触らぬ神に転移なし?
どうも幻野想夜と申します。
初投稿作品です。よろしくお願いします。
俺の名は朱士 夢春。
結構変わった名前?まー確かにそうだな。
朱士っていう苗字も結構珍しいけど、夢春って言う名前もあまり聞かない。頭ん中お花畑みたいな感じだからなー。
まぁ本人は意外と気に入ってるからさほど問題はない。珍しいから間違われることも無いしな。まぁそんな朱士夢春さんが今何してんのかってゆーと。
「オイオイ!!ここどこだよッ!!」
「え・私たちさっきバスで・・・・・」
「何コレ・・・・宮殿・・・ファンタジー・?」
「・・・これって・・・異世界・・・・・?」
という反応、また一方では、
「おおぉぉ!教皇様がついに成功させなすった!!」
「おい使いを出せッ!早急に国王様に伝えろ!急げ!!」
「ほ・・・本当にこんな事が・・・・れ・・歴史が変わるぞ・・・!!」
「ウォンテルンの精霊よ!異次元の援軍の導き、バルトロンの国民を代表し、感謝いたします‼︎」
はい。そうなんですね。なんだか異世界への召喚に巻き込まれてるんですねー。
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「師範代ー!金曜◯ードショー間に合いますかねー!?」
向かい風の中、バイクでスピードを出して高速を走ると吹き抜ける風が全ての音を遮ってしまう。そうなると必然と後部座席からしがみつく二題桃華の声も負けじと大きくなる。
「いやーこの先に渋滞あるから間に合いそうにねぇなー」
「えッ?なんて!?ぜんぜん聞こえないっス!!」
師範代と呼ばれた男、朱士 夢春。後部座席に座っている二題桃華はいつもの稽古と鍛錬を終わらせて道場から家までへの帰路を急いでいた。
しかし、20分後には目的の番組が始まるのに運悪く渋滞に捕まってしまったのである。こういうアクシデントが起こるとつくづく物事は順風満帆にはいかないんもんだなと夢春はため息をつく。
後ろの二題の話を聞き流し、益体もない事を考えながら渋滞の最後尾に並ぶバスの後ろでバイクを一時停止をさせる。
「この渋滞じゃあ間に合わねぇ感じだなぁー。」
「えーまじっスかー!?んじゃー、いっその事ゆっくり帰りましょーよー!!」
「だな。じゃあどっかで酒は・・・あ無理か、んーカフェでもするかー」
「あぁーいいっスねぇー!!うちは完全にソイラテ気分っス!!」
そのネタはもう古ぃんだよとツッコミながらバイクを発進させバスの後ろをのろのろと徐行でついて行く。
二題がある異変に気付いたのはそのときだった。
「むっ?師範代なんすかアレ?あのバスおかしいっスよ?」
二題が指差す方向に視点を向ける。ふむ確かにおかしいな。
「ほんとだな、アホみたいにバスがめっちゃ光ってる。」
俺らの目の前を走るバスはなぜか車内から強烈な光を発していた。しかも呼吸をするかのように一定のリズムで明滅している。閃光はまだ日が暮れていないのにも関わらずその眩しさでとても目立っていた。
あまりにも非現実的な光景だったせいか周りの車も窓を開けて珍しそうに騒ぎ始めている。
「俺、ちょっと見に行って来るわ」
「えぇー!!マジで言ってるんスか!?やめた方がいいっスよ、こういうのはー絶対めんどくさいって相場が決まってるっていうか保証されてるんすよ?」
「まぁまぁちょっとだけだからさ、運転頼むぞ」
二題にそう言い捨ててバイクを降り、素早くバスの左側面に走り寄ってみる。うーむ光で車内の様子が全く分からない。
なので、助走をつけてバスの側面に飛びついてみた。意外と出っ張りがあって安定してしがみついていられる。右方向から二題のバカ笑いが聞こえてくるが無視。
うーん。蛍光灯を近距離で見てる様な強烈な光のせいで車内の様子が全く伺えない。車内からは声や物音が全く聞こえないってのも妙に気味が悪い。
埒があかないので窓ガラスをひと思いにひざを打ち付けて割ってみる。が、ガラスフィルムが貼ってあるのか蜘蛛の巣状に亀裂が入るだけでなかなか割れない。ついでに右方向から二題の悲鳴が聞こえた。もちろん怒られる時は道連れである。
ガラスを無理やり足で蹴り割っていき、ぐしゃぐしゃになったガラスとフィルムの塊を外に捨てて窓から侵入してみる。
逸る気持ちを抑えつつ、慎重にバスの後部座席付近から入って行く。案外車内は淡く光っていて、外から見たより目に優しかった。しかしどこを探しても光源は見当たらない。
この時点で俺はもう自分が考えつく常識の範疇からかなり外れている事が起きていると確信していた。
車内に入りよく見渡してみる。座席に座っているのはどこかの高校の生徒さんらしく、私立っぽい学校の制服を着た男女が席に深く座って静かに寝ていた。しかしなぜか運転手やバスガイドさんはどこを探しても居なかった。
ここに寝ている数十人の生徒はちゃんと息をしているし脈もあるが意識はない。近くの少女に近づき起こそうとしたがその時、とても近距離に何かの気配を感じた。
すぐさま裏拳で先制を取ってみたが手応えが全くない。すぐさま周りを警戒する。
と思った瞬間、体が一切動かない。指一つ動かせず、体が完全に硬直してしまったようだ。そのままバランスを崩しろくに受け身も取れずに思いきりバスの床に体を打ち付ける。頭も強かに打ち付けたせいで、鼻の奥に血の匂いが漂ったような感じがする。
すわ金縛りかと思ったがその時点ではもう意識がほぼ希薄でまともな判断を脳に仰げなかった。
遠い方から焦りを含んだ師範代という声が聞こえた。ああ、これはわかる、二題の声だ。
可能な限りで投稿していきたいと思います