪いぞ。未来をかえてきたなら、こちらも未来を変える…と言いたいところじゃが、信仰が戻ってくるまでわしの身体が多分もたん。そこで過去に行って原因を調査してほしいんじゃよ。」
「過去を変えるか…俺たちもその時代の変更者を止めるためといっても同じようなことをするんだな」
過去に行くということについてはなぜか驚かなかった。なぜか順応できている自分に驚くばかりである。
「うーむそれも確かにそうなんじゃがのう。これ以上放っておくわけにもいかん。時代の変更者が時代を変えたことには必ず意味がある。この数百年は科学が大きく発展した以外の変化はないが、嫌な予感がしてのう。むしろここからが奴らの狙いというべきかもしれん」
「ちなみにどうやって過去に行くんだ?」
「わしが数百年の間で作った術式でな。たいむすりっぷというやつじゃ」
順応しても胡散臭く感じるのは変わらないな。その時ふと思った。
「行くのはいいですけど、これってお給料出ます?」
つい敬語聞いてしまったよ…
「金か…あいにく今は手持ちがの」
「金でなくても例えば、記憶喪失を直してくれるとかできない?」
「お主記憶喪失だったのか!悪いがわしには治せん。記憶はできけーとじゃからの。あまりいじらんほうがいい。それに過去に行くことで勉強になることも多い。どの程度の記憶喪失なのかはわからんが、もしかしたら過去なら、ふとしたきっかけから記憶が戻ってくるかもしれん。過去は今よりオカルトで溢れとるからの。つまりこのたいむすりっぷそのものが報酬というわけじゃよ!」
今の話が本当なら自分にとっても悪い話ではない。記憶喪失してから自分が自分で無いような違和感しかなかったので、治るならありがたい話だ。
「分かった。引き受けるよ。」
「おーやってくれるか。ありがとうなのじゃ
早速準備を始めるんじゃが、この時代に心残りはないか?時折帰ってくることはできるんじゃが、多様して帰ってくることはできんからかの。」
「んー特にないかな」
記憶喪失だしね。心残りはあまりないよ。
「分かった。少し待っておれ。すぐ終わるからの」
そうして神社をうろつきながら体感時間で1時間あたりが経過した頃…
「準備完了じゃ!ほれこっちにこいこい!」
和服女の叫び声が境内を木霊する。
「随分早かったな」
「まあの、いつわしの存在に気づいてくれる人間が現れても良いように準備はあらかじめ済ましてあるのじゃよ。あとこの道具を渡しておくぞ」
そう言って和服女は俺にいくつか道具を渡してきた。何かの札みたいなものや、言葉で説明できないものまで様々である。
「その札は念じればこの時代に帰ってこれる。ただ少し時間がかかるからの。隙だらけになるので、敵がおらんところで使えよ?あとあまり多用しすぎるなよ?貴重じゃからな」
あのー敵って何ですか?話に聞いてないんですけど…やっぱり荒っぽくなるのね…
「こっちの箱は向こうに着いてからのお楽しみじゃ」
めっちゃニヤニヤしてるぞこの和服女
嫌な予感しかしない。
「後の道具はいずれ説明はする。使わん道具はこの巾着袋に入れとけぃ」
と和服女が散らかってた道具を全て巾着袋に収納した。どうなってんのその袋?
「あとわしは直接はそっちに行けんからの」
「まじで?」
「まじじゃ。わしも行ってしまうとうまくこっちの時代に帰れなくなるかもしれんからな。まぁ一人で行くのが不安なのは分かるが、その対策は取ってあるから安心せよ。なびげーとについてはなんとかなるからの」
「いや不安要素しかないんだけど…」
「まぁなるようになるじゃろ。さて時渡りの術式の準備も出来たし、この術式の真ん中に立ってくれ」
この和服女さらっと流しやがった。
もう慣れたけどな。
「術式の真ん中に立ったぞ。これだけでいいのか?」
「ああ大丈夫じゃ。あと今更じゃが時代の変更者の痕跡ははっきりとはしとらん。なので数百年前までの範囲でわしがいくつか目星をつけている時代にとりあえず行ってもらうからの」
あの和服女、直前になってそんな大事なこと言い出しやがった。いや確か、時代の変更者が変えた時期は詳しくは思い出せない…というか多分分からないように細工はしてるんだろうな。むしろいくつかに目星がついている分まだ楽なほうなのか?
「分かったよ。とりあえずまずは一つだ。徹底的に探さないとな」
「そうじゃな。おっもう時間じゃ。時渡りが始まるぞ!」
時間旅行かワクワクするな。もちろん恐怖心のほうが大きいからね。
「そういえば、わしお主の名前知らんかったわい」
そういえば今まで自己紹介どころか名前すら名乗ってなかったよ
「俺の名前は天野雨咲花。あんたは?」
「わしか?わしは……天神じゃ!」
明らかに偽名ですね。わかります。
「これからよろしくな」
そんな言葉を最後に俺は時代を超えたのだった。
これから苦しい地獄のような思いを味わうとも知らずに…
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ゆっくりのペースになるとは思いますが、頑張って投稿していきたいと思います!
これからの作品の参考にしたいのでよろしければ感想など書いてくれると嬉しいです。




