「ジョーカー」
心のなかの何かが死んでいる。
心のなかの何かが終わってしまっている。
同じ絵柄をした心を持っている人はなかなか見つからない。
表面は似ているのかもしれないけれど膜の下5nmを過ぎれば明確な違いが見えてくる。
心のなかの何かが死んでしまって、何もかもが終わっている私と同じ人はそうそういない。
まるでトランプのババ抜きみたいで。
この掌に私のジョーカーが余ってる。
どこにも私と揃う人がいないの。
盗まれた傘の下で赤い色したクイーンが二人寄り添って帰っていく。
昇降口で私は止まない雨を眺めながら、
心の死骸を感傷で治療しようなんて、
そんな馬鹿なことをするのです。